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98 断罪前にデート
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アレイスターも交えた砂金会議は夜に行われる。アレイスターは夜の方が落ち着くから…というが、本来頭は早朝にこそ働くものだ。どうでもいいことだから敢えて言わないけど。
そのおかげでこうして昼間は自由に出歩けるわけだ。実は今日も、昼食の後コナーから専門的な説明を受けると言うアレイスターとヘクターを置いて、こうして僕とシェイナはジェロームにくっついて隣領の領都まで買い出しに向かっている。何故隣の領かって?…残念ながらエンブリーには何もないからだ…
「買い出しにお付き合いいただくなど…恐れ多いのですが」
「いいえ!…その…すごく楽しいです」テレテレ…
「ふふ、実は私も浮足立っているのですよ。こうして堂々あなたと歩けるのですから」
ちょっ!…今すぐ新妻宣言してやろうか!
「お寒くはないですか」
「ポカポカしています」
胸の奥が。それはもう。
それはシェイナも同じだろう。ジェロームに抱っこされたシェイナの顔には「まんざらでもない」そう書かれている。
それにしても当主自ら食材その他諸々の買い出しに出向くとは…さすがエンブリー。
雪の積もる中、徒歩の領民に運ばせるのは大変だろうし使用人をお使いに出すのもまた大変。それなら一台しかない馬車を自由に使えるジェロームが出向くのが一番効率いい、そういうことなんだろう。
これはあれだ。立ってるものは親でも使え、あれと同じだ。
「ところで男爵邸には今どれくらいの使用人が居るんですか?僕が見たのはお部屋を整えるメイドさんとシェフと…」
「お恥ずかしいですが、残りは数人の下働きと御者のみです」
あとは必要に応じて領民から通いの人を頼んでいるのだとか。庭師さんとかね。窓や食器なんかも月に数度まとめて磨きに来てもらっているらしい。いわゆる派遣スタッフというやつだな。
「困窮した際に一人ずつ暇を出してしまいまして…彼らは新しい奉公先をすでに見つけています。ですのでシャノン様がコナーを寄越してくださったのは本当に助かったのですよ」
「お役に立てて良かった」ニコ
砂金の発見といい、コナーを派遣した自分を褒めてやりたい。
「琥珀や今回の砂金に助力くださったソティリオ商会もシャノン様のおかげですね」
「けどマーシャルさんにも下心はあるんですから、ジェロームは大きな顔してていいんですよ?」
「心掛けましょう」
ジェロームは言う。春になったらエンブリーは変わるだろうと。
砂金の事業は国の庇護を得て、このエンブリーを育て守る要になる。そうすれば新しい農具を買い入れることも栄養価の高い肥料を買い入れることも出来るだろうし、収穫が上がり税収が増えれば、それはそのまま彼らの暮らしを支える貯えになるのだと。
ジェロームはなんて優しい領主様なんだろう。
「それだけではありません。人夫などが出入りすれば村にも何らかの益を落とすでしょうし、食事や宿、そういったものも考えなくては」
「嬉しそうですねジェローム」
「ええ。今まではしたくとも出来ない事ばかりでしたからね。やりたいと思えたことを実現するために行動できる。それがどれほど幸福なことか」
完全同意。だからこそ僕は人様に迷惑をかけない範囲で、やりたいことはやりたいようにやると決めている。一片の後悔さえ残さないように。
「今から行くブラトワ領に負けないような活気のある領に出来れば…そう願っています」
「ジェロームならきっと出来ます!応援します!」
妻として!僕は決意新たにそう叫んだ。脳内で。
到着した隣の領は小さな山を一つ抜けただけ、とは思えないリッチな領。リッチな領…ということは領主がやり手ということでもある。ここの中心街は華やかで、またジェロームが言うには、当主邸は贅を凝らした相当豪華な屋敷なのだとか。でもって、この領にいる農奴たちの税率は相当高いらしい。ということは総合すると早い話…悪徳領主か…
「ジェロームとご先祖がお金借りてたのって…」
「ええ、この領の当主、ブラトワ男爵からです」
なるほどね。ジェロームは積み上がった利息で大変だったらしいけど、琥珀を独り占めしたいソティリオ商会のマーシャルさんが一気に返済してくれたらしい。なんでもその時悪徳当主の顔はいわゆる「ぐぬぬ…」になっていたのだとか。ってことは他に目当てがあったってこと?…領地が丸ごと欲しかったんだな、多分。
とにかくこうして僕とジェロームはデート…というか、シェイナが居るから、むしろ休日のファミリーというか、普段のジェロームは買い入れないであろう、ちょっとお高めの食材やワインなどを仕入れるついでにしばしの観光を楽しんでいた。
「わっ!ジェローム、これは何ですか?」
