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133 断罪の抜け道

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「どうしたんですかシャノン様!」

「王城に行く!今すぐ馬車を出して!」

久々のシャノン降臨。シャノンで良かったと思うのは、こういう時いちいち誰も何も聞いてこないところだ。
かといっていきなりアレイスターを訪ねたらそれはそれで勘繰られるだろう。婚約が正式に解消となるまでは、どんなスキも見せてはならないのだ。

ならば行き先は一つ!

「コンラッド様を呼んで」
「お待ちください」

全方位から不機嫌オーラをまき散らす僕に王城の近衛すら遠巻きにしている。シャノンのキレイな顔は怒ると近寄り難い怖さがある。今まさに僕は以前のシャノンに見えるだろう。

ドローイングルームで待つ間にさりげなくアレイスターの帰還は確認済みだ。少しするとコンラッドの従者が代理で僕を呼びに来た。どうやら私室で待ってるらしい。おーおー、お偉いことで。あ、まだ偉いんだった。

「それでどうしたシャノン。こんな時間に私を訪ねてくるとは…」
「どうもこうも…色々と不愉快な事がいっぱいで」

「何故?父上があれほど難色を示していた私と君の婚約解消にようやく許可をくださったのに」
「その交換条件が問題でして」

「シェイナ嬢のことか」
「コンラッド!いいから黙って僕をアレイスターのところに連れて行って!」
「アレイスターのところに?…シャノン君は…」
「いいから早く!もう頼りになるのはアレイスターしか居ないんだから!」
「私にそれを言うか…」

ギロ!
シャノンの前で散々アーロンアーロン言っときながらどの口が言う!

「す、すまない。だが…君にしてやれることが見つかって幸いだよ」

そういうとコンラッドは、王族専用の隠し通路に案内してくれる。それは有事の際に城外へ出る隠し通路で正門とは逆の方角に伸びている。本宮を抜けたあたりから地下通路へと繋がり…養育宮、第一後宮、第二後宮、第三後宮、と、側妃たちが合流できる作りになっている。当然そこには誰もいない。隠し通路だけに。

「さあシャノン、この扉を開け梯子を登ったら第三宮だ。そこにアレイスターは居る」

「あ、コンラッド」
「なんだ」
「ありがとう」
「いいや…では後で」

コンラッドにお礼をする日が来るとは思わなかったが…嫌がらせは嫌がらせ、お礼はお礼だ。

さて、はしごを登り切るとそこはすでに第三宮の内部。使われていない物置…貯蔵庫みたいだ。
そーっと外の様子を伺いながら貯蔵庫を出るとコソコソと隠れながら移動を開始する。

高位貴族や王族の住まう建物は大体の法則がある。それは後宮であっても同じことだ。大抵地下が物置とか貯蔵庫で一階にキッチンとかランドリーとかがあったりする。つまり宮の主は二階以上に居る。
子供部屋が二階か三階かはわかれるところだが…コンラッド曰く、他の宮でも王の休む部屋は三階の主寝室らしいからここも同じだろう。ということは…アレイスターの部屋は二階の何処か。

側妃たちの後宮は正妃が住まう本宮の半分以下だ。その中でも第三宮はさらに小さい。本宮が内外合わせて90LDKとして第一側妃の宮は20LDK、ここは10LDK程度だという話だ。なら二階でアレイスターの部屋を探すのは簡単だろう。

豪華な上着はコンラッドの部屋に置いてきた。身軽な僕は誰にも会わずに難なく二階へあがる。

鍵のかかった部屋。一つ…二つ…三つ目、開いた!

ギィィ…

「ノックもせず誰だ。ヘクターか?」

すぐにヘクターの名前が出るなんてさすが公式カプ(僕の中で)、僕のツボを心得ている。でも…

「シャノン!どうしてここに?いやそれよりどうやって?城内の者は知って…シャノン?」

「う…うぇぇ…、うわぁぁんアレイスター…!もう…もうやだぁ…!」

振り返ったアレイスターの顔を見た瞬間…僕の涙腺は崩壊した。



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