断罪希望の令息は何故か断罪から遠ざかる

kozzy

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151 断罪から避難 ②

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もうこれ以上猶予はない気がする…
そこで僕は成人式に合わせて王都邸に居たお父様に、思いきってシェイナのことを相談することにしたのだ。

「お父様…大事な話があるんですが…」
「どうしたんだねシャノン」

いつになく深刻な口調にお父様も書きかけの書類からペンを置く。
僕は意を決し、ここまで僕たちが調べ上げたロアンの件について打ち明けることにした。
今まで「集まって何をしているんだい?」と聞かれても「課題の自由研究です」と答えていたのだが、既に問題は学生の自由研究でごまかせる範疇を越えている。

ロアンの件の何が今更問題か、と言われれば返答につまるところだが…、王とフレッチャーの癒着。それがある限り今後もウィルスとバグの問題は発生するだろう。
シャノンからリカバリーディスクとして選ばれしこの身としては、この問題を放置する気にはどうしてもなれないのだ。

プリチャード侯爵家は代々続く名門貴族。それこそ前々王妹の孫を嫁に貰えるほどの。お父様が味方につけば何かわかるかもしれない…
少なくともカサンドラ様に関しては何か聞けるだろう。

「なるほど…。なにやら動き回っていると思ってはいたが…そういうことだったか」
「すみませんお父様。でもこんな話になるとは思ってなくて。僕はただ、アーロンの歪みはアーロンの母親にある、そう思っただけだったんです」

「ふむ。古き王家の箝口令か…。一族の長命者に聞けば何か知っているだろう。だが古き世代ほど王家への恭順は強い。答えるかどうか…」

「お父様の力で何とかなりませんか?」
「いいだろう、当たってみよう」

「それともう一つ…」
「何だね、深刻な顔をして」

僕は出来る限り分かりやすく説明した。シェイナが僕との会話に使うウィジャ盤、それが本来持つ用途を。かといって決してそんな使い方をするつもりは無いってことを。霊は安易に交信するとた…祟られるからね…

「けどフレッチャー候はそう思わなかったみたいです。彼はシェイナを狙ってくると、ある信用筋が助言をくれました」
「ある信用筋とは?」

…そこ突っ込む?

「……アレイスター殿下です」
「あの方が言われるのならそうなのだろう」

お父様からの信頼篤いな、アレイスター。
そして今日、この屋敷に贈り主不明の蜂蜜が届けられていたことを話すとお父様の顔つきは瞬時に変わった。

「それでですね、…シェイナを当分エンブリーに預けてはどうかと思うんですけど…」
「それはどう言う事だね?」

お父様は僕の成人式に合わせて一時帰宅中だが、実はとっくに領地入りしている。ブラッドも夏休みになったらボイル領へ向かう。つまり屋敷は手薄になる。僕とニコールさんだけでシェイナを守れるだろうか…それが僕の不安材料だ。

フレッチャー一族の領域は主に王都を中心とした南側で、ブラトワ一族を排除しデクスターが領地替えした今、代替家門は王妃様の裁量でプリチャード派へと挿げ替えられた。つまり…北から東にかけては現在ホームと言える。
そして陸路は片道二か月、単騎で飛ばしたとしても到着までにはそれなりに時間がかかる。
いまからバレないようにシェイナを移動させ、一か月、いや二か月エンブリーに居ることを隠し通せれば…その間に片は付く!

「水路は…館船はどうする」
「…この冬まで屋形船にはプリ派しか乗船させないでって、クーパー伯にお願いしてきました。あと船便のコッソリ乗船も当面禁止って」

「手早いな」
「詳しくは言えませんが…あとほんの数か月…4か月護れたらいいんです!」

プロムは初冬、本格的に冷え込む前だ。それで本当の本当に最後のイベント…断罪が終わる!

「それにシェイナはぼ、…僕のち…知識を受け継ぐ幼児。きっと大きな領の統治に不慣れなジェロームの力になるでしょう」

手柄を横取りしたみたいで…ヒジョーに落ち着かない。

「だが幼いあの子を一人ではやれぬ」
「じゃあ僕の信頼する騎士ABCを一緒にやります」

「彼らはお前の命であれば命に代えても遂行するだろうな…良かろう。すぐに手配しよう」


そしてシェイナは僕が夏休みをむかえる数日前…お父様が手配したエンブリーへの騎士派遣(という名目)に紛れて、マジで騎士の荷物に紛れてエンブリーへと運ばれることになった。(乳母とナニーも男装して舟に乗ることになったよ)
それにしても…たらこキューピーになったりトランクに詰められたり…

来年は二本の脚でスキップしながら…元気よく僕と手を繋いでタラップを登ろう!



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