溺愛男爵は僕を離してくれない!

kozzy

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14 人間のちゅー ※R18…寄り

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はぁぁぁぁ…

気分はまるで初恋の相手と初夜を迎える思春期の少年のようだ。私としたことが…。

だが平常心を保ったまま日々を過ごすのがどれほど大変だった事か。
私の人生において一二を争う苦行がまさかルーイによってもたらされるとは…。


軽くリズムを取りながら朝食を用意するルーイの尻は、右へ左へ小刻みに揺れ私の理性を飛ばしにかかる。
これはマズイと書斎に籠れば、「ほら見て。ベロ紫」と、ブルーベリーを食した舌をわざわざ見せつけてくる始末。

このままでは大人としての威厳が保てない、と、新鮮な空気を吸いに庭へと逃げれば私よりも先に馬小屋で藁にまみれて可愛いヘソを丸出しにして大の字になっている…。あああ…。私が頭を抱えその場に膝をついたのは言うまでもない…。

夕食の配達に来たレイモンドなどは私の表情に何かを察し「大変だな、お前も…」と言い残して去っていった。


そうして意を決した夕食の席。

「腹は膨れたか」
「うん。お腹いっぱい」

「ふ、風呂はどうする」
「今から入る。グレアムさんお湯入れて」

「そ、その後は…」
「…遊びたいの?」

「遊びと言うか、何と言うか…」


自分自身がこれほど情けないとは思わなかった。
これでも学生時代はそれなりに経験は積んだものだが…主に宿屋の男娼とだが…。

そうか…。私はそこへと至る過程を経たことが無い。いつでも男娼たちは一糸まとわぬ姿で手招きをして私を待っていた。
今気づかされるその事実に目の前が絶望で塗りつぶされる…。

大丈夫だ。レイモンドから獣人を相手にする最低限のマナーは教えを受けた。尻尾は触るな…とか言っていたがルーイの尻尾など無いに等しい。

い、いざ…




🐹🐹





「ルーイ、その…今夜は一緒に寝てはどうだろうか…」
「一緒に?うーんと…あ、ギューギューにくっついて寝るの?」
「そ、そうだ!隙間なく密着したい」

「いいよ」


ペットショップのショーケース以来だなぁ…。なんか久しぶり。あの頃一緒にいた仲間たちもみんな元気かなぁ?
僕はソワソワする病気で元気じゃないけどグレアムさんが治してくれるって言ってたし…あ!もしかして今夜オチューシャするのかな?



でもね、お風呂に入っていつものように髪を乾かしてもらってたら、なんかふわ~…と…甘いような匂いがどこからか漂ってきて…最近時々感じる匂い。うっすらと…何だろこれ…。
けど…この匂い嗅ぐと落ち着かない気分になっちゃうんだよね…。

居ても立っても居られない。なんか…なんかこう…叫びたーい!そうだ!こんな時は…


「グレアムさん。ミルク頂戴。」
「ミルク?」
「うん。ミルク頂戴」

「…ミ…、あー、…その…、もちろ、いやそれは…まだ早い…」
「早いの?じゃぁ後で頂戴ね。あ!少し温かいのね」

「あ…、…ああ…」


「温かいミルクを飲むと落ち着くよ」って、ママがソウタに言ってたのに。飲むのに時間が決まってるなんて僕知らなかったな。人間ってめんどくさい…。



「と、とりあえずここに掛けてはどうだろう。いきなりベッドでは…。少し話をしよう」
「話し…、良いよ」


ひょいっとな。


「それで何話すの?」

「…改まって話すのはこう…、気恥ずかしいものだな。だがこういう事は大切だと私は考える。ルーイ、その、私は…お前のことが好きだ!」
「僕もグレアムさんが好きだよ」

「いやそうじゃない。愛している!」
「愛…」


あ、そう言えばパパがよく…『よっしゃ!きたきたチープインパクト!愛してるよー!』って。んー、なんか違う…。

『そーちゃんゆーちゃん愛してる!ママの愛する王子さま。チュッ!』
『じゃあ僕も。るーい、あいしてる。チュッ!』 
『僕も、アーン』『ダメよユーちゃん食べないで!』

ああ!あれか!


「僕も愛してるよ?あっ、じゃぁ〝ちゅー”しなくちゃ」
「…え?」

ちゅぅぅ

「‼‼‼ル、ルーイ…、ルーイ!!!」

「んなっ!」


ちゅーのお返し?い、息が!息が出来な…


「んー!んんー!」ポカポカ!

「っ…、ああ、ああすまない。す、少し練習しよう。いいね」
「うん」

「もう一度だ。ああ…ルーイ、愛してるよ…」


けっきょくソファに並んだまま5回ぐらい練習をしたけど…人間のちゅーって少し大変。

あ、あれ…余計に気持ちがワサワサして来ちゃった!グレアムさんはどうして平気なの…?だってどんどん甘い匂いが強くなってって…僕もう限界っ!!!



🐹🐹




「さあベッドに行こう。ああ違うルーイ。今日はそちらでなく私のベッドへ。」
「僕もう歩けない…」

「おいで。抱きかかえていこう」


大人しく腕の中に収まるルーイ。心なしかルーイも興奮しているようだ。ドクターの言葉が思い出される。
『この相手となら番になってもいいと身体の準備を始めたという事だ』
ああ…、彼も同じ気持ちでいてくれている。その事実がより一層胸を熱くする。

熱いのは胸だけでないが…


「グレアムさんのベッド…、何するの?あ、分かった。オチューシャするんだ。キュウッ!」
「す、すまないルーイ!」


あまりにも単刀直入なルーイの言い回しに、動揺の余り思わず落としてしまった…。ベッドの上で良かったようなものの…私の未熟者め!


「グレアムさん…、痛くないようにしてね」ドキドキ
「無論だ。優しくするとも。これ以上ない程…」



正直に言おう。自信はない…。





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