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62 断罪の先にある運命 ②
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ギギギギギ…ゆ~…っくりと振り返る、一気に押し寄せる動揺。こう見えても基本が人見知りなのだ。おかげで転生直後の入れ替わり時に、孤高のシャノンらしさが難なく演じられたと言っても過言じゃない。
護衛だと思えばこそ気にしないでいたのに、あの腕が見知らぬ人だなんて…
目の前に居るのは艶やかな黒髪から水の滴る、スラリとした男性。前世で言ったら大学生ぐらいの…あ、待って待って…目が合った…
「あまり上等とは言えぬジャケットですが…お見受けしたところ高貴な方と思われる。肌が透けて見えるのはよろしくないかと。どうか堪えてください」
「…あり…が……」
カラ~ンカラ~ンカラ~ン
な、なんのSE…?どこからか教会の鐘が…⁉
上等とは言えぬジャケット…とはいうものの、身なりからして貴族なのは間違いないだろう。
それでいて、僕を軽々抱き上げた騎士にも劣らないムキムキしてないのに体幹を感じさせる体躯。これはあれだ。筋トレとかじゃなくてバランスの良い食事と勤勉に良く動くことで自然とついた系の…天性の身体!しなやか!しなやかだ!
ホリは深すぎず…それでいて薄すぎず…、王都のキラキラした貴公子たちとはまた違う種類の、整った一つ一つのパーツがバランス良く配置された顔立ち。なにより!深く澄んだ瞳は温和さの中に意志の強さを感じさせる黒真珠のようで……おまけに声は石川〇人だ!
彼を濡らす水滴にお日様が反射して…ううっ!眩しい!!!
ナニコレ…コノキモチハナニ…
「お加減悪い所はございませんか?」
「えっ?あ、はぁ」
「船遊びをするときは気を付けなければいけませんよ」
「えっ?あ、はぁ」
「お付きの方々がお見えになったようですね」
「えっ?あ、はぁ」
「後は彼らに任せましょう。では私はこれで」
「えっ?あ、は」
ちょちょちょ、ちょっと待ったー!
うっかり見惚れている間に彼はすでに場を離れようとしている。そんなことが許されるか?いいや!許されない!
「おおお、お待ちください!助けて頂いてお礼もせずこのままお返しするなんて出来ません!」
「お気になさらず。私は田舎育ちゆえ土や水にも慣れておりますから」
「で、でもっ!」
「当たり前のことをしたまでです。高貴なあなたとこれ以上お話しするのは憚られますので。ですが…お役に立てて良かった。ほら、お友達がいらっしゃいましたよ」
柔らかく細められる目。高貴なあなた?病人食のように薄~い縁でも、すぐに友人面するこの社交界において、名も名乗らないで恩も売らないで立ち去ろうとするなんて…何て謙虚で誠実なの!紳士の鑑!粋だね!
「だ、ダメ、あ、待って、」
一礼して立ち去ろうとする黒髪。ウソウソ、このままじゃ出会って三分で終わっちゃう。どどどど、どうしよう、頭が働かない…
「あ、あああ、あのせめてお名前を」
「わたしなどしがない田舎の下位貴族ですから。名乗るほどの者ではございません」
アー!!!僕は謙虚が美徳だなんて認めない!もっとこう、ガンガンアピールしてよ!恩を売ってくれても全然いいのにー!
「でも…あっ…」
タオルを持って駆け寄ったカイルを確認すると、一つ頷き歩きだす黒髪。待って待って、一歩がその歩幅って足長~い、じゃなくて!
僕のバカ!!!こんな時に素になってどうする!今こそシャノン降臨でしょうが!
「護衛ABC!その善良な黒髪の男性を今すぐ確保!カイル!彼を屋敷に連行!総員かかれ!」
僕によって鍛えられた護衛ABCは「何故…」とか「ですが…」とか言わない忠実さだ。
彼らは、屋敷への招待を辞退する彼を問答無用で馬車に拉致った。
というわけで…残念ながらこれで僕の川遊びはお終いである。第二第三の奇襲があっても面倒だし、いくら夏とは言え、びしょ濡れのままではいられないからだ。
本来だったらせっかくの行楽を邪魔され怒り心頭のはずだが、意外と怒ってないのはそれ以上の収穫があったからだ。むしろ褒美をやってもいいとさえ思っている。それぐらい今の僕は過去最高にいい気分だ。
ミーガン嬢は彼らを騎士に引き渡す!と息巻いていたが、僕は寛大な心でそれを押しとどめた。まぁ…いわゆる恩赦…的な?
さて、僕たちは二台の馬車でここに来ていた。一台に友人四人で乗り、もう一台にカイルが荷物とともに乗り、護衛の三人はもちろん馬である。
当然黒髪の彼はカイルの居る馬車に押し込められた訳だが、カイルは僕の言葉通り、乗り込むとすぐに馬車を出してしまった。
どうしてわかったんだろう。僕がそっちに乗ろうとしたこと…
カイルには最近行動パターンを見透かされている気がする。おかしいな?それほど変な事してないと思うんだけど…、ま、まあいい。どうせ屋敷に帰ったら会えるんだし。ん?屋敷…?あっ!
