11 / 26
11 断固拒否
しおりを挟む
「ルーイ、本当にすまなかった…。理由も聞かないで頭ごなしに叱るなど…」
ピルピル…
「お願いだルーイ、顔を見せてくれないか…」
プルプル…
「ああ…私を嫌いになってしまったのか…」
だってだってビックリして…。僕の耳はとってもいいからグレアムさんの声もコウオンシツなんだよ。あの時の声はとってもリンジョウカン溢れてて…僕…おどろいて息の根が止まっちゃった。
それで目が覚めたらマシューさんちの、この世界で最初に居た記念の部屋で…。
マシューさんがグレアムさんが会いたがってる、って言ったけどまたあんなに大声出されたら僕シピピ…!ってなっちゃう…。
そう思ったら思わず布団に潜ってた。避難避難。ここには巣箱が無いから…。
「ルーイ、ではそのままでいいから聞いて欲しい…。いきなり怒鳴った事は…本当にすまなかった…。だがそもそもどうして森に入ったんだ?遠くに行ってはいけないとあれほど言っただろう?」
言われたけど…、でも…だって…。
言ったら絶対ダメって言うもん。それにグレアムさんへのプレゼントなのにグレアムさんがいたら探しに行けないよ。
「それにも何か理由があるのだろう?もう分かった。ルーイは理由も無く勝手はしない。そうだな?」
あーあ、なんかもうめんどくさい。あっちいっちゃダメ、こっちいっちゃダメって…まるでママみたい。もういいや。
だって僕はケージを飛び出し広い世界に生まれ変わったハムスターならぬムテキのハム獣人。飼い主って…必要?
…いらないかも…。
…お礼のつもりだったけどセンベツにしちゃおう。
🐹🐹
「お礼を…」
「何?ルーイ、今何と?」
「グレアムさんはいつも色々してくれるから…、だからお礼がしたくて…」
「お、お礼など…いや待て。だから森に入ったと?ルーイ、それと森とがどう関係…」
「ポシェットの中…」
「ポシェット…、あ、ああ。この小さな鞄のことか。この中…、これは…?」
「グレアムさんにあげる。いつもありがとう。でもさようなら」
鞄の中から出てきたのは小さな林檎と小さなベリー。
彼はこれらを採りに森へ入ったというのか…。私に礼を、そんな事の為に…。
胸に染みわたる彼からの好意。この感情をどう言葉にすればいいのか…。
「…っ!ルーイ!ああルーイ…。分かった。全部私が悪かった。だからもう屋敷に帰ろう」
「もういいの。だからさようなら。僕やっぱりあの小屋に戻る」
「駄目だ!そ、そんなことはレイだとて許可しない!」
「じゃあさっきのうろに住む。あそこ静かだし。木の実もいっぱいで僕ちっとも困らない。さようなら」
「何という事を…、もっと駄目だ!!!」
「ぴゃっ!」
私の大声に飛び込んできたマシューとレイモンド。後ろにはメルビンまでもが心配そうに覗き込んでいる。
「グレアム様!怒鳴っては駄目だとあれ程…、ルーイ大丈夫?」
「…全然大丈夫じゃない…」
「おいグレアム、お前…」
「分かっている。だがルーイはあの洞に戻ると言っているんだ。私を置いて洞に戻ると…。そんなことが許されると思うのか!」
「ルーイ、だ、だめだよそんな…」
「ルーイ、一人森では暮らせない。馬鹿を言うな」
「僕大丈夫」
「ルーイちゃん…。流石にそれは…」
「大丈夫」
「ねぇルーイ」
「大丈夫」
顔を見合わせるレイモンドとマシュー。肩を竦めるメルビン。だがいつまでたってもルーイの顔は布団の中から出てこない。
「もういい。強硬手段だが仕方がない」
「どうするって…?お、おい!よせってグレアム!」
「キュッ!」
私は力任せにルーイを引っ張り出すと小脇に抱え外へ出た。後ろで三人が何か叫んでいるが知った事か!
今ここで手を離したら彼の気持ちは戻らない、私にはそう思えて仕方なかった。
不安だったのだ。この小さな獣人を失う、それだけの事が途轍もなく…。
🐹🐹
僕を抱えたままグレアムさんは屋敷まで一目散!馬も使わず走り続けた。いいよねグレアムさんは足が長くて。あっという間にいつものお屋敷。
って言うか、なんで勝手に連れてきちゃったの?僕の話し聞いてた?
「もう!離して~!」
「良いだろう、離してやる!」
「ぴゃ!」
ボスッって放り出されたのはベッドの上。しばらくぶりの僕の巣箱…。巣箱の中にはたくさんのクッションが集めてある。
ここってばオガクズが無いんだよね…。だから代わりに集めたの。ワタみたいで気持ちイイ~!
