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185 断罪過ぎれば熱さを忘れる
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豪奢なプリチャード家の玄関ホールが王族の後光に霞む…っ!
やっぱりプリンス勢揃いはやりすぎだったか…。けどホントに来るとは思わないじゃん?誘うだけ誘ったらアレイスターを残してあとの二人は断るかと思ってたのに。
まあトレヴァー君は第二側妃の意向もあるだろうけど…コンラッド…予想外だったわー。
「やあ、お誘いありがとうシャノン。だが我々を揃って招待とは…随分権威を揮うじゃないか…」
「コンラッド。僕にそんな口をきいて良いんですか?せっかくアーロンも呼んであげたのに」
「お招き実に嬉しいよシャノン。今回君の担った役割は非常に大きい。今日は王家を代表し兄弟全員で謝意を表そうと来たのだよ」
「ふっ、良く出来ました」
ポコン「シャノン、それくらいで」
「あイタ、アレイスター!」
「コンラッドを困らせるのはほどほどに」
叱られてしまった…。
「来てくれたんですね」
「命令と書かれていてはね」
「だって絶対来て欲しくて…」
「君の命を聞くのは私の役得だ。かまわないよ」
…相変わらずハッズいわー。
告ってからのアレイスターはこういうちょっとしたアピールが止まらない。そのおかげで僕はあれ以来、アレイスターを意識しないではいられない。
だってアレイスターとはいろんな思い出があって…、あの走馬灯に浮かんだ友人と過ごす楽しい日々と日々の間にはいつもアレイスターが居た。
初めて会ったあのお茶会の日から、僕の中で着々と存在感を増し続けてきたアレイスター。
アレイスターは僕の特別枠だ。だってアレイスターと居るときだけはシナリオとかイベントとかを忘れられたから。
何処からともなく現れて、なんでも教えてくれていつも助けてくれる…この絶対的な安心感。
それにアレイスターのサプライズはいつも僕をドキドキさせて…
だからってこれを恋心と言いきっていいんだろうか?…でも…少なくとも僕のこの小さな胸(言葉通り)がそれほど傷まず済んでいるのはアレイスターの存在あればこそだ。
そう!誰かが僕を好きでいてくれる、これ以上の特効薬があるだろうか!いや無い!
オタク界には推しの引退は新たな推しで癒せ、という含蓄ある格言があるくらいだし、僕を好きだと言うアレイスターの気持ちに全力で乗っかって、僕はしばらくかまちょになる気マンマンである。
…ウザイことこの上ないだろうけど…
「それで…二人ともプレゼントは持ってきました?」
「ああ。シェイナ嬢とダニエルにだったね」
「急なことで大した物は用意できなかったが…」
「バラじゃないでしょうね!」
「以前は持ってこいと言ったではないか!」
「僕にはね」
「…持ってきたのはこの国には珍しい果実の類だ」
「ならよし。後でツリーの下に置いておいてくださいね」
シェイナにバラは地雷中の地雷だ。くどいようだが僕は根に持つ以下略。
ともかく僕は友人たちへのカードに、子供用のプレゼントを用意してくるように、と書き添えておいた。ツリーにプレゼントは必須だからね。サンタクロース?それはまた別件で。
「シャノン様、本日はお招きありがとうございます」
「トレヴァー殿下!よーこそお出でくださいました!ささっ、こちらへどうぞ。シェイナの友人、ポーレット家のご息女ローザ様がお待ちです!ミーガン様ー、殿下のご案内お願いしまーす!」
「おまかせくださいまし」
完璧なチームワークにより運ばれていくトレヴァー君。もう君は包囲網から逃れられまい。
さて、和気あいあいと歓談の進むサロン内だが…
「シャノン様、教会からアーロン様が寄付を受け取りにまいりました」
「カイルありがとう。じゃあサロンまで来てもらって。寄付はこの部屋に用意してあるから」
おずおずと姿を現すアーロン。すっかり関係は修復されていると思うのだが…、この屋敷はアーロンにとって僕が二階からダイビングした事故現場でもある。その元凶であるアーロンが恐縮するのも無理はない。が、一二年後には侯爵夫人になる予定のアーロン、今から社交を叩きこむのは必然である。
「ようこそアーロン。ここには今、僕と因縁の合った人物が大勢いますが僕の心は大海原です。すべては沖に流れましたから今日は楽しんでいってくださいね」
「あ、ありがとうございますシャノン様。その、これを…」
「これは?」
「先日贈っていただいたカバンのお礼です。シャノン様に喜んでいただけるようにと…、一生懸命描きました。神に抱かれる使徒の絵です」
そこには長髪のエルフ(みたいな人物)にバックハグを受ける天使の様な少年が描かれていた…
…なかなかの絵心…アーロンにこんな才能があったなんて…
「その、こういった絵がお好きだと僕の信奉者から聞いて…受け取って頂けますか?」
「構図も完璧…アーロン、すごく嬉しいです。是非またお願いします!」
おおっ!花も綻ぶ笑顔!なんというヒロイン力!
「アーロン。教会への寄付は小分けにして屋敷中の色んな場所に隠してあります。隠し場所のヒントはここに居る友人たちが知っています。アーロンは彼らと会話をしながらそのヒントを手に入れて下さい」
「隠し…、何故そのような真似を?」
「コンラッド…、これは社交界に馴染む訓練ですよ。信者とコンラッドに囲まれて学生生活を送ってたアーロンは社交に不慣れですから」
「…そういうことか」
「でも一人だけ助っ人を認めます」
「助っ人…」
「誰でもいいですよ。赤い髪のギリ王子でも。ではスタート!」
「は、はい!」
「行こうアーロン!」
このアーロンの社交度高めようゲームの発案者はもちろん僕である。シェイナに「ノンにも必要」って言われたけどそんなこたぁない。僕は人見知りなだけでやればできる子だから。ん?シェイナ?シェイナ…というかシャノンは超絶クールだっただけで、貴族的な社交はそつなくこなす。補足まで。
それにしても…
自作の絵を手渡してきたアーロンを皮切りに、次々にお返しをくれる律儀な友人たち。だからって…
「シャノン様少しよろしいかしら」
「ミーガン様…ええもちろん」
「どうぞお受け取りくださいませ。先日のコートのお礼ですわ」
「わあ、素敵なブローチ」
「シャノン様これを」
「なんでしょうロイド様」
「カフスのお礼です。気に入っていただけると良いのですが」
「わ、わ、素敵なブローチ」
「シャノン様にお渡ししたいものが」
「リアム様にアリソン様まで」
「これは私たち二人からです」
「す、素敵なブローチ」
「シャノン、そういえばカバンの礼を…」
「コンラッド…まさか…」
「これを」
「ええい!ブローチはもういい!」
全員同じブローチとか…え?なんのドッキリ?打ち合わせでもしたの?
「どうも同じ行商が各屋敷をまわったようですね」
「カイル…」
だが行商が王城に出入りなどあり得ない。ってことは…
コンラッドは従者に丸投げしたってことだな?ヤロウ…
同じブローチを四つほどいただいたところで視界に入ってきたのはアレイスターだ。
一応アレイスターからは貰ったといえば貰った。お揃いのもこもこコートともこもこ一式を。でもあれには違う意図を感じる…
「アレイスターは何かないんですか?僕に」
「何か…ね、何か欲しいのかい?」
「欲しいと言えば欲しい」
燃え、いや、萌えるような…愛が。
やっぱりプリンス勢揃いはやりすぎだったか…。けどホントに来るとは思わないじゃん?誘うだけ誘ったらアレイスターを残してあとの二人は断るかと思ってたのに。
まあトレヴァー君は第二側妃の意向もあるだろうけど…コンラッド…予想外だったわー。
「やあ、お誘いありがとうシャノン。だが我々を揃って招待とは…随分権威を揮うじゃないか…」
「コンラッド。僕にそんな口をきいて良いんですか?せっかくアーロンも呼んであげたのに」
「お招き実に嬉しいよシャノン。今回君の担った役割は非常に大きい。今日は王家を代表し兄弟全員で謝意を表そうと来たのだよ」
「ふっ、良く出来ました」
ポコン「シャノン、それくらいで」
「あイタ、アレイスター!」
「コンラッドを困らせるのはほどほどに」
叱られてしまった…。
「来てくれたんですね」
「命令と書かれていてはね」
「だって絶対来て欲しくて…」
「君の命を聞くのは私の役得だ。かまわないよ」
…相変わらずハッズいわー。
告ってからのアレイスターはこういうちょっとしたアピールが止まらない。そのおかげで僕はあれ以来、アレイスターを意識しないではいられない。
だってアレイスターとはいろんな思い出があって…、あの走馬灯に浮かんだ友人と過ごす楽しい日々と日々の間にはいつもアレイスターが居た。
初めて会ったあのお茶会の日から、僕の中で着々と存在感を増し続けてきたアレイスター。
アレイスターは僕の特別枠だ。だってアレイスターと居るときだけはシナリオとかイベントとかを忘れられたから。
何処からともなく現れて、なんでも教えてくれていつも助けてくれる…この絶対的な安心感。
それにアレイスターのサプライズはいつも僕をドキドキさせて…
だからってこれを恋心と言いきっていいんだろうか?…でも…少なくとも僕のこの小さな胸(言葉通り)がそれほど傷まず済んでいるのはアレイスターの存在あればこそだ。
そう!誰かが僕を好きでいてくれる、これ以上の特効薬があるだろうか!いや無い!
