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134 断罪は夢の向こうに
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ファーストキス…プロポーズ…、急展開すぎて現実に戻れない自分がいる…
アレイスターが僕のことを?そ、そんなの…
そんなのもっと早く言ってよ!そうしたらモテ期気分に浸れたのに…もうっ!
あの後僕はアレイスターに手をひかれ、ボーッとしたままコンラッドの部屋まで人目にふれないよう送り届けられた。
真っ赤になった僕を横目でチラチラ見るコンラッドが心底ウザイ!なんか文句ある?
そして現在帰路に付く馬車の中なのだが…
北部に行ってたからかな…アレイスターの唇…カサカサだっ…、って、わーーー!!!パタパタ…
机の上のピクルスつまんでたのかな…ちょっと唇塩っぽかっ…わーーー!!!パタパタ…
それにしてもリアル王子め。
け、毛穴もないとか…反則だわー!
「どうしましたシャノン様。様子が変ですが…」
「何でもない…」
「まさか!コンラッド殿下が不埒な真似を?」
「カイル!冗談でも止めてよね。マジあり得ないから」
「そ、そうですよね…」
不埒な真似をされたのはウソではない。相手はコンラッドじゃないけど。
不貞扱いになっちゃうから、絶対絶対言えないけど。
ただここで問題なのは不貞かどうかではなく…、アレイスターとのキスが嫌じゃなかったという事実だ。
やだなぁ…僕ってば節操のない…
…いや待てよ。本来僕はゲームも掛け持ち三本プレイとかするタイプだ。マンガやアニメも常に多くのキャラを同時に推していた。ということは…はっ!これはもしや平常運転!?
屋敷に戻ってからも気持ちは落ち着かない。といっても…お城に行く前と戻った後とでは落ち着かない中身が違う。
一夜明けても部屋中をウロウロする僕の様子を見て、シェイナは違うことを考えたようだ。誤解は早めにといておかなければ。
キ、キキ、キッス…は置いといてアレイスターのおかげで光が見えた。やっぱりアレイスターは心の師匠。あそこで会いに行った僕って天才じゃない?さすが僕。
後は王様に提示する代わりの神格を鋭意創作するだけ。お父様の説得はアレイスターに丸投げしたし。
ふー、やれやれ…これで一安心…っと。
さて、一昨日とは違う意味で悶々とした一日が過ぎ明日からは学院の春期、三年次だ。なんとか明るい未來に向けて、ラストスパート準備オッケー!
「シェイナ、シェイナ!今日は一緒に寝よう!」
「まあシャノン様。いけませんわ」
「いいじゃない。シェイナはお漏らししな」ドカッ「ぐあっ!」
安定の肘エルボー、そして無理やり強奪。けど二人っきりで話したいことが山ほどあって…
僕は一緒に潜り込んだ布団の中で、シェイナにアレイスターの考えたアイデアを説明した。目をまん丸くしたシェイナ。さすがのシェイナもジェロームと結婚の可能性…なんてあると思わなかったんだろう。
「でもそうだよ。考えてみれば四十のおっさんが十代の妻をもらうとか貴族社会では普通にあるんだし」
「う…ん…」
「シェイナが十二になってもジェロームはまだ三十五。シェイナが十六になってもジェロームは三十九、イケる!」
「ちょんな…」
「大体年齢なんて五十も過ぎたら二十差も三十差も誤差の範囲だって」
「…ちょうかな?」
戸惑いながらも少し嬉しそうなシェイナ。ほらやっぱりね。
「そうだって!」
細かいこたぁいーんだよ!
大体ジェロームは日照時間の短いエンブリーで紫外線を浴びずに暮らしてきたから肌もキレイで今でも十代に見えるし!イケメンだし!
「ジェロームはいつだってシェイナを救ってくれたでしょ?きっとジェロームはシェイナのナイトだよ」
「…うん…」
「けどお父様にシェイナをジェロームのお嫁さんにってお願いするのはシェイナの気持ちを伝えてから。シェイナだって任務のような結婚は嫌でしょう?援護射撃はする…。だからジェロームの心は自分で射止めるんだよ」
「むじゅかちぃ…」
「シェイナ。シェイナが今までみたいに自分の殻を守るならきっと難しい。本当に失いたくないものがあるなら…なりふり構わないくらい必死にならなくちゃ」
僕は覚えてる。洗礼式で見た、巻き戻った過去のシャノンを。
シャノンは結局最後まで自分の気持ちや自分の望みは言葉にしなかった…。歪んだものを正そうと必死になってたけど、それは自分のためなんかじゃなかった。
初期化を発動したのも、…結局シャノンはあの世界に未練が無かったんだろうと思ってる。けど本当に他の道は無かったんだろうか…?
だって昨日もシェイナは自分を犠牲にしようとしたじゃないか!
だからやり直しの人生では、シェイナももっと変わらなくちゃ!