それからクッションの下にはたくさんの木の実。ダメって言われたけど…しーらない!
あ…自分の匂い、ホッとする。マシューさんちのマクラは固いんだよね。ここのはワタみたいにフワフワなの。それじゃ…お布団お布団…。
「どうしたルーイ、眠るのか?疲れているのだな…。話は起きてから改めてしよう。今は休むといい…」
おやすみなさいグレアムさん。一回寝るけど起きたらさっさと出て行こう…。でも今はお布団が一番大事…グー…
目が覚めたら横の机には食べきれない程いっぱいのマカナイが!
こ、これって食べて良いって事だよね?…じ、じゃあ食べ終わってから出てこうかな?せっかくだもんね?いただきまーす!
ムシャムシャムシャ…グー…
いっけなーい!食べ終わったらうっかり寝ちゃった。へそくりのクルミ取ってこ…、
あ、リンゴだ。美味しそう…。た、食べてもいいよね?だって僕が採って来たんだもん。いただきまーす!
シャクシャクシャク…グー…
はっ!いつの間にか夜に…、時間が消えた…。
あ…、ヘチマだ!わーい!かじっても良いのかな…、ええい、かじっちゃえ!た、楽しーい!
バリボリバリ…グー…
ピピピ…チュンチュン…
「おはようルーイ。もう起きたのか…」
「あ、おはようグレアムさん。今日もいい天気だね」
「その、ルーイ…、昨日のことだが私は…」
「お腹空いた?すぐに卵ゆでちゃうから待っててね!」
「ル、あ?ああ…」
ん?そう言えば起きたら何かしようと思ってたんだけど…なんだっけ?…ま、いっか。
ピルピル…
「お願いだルーイ、顔を見せてくれないか…」
プルプル…
「ああ…私を嫌いになってしまったのか…」
だってだってビックリして…。僕の耳はとってもいいからグレアムさんの声もコウオンシツなんだよ。あの時の声はとってもリンジョウカン溢れてて…僕…おどろいて息の根が止まっちゃった。
それで目が覚めたらマシューさんちの、この世界で最初に居た記念の部屋で…。
マシューさんがグレアムさんが会いたがってる、って言ったけどまたあんなに大声出されたら僕シピピ…!ってなっちゃう…。
そう思ったら思わず布団に潜ってた。避難避難。ここには巣箱が無いから…。
「ルーイ、ではそのままでいいから聞いて欲しい…。いきなり怒鳴った事は…本当にすまなかった…。だがそもそもどうして森に入ったんだ?遠くに行ってはいけないとあれほど言っただろう?」
言われたけど…、でも…だって…。
言ったら絶対ダメって言うもん。それにグレアムさんへのプレゼントなのにグレアムさんがいたら探しに行けないよ。
「それにも何か理由があるのだろう?もう分かった。ルーイは理由も無く勝手はしない。そうだな?」
あーあ、なんかもうめんどくさい。あっちいっちゃダメ、こっちいっちゃダメって…まるでママみたい。もういいや。
だって僕はケージを飛び出し広い世界に生まれ変わったハムスターならぬムテキのハム獣人。飼い主って…必要?
…いらないかも…。
…お礼のつもりだったけどセンベツにしちゃおう。
🐹🐹
「お礼を…」
「何?ルーイ、今何と?」
「グレアムさんはいつも色々してくれるから…、だからお礼がしたくて…」
「お、お礼など…いや待て。だから森に入ったと?ルーイ、それと森とがどう関係…」
「ポシェットの中…」
「ポシェット…、あ、ああ。この小さな鞄のことか。この中…、これは…?」
「グレアムさんにあげる。いつもありがとう。でもさようなら」
鞄の中から出てきたのは小さな林檎と小さなベリー。
彼はこれらを採りに森へ入ったというのか…。私に礼を、そんな事の為に…。
胸に染みわたる彼からの好意。この感情をどう言葉にすればいいのか…。
「…っ!ルーイ!ああルーイ…。分かった。全部私が悪かった。だからもう屋敷に帰ろう」
「もういいの。だからさようなら。僕やっぱりあの小屋に戻る」
「駄目だ!そ、そんなことはレイだとて許可しない!」
「じゃあさっきのうろに住む。あそこ静かだし。木の実もいっぱいで僕ちっとも困らない。さようなら」
「何という事を…、もっと駄目だ!!!」
「ぴゃっ!」
私の大声に飛び込んできたマシューとレイモンド。後ろにはメルビンまでもが心配そうに覗き込んでいる。
「グレアム様!怒鳴っては駄目だとあれ程…、ルーイ大丈夫?」
「…全然大丈夫じゃない…」
「おいグレアム、お前…」
「分かっている。だがルーイはあの洞に戻ると言っているんだ。私を置いて洞に戻ると…。そんなことが許されると思うのか!」
「ルーイ、だ、だめだよそんな…」
「ルーイ、一人森では暮らせない。馬鹿を言うな」
「僕大丈夫」
「ルーイちゃん…。流石にそれは…」
「大丈夫」
「ねぇルーイ」
「大丈夫」
顔を見合わせるレイモンドとマシュー。肩を竦めるメルビン。だがいつまでたってもルーイの顔は布団の中から出てこない。
「もういい。強硬手段だが仕方がない」
「どうするって…?お、おい!よせってグレアム!」
「キュッ!」
私は力任せにルーイを引っ張り出すと小脇に抱え外へ出た。後ろで三人が何か叫んでいるが知った事か!