オタク界には推しの引退は新たな推しで癒せ、という含蓄ある格言があるくらいだし、僕を好きだと言うアレイスターの気持ちに全力で乗っかって、僕はしばらくかまちょになる気マンマンである。
…ウザイことこの上ないだろうけど…
「それで…二人ともプレゼントは持ってきました?」
「ああ。シェイナ嬢とダニエルにだったね」
「急なことで大した物は用意できなかったが…」
「バラじゃないでしょうね!」
「以前は持ってこいと言ったではないか!」
「僕にはね」
「…持ってきたのはこの国には珍しい果実の類だ」
「ならよし。後でツリーの下に置いておいてくださいね」
シェイナにバラは地雷中の地雷だ。くどいようだが僕は根に持つ以下略。
ともかく僕は友人たちへのカードに、子供用のプレゼントを用意してくるように、と書き添えておいた。ツリーにプレゼントは必須だからね。サンタクロース?それはまた別件で。
「シャノン様、本日はお招きありがとうございます」
「トレヴァー殿下!よーこそお出でくださいました!ささっ、こちらへどうぞ。シェイナの友人、ポーレット家のご息女ローザ様がお待ちです!ミーガン様ー、殿下のご案内お願いしまーす!」
「おまかせくださいまし」
完璧なチームワークにより運ばれていくトレヴァー君。もう君は包囲網から逃れられまい。
さて、和気あいあいと歓談の進むサロン内だが…
「シャノン様、教会からアーロン様が寄付を受け取りにまいりました」
「カイルありがとう。じゃあサロンまで来てもらって。寄付はこの部屋に用意してあるから」
おずおずと姿を現すアーロン。すっかり関係は修復されていると思うのだが…、この屋敷はアーロンにとって僕が二階からダイビングした事故現場でもある。その元凶であるアーロンが恐縮するのも無理はない。が、一二年後には侯爵夫人になる予定のアーロン、今から社交を叩きこむのは必然である。
「ようこそアーロン。ここには今、僕と因縁の合った人物が大勢いますが僕の心は大海原です。すべては沖に流れましたから今日は楽しんでいってくださいね」
「あ、ありがとうございますシャノン様。その、これを…」
「これは?」
「先日贈っていただいたカバンのお礼です。シャノン様に喜んでいただけるようにと…、一生懸命描きました。神に抱かれる使徒の絵です」
そこには長髪のエルフ(みたいな人物)にバックハグを受ける天使の様な少年が描かれていた…
…なかなかの絵心…アーロンにこんな才能があったなんて…
「その、こういった絵がお好きだと僕の信奉者から聞いて…受け取って頂けますか?」
「構図も完璧…アーロン、すごく嬉しいです。是非またお願いします!」
おおっ!花も綻ぶ笑顔!なんというヒロイン力!
「アーロン。教会への寄付は小分けにして屋敷中の色んな場所に隠してあります。隠し場所のヒントはここに居る友人たちが知っています。アーロンは彼らと会話をしながらそのヒントを手に入れて下さい」
「隠し…、何故そのような真似を?」
「コンラッド…、これは社交界に馴染む訓練ですよ。信者とコンラッドに囲まれて学生生活を送ってたアーロンは社交に不慣れですから」
「…そういうことか」
「でも一人だけ助っ人を認めます」
「助っ人…」
「誰でもいいですよ。赤い髪のギリ王子でも。ではスタート!」
「は、はい!」
「行こうアーロン!」
このアーロンの社交度高めようゲームの発案者はもちろん僕である。シェイナに「ノンにも必要」って言われたけどそんなこたぁない。僕は人見知りなだけでやればできる子だから。ん?シェイナ?シェイナ…というかシャノンは超絶クールだっただけで、貴族的な社交はそつなくこなす。補足まで。
それにしても…
自作の絵を手渡してきたアーロンを皮切りに、次々にお返しをくれる律儀な友人たち。だからって…
「シャノン様少しよろしいかしら」
「ミーガン様…ええもちろん」
「どうぞお受け取りくださいませ。先日のコートのお礼ですわ」
「わあ、素敵なブローチ」
「シャノン様これを」
「なんでしょうロイド様」
「カフスのお礼です。気に入っていただけると良いのですが」
「わ、わ、素敵なブローチ」
「シャノン様にお渡ししたいものが」
「リアム様にアリソン様まで」
「これは私たち二人からです」
「す、素敵なブローチ」
「シャノン、そういえばカバンの礼を…」
「コンラッド…まさか…」
「これを」
「ええい!ブローチはもういい!」
全員同じブローチとか…え?なんのドッキリ?打ち合わせでもしたの?
「どうも同じ行商が各屋敷をまわったようですね」
「カイル…」
だが行商が王城に出入りなどあり得ない。ってことは…
コンラッドは従者に丸投げしたってことだな?ヤロウ…
同じブローチを四つほどいただいたところで視界に入ってきたのはアレイスターだ。
一応アレイスターからは貰ったといえば貰った。お揃いのもこもこコートともこもこ一式を。でもあれには違う意図を感じる…
「アレイスターは何かないんですか?僕に」
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