この計画はあくまで、ジェロームが僕とシェイナにLOVEを抱いてこそである。
散々王妃制度のこと「愛のない結婚はヨクナイ」とか言っといて、ジェロームに強要できないからね。
正直…シェイナが二桁になっても、あのマジメなジェロームがこの年齢差で簡単に愛を感じるとは思えない。けど、一歳未満児にだってボウアンドスクレープで礼を示したジェロームなら…まっすぐぶつけた感情を蔑ろにはしない。真剣な気持ちには真剣な気持ちで応えてくれると信じてる!
「…ノンはいーの?」
おっと。痛いところを的確につくシェイナ。それは言わない約束だよ…
でも開き直りには定評のある僕だから……お兄ちゃんにまかせなさい!
「僕は…側に居る間にいっぱいイチャイチャするからいいの。むしろいち腐男子からみれば…役得?」
…僕の強がりなんてシェイナにはお見通しだろうけど…
「シェイナ、鉄壁のディフェンスがいるから安心して大きくなるんだよ」
「ノン…」
「ってことで、イチャイチャのボーダーラインに関しては要協議……チューくらいはしてもいい?」
「クス…ノンだいちゅき、いーよ」
腐男子モードでも十分だけど…ちょっとくらいは…ね?初恋を弔うにもお供えくらいは必要だ。
「れも、あれちゅたー…」
ボボンッ!「あっ、そっ、その件は…そっちは…」
そう。何故だか僕には再婚希望者が居るらしい…
一応シェイナには恥ずかしながら全て(キス以外)を話したのだが…シェイナからは「でちょーね」という、なんともクールな返事が返ってきた。
そのアレイスターのプロポーズの件に対して「どうするのか?」って聞いているんだろう…。けどいいも悪いも…よく解らないというのが正直な気持ちだ。
何故だかしらないけどアレイスターは、バツイチになる体裁の悪い僕を予約してくれるって言うんだから…奇特としか言いようがない。
考えて…と、言われたが…二つ返事で「はい」とは言えないし…、かといって、嫌かと言われればそうでもない。
少なくともキスは…キスは…うっかりときめいた。ぐあぁ…
「まっか…」
き、きき、消えろ煩悩!思い出すな僕!
「…ちゅきなの?」
「ちっ!ちがっ!」
「ちょうなの⁉」
「違うって!」
そんなことつい昨日まで考えたことも無かったよ!
でも十年後の自分にそれほど心が痛まないのはきっとアレイスターの存在があるから。
「あー、もう寝る!お…お休み!」
「……おやちゅみ」
何回僕を驚かしたら気が済むのか、サプライズ王子アレイスターめ。
ああもうっ!夢の中にまでドアップで出てくるの止めてくんないかなぁ!
アレイスターが僕のことを?そ、そんなの…
そんなのもっと早く言ってよ!そうしたらモテ期気分に浸れたのに…もうっ!
あの後僕はアレイスターに手をひかれ、ボーッとしたままコンラッドの部屋まで人目にふれないよう送り届けられた。
真っ赤になった僕を横目でチラチラ見るコンラッドが心底ウザイ!なんか文句ある?
そして現在帰路に付く馬車の中なのだが…
北部に行ってたからかな…アレイスターの唇…カサカサだっ…、って、わーーー!!!パタパタ…
机の上のピクルスつまんでたのかな…ちょっと唇塩っぽかっ…わーーー!!!パタパタ…
それにしてもリアル王子め。
け、毛穴もないとか…反則だわー!
「どうしましたシャノン様。様子が変ですが…」
「何でもない…」
「まさか!コンラッド殿下が不埒な真似を?」
「カイル!冗談でも止めてよね。マジあり得ないから」
「そ、そうですよね…」
不埒な真似をされたのはウソではない。相手はコンラッドじゃないけど。
不貞扱いになっちゃうから、絶対絶対言えないけど。
ただここで問題なのは不貞かどうかではなく…、アレイスターとのキスが嫌じゃなかったという事実だ。
やだなぁ…僕ってば節操のない…
…いや待てよ。本来僕はゲームも掛け持ち三本プレイとかするタイプだ。マンガやアニメも常に多くのキャラを同時に推していた。ということは…はっ!これはもしや平常運転!?
屋敷に戻ってからも気持ちは落ち着かない。といっても…お城に行く前と戻った後とでは落ち着かない中身が違う。
一夜明けても部屋中をウロウロする僕の様子を見て、シェイナは違うことを考えたようだ。誤解は早めにといておかなければ。
キ、キキ、キッス…は置いといてアレイスターのおかげで光が見えた。やっぱりアレイスターは心の師匠。あそこで会いに行った僕って天才じゃない?さすが僕。
後は王様に提示する代わりの神格を鋭意創作するだけ。お父様の説得はアレイスターに丸投げしたし。
ふー、やれやれ…これで一安心…っと。
さて、一昨日とは違う意味で悶々とした一日が過ぎ明日からは学院の春期、三年次だ。なんとか明るい未來に向けて、ラストスパート準備オッケー!