今頃気付いた…。僕は動揺のあまり名を名乗るのも忘れていた…。何たる失態!
「騎士A!そこにいる?」
「もちろんです」
僕は車窓から護衛Aを確認した。
「カイルに恩人には自分で名乗るからそれまで何も言うなって急いで伝えて」
「かしこまりました」
人任せじゃなく自分の口でね。あの彼には何故だか直接言いたい。
「それにしても大変なことになりましたわね」
「今はアーロンさんが王都に不在ということでこれだけの騒ぎで抑えられていますが…秋期からどうなりますか」
「うーん…」
どういったらいいんだろう。神子はもう居ない。本物の神子は赤ちゃんに転生してて、そしてその抜け殻を託されたのは愛(BL的な)と娯楽に飢えた腐男子だ。そして『神託』とやらはバリバリになった液晶と共に、今頃不燃ごみになっているだろう。
はーでも…、あんなのが続いても困るし…僕は今夜にでも少し対策を練ることにした。が、先ずは目の前の幸運に酔いしれることにしよう。
「お帰りなさいませシャノン様」
「ただいまみんな。ところでカイルと黒髪のイケm、男性は?」
「身体を拭き清め着衣をお着替えいただいております」
「じゃ僕も」
「シャノン様は湯浴みとお着替えでございますよ」
ルーシー…、その通りだ。よく言ってくれました。お風呂必須だ!こんな生臭い状態で彼に会うとか…出来ないでしょうが、僕のバカ!髪も洗わなくっちゃ!
僕は戻るまでのつなぎをアリソン君たちにお任せしてダッシュでお風呂場に駆け込んだ。護衛Bより先に伝言を受けていたメイドたちは、万全の状態で待機中だ。
「あっ、カイルにカモミールのオイル持ってきてって伝えて」
「かしこまりました」
僕は甘すぎないカモミールの香りが大好きだ。爽やかなサンダルウッドも好きだが今日は…ほんの少しだけフルーティーを演出したい。
フルーティー…ポッ…
「シャノン様、オイルをお持ちしました」
「ありがとうカイル。そこおいて」
「それからあの御仁の素性ですが…」
「うん。田舎の下位貴族…とか言ってたけどどこの方?」
「それがその」
「何?」
「シャノン様はいつもエンブリーの知人…とか言われる方に手紙を出しておいででしたよね?」
「そうだけど…」
「そのご本人でございます。エンブリー男爵領のご当主、ジェローム・エンブリー男爵です」
プクプクプク…プクン…
「シャノン様!」
ヤバイ…。運命が服着てやって来た。断罪後の第一希望と第二希望…チェンジで。
護衛だと思えばこそ気にしないでいたのに、あの腕が見知らぬ人だなんて…
目の前に居るのは艶やかな黒髪から水の滴る、スラリとした男性。前世で言ったら大学生ぐらいの…あ、待って待って…目が合った…
「あまり上等とは言えぬジャケットですが…お見受けしたところ高貴な方と思われる。肌が透けて見えるのはよろしくないかと。どうか堪えてください」
「…あり…が……」
カラ~ンカラ~ンカラ~ン
な、なんのSE…?どこからか教会の鐘が…⁉
上等とは言えぬジャケット…とはいうものの、身なりからして貴族なのは間違いないだろう。
それでいて、僕を軽々抱き上げた騎士にも劣らないムキムキしてないのに体幹を感じさせる体躯。これはあれだ。筋トレとかじゃなくてバランスの良い食事と勤勉に良く動くことで自然とついた系の…天性の身体!しなやか!しなやかだ!
ホリは深すぎず…それでいて薄すぎず…、王都のキラキラした貴公子たちとはまた違う種類の、整った一つ一つのパーツがバランス良く配置された顔立ち。なにより!深く澄んだ瞳は温和さの中に意志の強さを感じさせる黒真珠のようで……おまけに声は石川〇人だ!
彼を濡らす水滴にお日様が反射して…ううっ!眩しい!!!
ナニコレ…コノキモチハナニ…
「お加減悪い所はございませんか?」
「えっ?あ、はぁ」
「船遊びをするときは気を付けなければいけませんよ」
「えっ?あ、はぁ」
「お付きの方々がお見えになったようですね」
「えっ?あ、はぁ」
「後は彼らに任せましょう。では私はこれで」
「えっ?あ、は」
ちょちょちょ、ちょっと待ったー!
うっかり見惚れている間に彼はすでに場を離れようとしている。そんなことが許されるか?いいや!許されない!
「おおお、お待ちください!助けて頂いてお礼もせずこのままお返しするなんて出来ません!」
「お気になさらず。私は田舎育ちゆえ土や水にも慣れておりますから」
「で、でもっ!」
「当たり前のことをしたまでです。高貴なあなたとこれ以上お話しするのは憚られますので。ですが…お役に立てて良かった。ほら、お友達がいらっしゃいましたよ」
柔らかく細められる目。高貴なあなた?病人食のように薄~い縁でも、すぐに友人面するこの社交界において、名も名乗らないで恩も売らないで立ち去ろうとするなんて…何て謙虚で誠実なの!紳士の鑑!粋だね!