「溶岩のレンガです。ここブラトワ男爵領とさらに南のノストラ男爵領ではこういった溶岩石が採掘されるので切り出してレンガとして売り出しているのですよ。栄えたきっかけとなったのはその溶岩石があったからです」
「そうなんですね…」
ってことは、ここでは大昔噴火があったんだろう。
溶岩石の恩恵にあずかれなかったエンブリーだけがいつまでも貧乏から脱却できなかったというわけか。ま、それも砂金によって逆転だけど。
「じゃああれは?」
「木工品ですね。この地に生息するエーデルワイスを彫りこんであります」
「それって、王都の植物園で見た…」
「そうです。少しお待ち下さい」
そう言うとジェローム店主の声をかけ、二三話すと小さなブローチを手に戻ってきた。
「シャノン様これを」
「え…?」
手渡されたのは木彫りのブローチ。小さなその木片にはエーデルワイスが彫られている。
「高貴なあなたに木彫りの装飾品など不似合いかも知れませんが、記念に」
「す、スゴく嬉しいです!」
「ふふ、あなたならそう言ってくださると思っていました」
ふと見るとシェイナはエーデルワイスを模した造花を頭につけている。
「小さな木片は危ないですから。シェイナ嬢にはこれを」
ぐあぁ!う、羨ましい…
けど、さすがにいくら美しいと言われるシャノンでも、頭に花をつけて歩くのはちょっと…
仕方ないのでその栄誉はシェイナに譲ることにした。
「おや?これはエンブリーの。ご一緒されているのはどなたかな?」
ラブラブデートを楽しむ僕たちに馬車の窓から声をかけてきたのは、少し太めの金満な男。その両手にはごっそり指輪がきらめいている。
「え?ああこれはブラトワ男爵。例の会談以来ですね」
例の会談とは恐らく借財の返済をした会談の事だろう。
「こちらは…」
「僕は王都からエンブリー男爵を訪ねてきたプリチャード侯爵家の長男、シャノンです」
言いよどむジェロームの代わりに自ら名乗る。ジェロームを困らせるのは嫌だからね。
「こ!これはなんと!プリチャード侯爵家のシャノン様といえば第一王子殿下の婚約者様ではございませんか!」
くそぅ…その立場は未だ健在、仕方がないとはいえ不本意な…
「よ、よろしければ当家に滞在されてはいかがか。エンブリーでは碌なもてなしも出来ますまい」
「…僕とエンブリー男爵は友人です。僕は友人を訪ねて来ました。お構いなく」
「で、ですが!」
「もう行きますね。行こうジェローム!」
ブラトワとか言う男爵を乗せた馬車は、僕たちの姿が立ち去るまでそこを動こうとはしなかった。僕の第六感が何かを告げる。理由はないがどこかイヤな感じだ…。
「残念だけど帰りましょうか」
こうして至福の時間は、無粋な乱入者の登場により終わりとなった。
そのおかげでこうして昼間は自由に出歩けるわけだ。実は今日も、昼食の後コナーから専門的な説明を受けると言うアレイスターとヘクターを置いて、こうして僕とシェイナはジェロームにくっついて隣領の領都まで買い出しに向かっている。何故隣の領かって?…残念ながらエンブリーには何もないからだ…
「買い出しにお付き合いいただくなど…恐れ多いのですが」
「いいえ!…その…すごく楽しいです」テレテレ…
「ふふ、実は私も浮足立っているのですよ。こうして堂々あなたと歩けるのですから」
ちょっ!…今すぐ新妻宣言してやろうか!
「お寒くはないですか」
「ポカポカしています」
胸の奥が。それはもう。
それはシェイナも同じだろう。ジェロームに抱っこされたシェイナの顔には「まんざらでもない」そう書かれている。
それにしても当主自ら食材その他諸々の買い出しに出向くとは…さすがエンブリー。
雪の積もる中、徒歩の領民に運ばせるのは大変だろうし使用人をお使いに出すのもまた大変。それなら一台しかない馬車を自由に使えるジェロームが出向くのが一番効率いい、そういうことなんだろう。
これはあれだ。立ってるものは親でも使え、あれと同じだ。
「ところで男爵邸には今どれくらいの使用人が居るんですか?僕が見たのはお部屋を整えるメイドさんとシェフと…」
「お恥ずかしいですが、残りは数人の下働きと御者のみです」
あとは必要に応じて領民から通いの人を頼んでいるのだとか。庭師さんとかね。窓や食器なんかも月に数度まとめて磨きに来てもらっているらしい。いわゆる派遣スタッフというやつだな。
「困窮した際に一人ずつ暇を出してしまいまして…彼らは新しい奉公先をすでに見つけています。ですのでシャノン様がコナーを寄越してくださったのは本当に助かったのですよ」
「お役に立てて良かった」ニコ
砂金の発見といい、コナーを派遣した自分を褒めてやりたい。
「琥珀や今回の砂金に助力くださったソティリオ商会もシャノン様のおかげですね」
「けどマーシャルさんにも下心はあるんですから、ジェロームは大きな顔してていいんですよ?」
「心掛けましょう」
ジェロームは言う。春になったらエンブリーは変わるだろうと。