「シェイナ、シェイナ!今日は一緒に寝よう!」
「まあシャノン様。いけませんわ」
「いいじゃない。シェイナはお漏らししな」ドカッ「ぐあっ!」
安定の肘エルボー、そして無理やり強奪。けど二人っきりで話したいことが山ほどあって…
僕は一緒に潜り込んだ布団の中で、シェイナにアレイスターの考えたアイデアを説明した。目をまん丸くしたシェイナ。さすがのシェイナもジェロームと結婚の可能性…なんてあると思わなかったんだろう。
「でもそうだよ。考えてみれば四十のおっさんが十代の妻をもらうとか貴族社会では普通にあるんだし」
「う…ん…」
「シェイナが十二になってもジェロームはまだ三十五。シェイナが十六になってもジェロームは三十九、イケる!」
「ちょんな…」
「大体年齢なんて五十も過ぎたら二十差も三十差も誤差の範囲だって」
「…ちょうかな?」
戸惑いながらも少し嬉しそうなシェイナ。ほらやっぱりね。
「そうだって!」
細かいこたぁいーんだよ!
大体ジェロームは日照時間の短いエンブリーで紫外線を浴びずに暮らしてきたから肌もキレイで今でも十代に見えるし!イケメンだし!
「ジェロームはいつだってシェイナを救ってくれたでしょ?きっとジェロームはシェイナのナイトだよ」
「…うん…」
「けどお父様にシェイナをジェロームのお嫁さんにってお願いするのはシェイナの気持ちを伝えてから。シェイナだって任務のような結婚は嫌でしょう?援護射撃はする…。だからジェロームの心は自分で射止めるんだよ」
「むじゅかちぃ…」
「シェイナ。シェイナが今までみたいに自分の殻を守るならきっと難しい。本当に失いたくないものがあるなら…なりふり構わないくらい必死にならなくちゃ」
僕は覚えてる。洗礼式で見た、巻き戻った過去のシャノンを。
シャノンは結局最後まで自分の気持ちや自分の望みは言葉にしなかった…。歪んだものを正そうと必死になってたけど、それは自分のためなんかじゃなかった。
初期化を発動したのも、…結局シャノンはあの世界に未練が無かったんだろうと思ってる。けど本当に他の道は無かったんだろうか…?
だって昨日もシェイナは自分を犠牲にしようとしたじゃないか!
だからやり直しの人生では、シェイナももっと変わらなくちゃ!
この計画はあくまで、ジェロームが僕とシェイナにLOVEを抱いてこそである。
散々王妃制度のこと「愛のない結婚はヨクナイ」とか言っといて、ジェロームに強要できないからね。
正直…シェイナが二桁になっても、あのマジメなジェロームがこの年齢差で簡単に愛を感じるとは思えない。けど、一歳未満児にだってボウアンドスクレープで礼を示したジェロームなら…まっすぐぶつけた感情を蔑ろにはしない。真剣な気持ちには真剣な気持ちで応えてくれると信じてる!
「…ノンはいーの?」
おっと。痛いところを的確につくシェイナ。それは言わない約束だよ…
でも開き直りには定評のある僕だから……お兄ちゃんにまかせなさい!
「僕は…側に居る間にいっぱいイチャイチャするからいいの。むしろいち腐男子からみれば…役得?」
…僕の強がりなんてシェイナにはお見通しだろうけど…
「シェイナ、鉄壁のディフェンスがいるから安心して大きくなるんだよ」
「ノン…」
「ってことで、イチャイチャのボーダーラインに関しては要協議……チューくらいはしてもいい?」
「クス…ノンだいちゅき、いーよ」
腐男子モードでも十分だけど…ちょっとくらいは…ね?初恋を弔うにもお供えくらいは必要だ。
「れも、あれちゅたー…」
ボボンッ!「あっ、そっ、その件は…そっちは…」
そう。何故だか僕には再婚希望者が居るらしい…
一応シェイナには恥ずかしながら全て(キス以外)を話したのだが…シェイナからは「でちょーね」という、なんともクールな返事が返ってきた。
そのアレイスターのプロポーズの件に対して「どうするのか?」って聞いているんだろう…。けどいいも悪いも…よく解らないというのが正直な気持ちだ。
何故だかしらないけどアレイスターは、バツイチになる体裁の悪い僕を予約してくれるって言うんだから…奇特としか言いようがない。
考えて…と、言われたが…二つ返事で「はい」とは言えないし…、かといって、嫌かと言われればそうでもない。
少なくともキスは…キスは…うっかりときめいた。ぐあぁ…
「まっか…」
き、きき、消えろ煩悩!思い出すな僕!
「…ちゅきなの?」
「ちっ!ちがっ!」
「ちょうなの⁉」
「違うって!」
そんなことつい昨日まで考えたことも無かったよ!
でも十年後の自分にそれほど心が痛まないのはきっとアレイスターの存在があるから。
「あー、もう寝る!お…お休み!」
「……おやちゅみ」
何回僕を驚かしたら気が済むのか、サプライズ王子アレイスターめ。
ああもうっ!夢の中にまでドアップで出てくるの止めてくんないかなぁ!
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