「だ、ダメ、あ、待って、」
一礼して立ち去ろうとする黒髪。ウソウソ、このままじゃ出会って三分で終わっちゃう。どどどど、どうしよう、頭が働かない…
「あ、あああ、あのせめてお名前を」
「わたしなどしがない田舎の下位貴族ですから。名乗るほどの者ではございません」
アー!!!僕は謙虚が美徳だなんて認めない!もっとこう、ガンガンアピールしてよ!恩を売ってくれても全然いいのにー!
「でも…あっ…」
タオルを持って駆け寄ったカイルを確認すると、一つ頷き歩きだす黒髪。待って待って、一歩がその歩幅って足長~い、じゃなくて!
僕のバカ!!!こんな時に素になってどうする!今こそシャノン降臨でしょうが!
「護衛ABC!その善良な黒髪の男性を今すぐ確保!カイル!彼を屋敷に連行!総員かかれ!」
僕によって鍛えられた護衛ABCは「何故…」とか「ですが…」とか言わない忠実さだ。
彼らは、屋敷への招待を辞退する彼を問答無用で馬車に拉致った。
というわけで…残念ながらこれで僕の川遊びはお終いである。第二第三の奇襲があっても面倒だし、いくら夏とは言え、びしょ濡れのままではいられないからだ。
本来だったらせっかくの行楽を邪魔され怒り心頭のはずだが、意外と怒ってないのはそれ以上の収穫があったからだ。むしろ褒美をやってもいいとさえ思っている。それぐらい今の僕は過去最高にいい気分だ。
ミーガン嬢は彼らを騎士に引き渡す!と息巻いていたが、僕は寛大な心でそれを押しとどめた。まぁ…いわゆる恩赦…的な?
さて、僕たちは二台の馬車でここに来ていた。一台に友人四人で乗り、もう一台にカイルが荷物とともに乗り、護衛の三人はもちろん馬である。
当然黒髪の彼はカイルの居る馬車に押し込められた訳だが、カイルは僕の言葉通り、乗り込むとすぐに馬車を出してしまった。
どうしてわかったんだろう。僕がそっちに乗ろうとしたこと…
カイルには最近行動パターンを見透かされている気がする。おかしいな?それほど変な事してないと思うんだけど…、ま、まあいい。どうせ屋敷に帰ったら会えるんだし。ん?屋敷…?あっ!
今頃気付いた…。僕は動揺のあまり名を名乗るのも忘れていた…。何たる失態!
「騎士A!そこにいる?」
「もちろんです」
僕は車窓から護衛Aを確認した。
「カイルに恩人には自分で名乗るからそれまで何も言うなって急いで伝えて」
「かしこまりました」
人任せじゃなく自分の口でね。あの彼には何故だか直接言いたい。
「それにしても大変なことになりましたわね」
「今はアーロンさんが王都に不在ということでこれだけの騒ぎで抑えられていますが…秋期からどうなりますか」
「うーん…」
どういったらいいんだろう。神子はもう居ない。本物の神子は赤ちゃんに転生してて、そしてその抜け殻を託されたのは愛(BL的な)と娯楽に飢えた腐男子だ。そして『神託』とやらはバリバリになった液晶と共に、今頃不燃ごみになっているだろう。
はーでも…、あんなのが続いても困るし…僕は今夜にでも少し対策を練ることにした。が、先ずは目の前の幸運に酔いしれることにしよう。
「お帰りなさいませシャノン様」
「ただいまみんな。ところでカイルと黒髪のイケm、男性は?」
「身体を拭き清め着衣をお着替えいただいております」
「じゃ僕も」
「シャノン様は湯浴みとお着替えでございますよ」
ルーシー…、その通りだ。よく言ってくれました。お風呂必須だ!こんな生臭い状態で彼に会うとか…出来ないでしょうが、僕のバカ!髪も洗わなくっちゃ!
僕は戻るまでのつなぎをアリソン君たちにお任せしてダッシュでお風呂場に駆け込んだ。護衛Bより先に伝言を受けていたメイドたちは、万全の状態で待機中だ。
「あっ、カイルにカモミールのオイル持ってきてって伝えて」
「かしこまりました」
僕は甘すぎないカモミールの香りが大好きだ。爽やかなサンダルウッドも好きだが今日は…ほんの少しだけフルーティーを演出したい。
フルーティー…ポッ…
「シャノン様、オイルをお持ちしました」
「ありがとうカイル。そこおいて」
「それからあの御仁の素性ですが…」
「うん。田舎の下位貴族…とか言ってたけどどこの方?」
「それがその」
「何?」
「シャノン様はいつもエンブリーの知人…とか言われる方に手紙を出しておいででしたよね?」
「そうだけど…」
「そのご本人でございます。エンブリー男爵領のご当主、ジェローム・エンブリー男爵です」
プクプクプク…プクン…
「シャノン様!」
ヤバイ…。運命が服着てやって来た。断罪後の第一希望と第二希望…チェンジで。
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