砂金の事業は国の庇護を得て、このエンブリーを育て守る要になる。そうすれば新しい農具を買い入れることも栄養価の高い肥料を買い入れることも出来るだろうし、収穫が上がり税収が増えれば、それはそのまま彼らの暮らしを支える貯えになるのだと。
ジェロームはなんて優しい領主様なんだろう。
「それだけではありません。人夫などが出入りすれば村にも何らかの益を落とすでしょうし、食事や宿、そういったものも考えなくては」
「嬉しそうですねジェローム」
「ええ。今まではしたくとも出来ない事ばかりでしたからね。やりたいと思えたことを実現するために行動できる。それがどれほど幸福なことか」
完全同意。だからこそ僕は人様に迷惑をかけない範囲で、やりたいことはやりたいようにやると決めている。一片の後悔さえ残さないように。
「今から行くブラトワ領に負けないような活気のある領に出来れば…そう願っています」
「ジェロームならきっと出来ます!応援します!」
妻として!僕は決意新たにそう叫んだ。脳内で。
到着した隣の領は小さな山を一つ抜けただけ、とは思えないリッチな領。リッチな領…ということは領主がやり手ということでもある。ここの中心街は華やかで、またジェロームが言うには、当主邸は贅を凝らした相当豪華な屋敷なのだとか。でもって、この領にいる農奴たちの税率は相当高いらしい。ということは総合すると早い話…悪徳領主か…
「ジェロームとご先祖がお金借りてたのって…」
「ええ、この領の当主、ブラトワ男爵からです」
なるほどね。ジェロームは積み上がった利息で大変だったらしいけど、琥珀を独り占めしたいソティリオ商会のマーシャルさんが一気に返済してくれたらしい。なんでもその時悪徳当主の顔はいわゆる「ぐぬぬ…」になっていたのだとか。ってことは他に目当てがあったってこと?…領地が丸ごと欲しかったんだな、多分。
とにかくこうして僕とジェロームはデート…というか、シェイナが居るから、むしろ休日のファミリーというか、普段のジェロームは買い入れないであろう、ちょっとお高めの食材やワインなどを仕入れるついでにしばしの観光を楽しんでいた。
「わっ!ジェローム、これは何ですか?」
「溶岩のレンガです。ここブラトワ男爵領とさらに南のノストラ男爵領ではこういった溶岩石が採掘されるので切り出してレンガとして売り出しているのですよ。栄えたきっかけとなったのはその溶岩石があったからです」
「そうなんですね…」
ってことは、ここでは大昔噴火があったんだろう。
溶岩石の恩恵にあずかれなかったエンブリーだけがいつまでも貧乏から脱却できなかったというわけか。ま、それも砂金によって逆転だけど。
「じゃああれは?」
「木工品ですね。この地に生息するエーデルワイスを彫りこんであります」
「それって、王都の植物園で見た…」
「そうです。少しお待ち下さい」
そう言うとジェローム店主の声をかけ、二三話すと小さなブローチを手に戻ってきた。
「シャノン様これを」
「え…?」
手渡されたのは木彫りのブローチ。小さなその木片にはエーデルワイスが彫られている。
「高貴なあなたに木彫りの装飾品など不似合いかも知れませんが、記念に」
「す、スゴく嬉しいです!」
「ふふ、あなたならそう言ってくださると思っていました」
ふと見るとシェイナはエーデルワイスを模した造花を頭につけている。
「小さな木片は危ないですから。シェイナ嬢にはこれを」
ぐあぁ!う、羨ましい…
けど、さすがにいくら美しいと言われるシャノンでも、頭に花をつけて歩くのはちょっと…
仕方ないのでその栄誉はシェイナに譲ることにした。
「おや?これはエンブリーの。ご一緒されているのはどなたかな?」
ラブラブデートを楽しむ僕たちに馬車の窓から声をかけてきたのは、少し太めの金満な男。その両手にはごっそり指輪がきらめいている。
「え?ああこれはブラトワ男爵。例の会談以来ですね」
例の会談とは恐らく借財の返済をした会談の事だろう。
「こちらは…」
「僕は王都からエンブリー男爵を訪ねてきたプリチャード侯爵家の長男、シャノンです」
言いよどむジェロームの代わりに自ら名乗る。ジェロームを困らせるのは嫌だからね。
「こ!これはなんと!プリチャード侯爵家のシャノン様といえば第一王子殿下の婚約者様ではございませんか!」
くそぅ…その立場は未だ健在、仕方がないとはいえ不本意な…
「よ、よろしければ当家に滞在されてはいかがか。エンブリーでは碌なもてなしも出来ますまい」
「…僕とエンブリー男爵は友人です。僕は友人を訪ねて来ました。お構いなく」
「で、ですが!」
「もう行きますね。行こうジェローム!」
ブラトワとか言う男爵を乗せた馬車は、僕たちの姿が立ち去るまでそこを動こうとはしなかった。僕の第六感が何かを告げる。理由はないがどこかイヤな感じだ…。
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