今ここで手を離したら彼の気持ちは戻らない、私にはそう思えて仕方なかった。
不安だったのだ。この小さな獣人を失う、それだけの事が途轍もなく…。
🐹🐹
僕を抱えたままグレアムさんは屋敷まで一目散!馬も使わず走り続けた。いいよねグレアムさんは足が長くて。あっという間にいつものお屋敷。
って言うか、なんで勝手に連れてきちゃったの?僕の話し聞いてた?
「もう!離して~!」
「良いだろう、離してやる!」
「ぴゃ!」
ボスッって放り出されたのはベッドの上。しばらくぶりの僕の巣箱…。巣箱の中にはたくさんのクッションが集めてある。
ここってばオガクズが無いんだよね…。だから代わりに集めたの。ワタみたいで気持ちイイ~!
それからクッションの下にはたくさんの木の実。ダメって言われたけど…しーらない!
あ…自分の匂い、ホッとする。マシューさんちのマクラは固いんだよね。ここのはワタみたいにフワフワなの。それじゃ…お布団お布団…。
「どうしたルーイ、眠るのか?疲れているのだな…。話は起きてから改めてしよう。今は休むといい…」
おやすみなさいグレアムさん。一回寝るけど起きたらさっさと出て行こう…。でも今はお布団が一番大事…グー…
目が覚めたら横の机には食べきれない程いっぱいのマカナイが!
こ、これって食べて良いって事だよね?…じ、じゃあ食べ終わってから出てこうかな?せっかくだもんね?いただきまーす!
ムシャムシャムシャ…グー…
いっけなーい!食べ終わったらうっかり寝ちゃった。へそくりのクルミ取ってこ…、
あ、リンゴだ。美味しそう…。た、食べてもいいよね?だって僕が採って来たんだもん。いただきまーす!
シャクシャクシャク…グー…
はっ!いつの間にか夜に…、時間が消えた…。
あ…、ヘチマだ!わーい!かじっても良いのかな…、ええい、かじっちゃえ!た、楽しーい!
バリボリバリ…グー…
ピピピ…チュンチュン…
「おはようルーイ。もう起きたのか…」
「あ、おはようグレアムさん。今日もいい天気だね」
「その、ルーイ…、昨日のことだが私は…」
「お腹空いた?すぐに卵ゆでちゃうから待っててね!」
「ル、あ?ああ…」
ん?そう言えば起きたら何かしようと思ってたんだけど…なんだっけ?…ま、いっか。
931
お気に入りに追加
892
あなたにおすすめの小説

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
婚約破棄された婚活オメガの憂鬱な日々
月歌(ツキウタ)
BL
運命の番と巡り合う確率はとても低い。なのに、俺の婚約者のアルファが運命の番と巡り合ってしまった。運命の番が出逢った場合、二人が結ばれる措置として婚約破棄や離婚することが認められている。これは国の法律で、婚約破棄または離婚された人物には一生一人で生きていけるだけの年金が支給される。ただし、運命の番となった二人に関わることは一生禁じられ、破れば投獄されることも。
俺は年金をもらい実家暮らししている。だが、一人で暮らすのは辛いので婚活を始めることにした。
竜王陛下、番う相手、間違えてますよ
てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。
『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ
姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。
俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!? 王道ストーリー。竜王×凡人。
20230805 完結しましたので全て公開していきます。
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?
桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。
前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。
ほんの少しの間お付き合い下さい。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。

僕のユニークスキルはお菓子を出すことです
野鳥
BL
魔法のある世界で、異世界転生した主人公の唯一使えるユニークスキルがお菓子を出すことだった。
あれ?これって材料費なしでお菓子屋さん出来るのでは??
お菓子無双を夢見る主人公です。
********
小説は読み専なので、思い立った時にしか書けないです。
基本全ての小説は不定期に書いておりますので、ご了承くださいませー。
ショートショートじゃ終わらないので短編に切り替えます……こんなはずじゃ…( `ᾥ´ )クッ
本編完結しました〜
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる