街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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3日間の苦行を終え、「こんなのもう耐えられない!実家に帰らせていただきます!」とコテコテの台詞をノリノリで言い放ち、すがりつくアルバートを無情に振り切り、……こうしてようやく僕はウエストエンドへと帰館を果たした。
学習期間入れてほぼ1か月ぶり…。
まぁ顔出ししてなかったか、って言ったら出してたけど…、でもやっぱりホームって良いな。ホッと。する。

僕を出迎えに現れたのは(って言っても自室だけど)感慨深げに何度も頷くジェイコブである。


「お帰りなさいませ。王太子妃殿下」
「止めてよもう!わざとらしい…」

「一度は言っておきませんと。それより坊ちゃまがお申し付けになられた『完全制覇』の宴は明後日でございます」
「ありがと。それよりジェイコブ、もう坊ちゃまはやめてよ」
「坊ちゃまは坊ちゃまでございます」


王太子妃なのか坊ちゃまなのか…まぁジェイコブが嬉しそうだからいいか…。



そんな遣り取りを経て、現在大宴会の真っ最中なのだが、なにやら非常に心外な話がまことしやかに出回っている。これは…? 


「なんでも俺らの領主様は本物の天使様で、神の御使いとして三人の使者を生み出すって話だな」
「レジー様はその三人に手中に収めたクラレンス、ウルグレイス、ついでにエトゥーリアの未来を託すんだと」
「ああ!おひとりじゃ大変だもんな」
「じゃあレジー様はここにおられるんだな。そりゃあいい!」

「は?何その話!?」


ヤバイ!何かを聞きつけたジェイコブがクラウスを引き連れて突進してきた…。


「坊ちゃま!」
「あっ!ジェイコブ、クラウス、これはちがっ…」
「このジェイコブ、ウエストエンドにもお一人後継者が欲しゅうございますぞ!」
「そうですな。お小さい坊ちゃま…、皆の士気もより一層上がりましょう」


…四児のママは遠慮したいんだけど。と言うか、僕を置き去りにして二人で盛り上がらないで欲しい…。

とは言え、実にいい気分だ。これぞ転生してから初めて感じた達成感。
なにしろレベルは天井解放してるから終わりが無いし、スキルやアイテムは聖魔法を持てない以上コンプはあり得ないし…、その代わりエルフやドワーフさんの協力を得て補完したけど…

とにかく!僕はやったんだ!何を…と言われても説明に困るけど………。


「楽しそうね」そう言いながら現れたのは本日神殿で特別な説法会を開いているはずの女神官ニコ氏である。


「ニコ…、丁度良かった。神殿の周りに以前にも増して尋常じゃない行列出来てるけどあれなに?何でみんな右手上げてんの?凄く統制された軍隊みたいな動きしてるけど怖いって…」

「あれは……敬虔なる信者による聖者の行進よ。気にしないで。最近は書き手も増えて盛況、ううん、何でもない」


ニコの活動はよく分からない…。
何しろああいった行列中に神殿に近寄ると妙な視線に…、このキュン魔力と狂魔力で人様から注目を浴び慣れた僕でさえ、一瞬ビクッっとなるような視線にさらされるのだ。特にヴォルフやシャリムが一緒だと…こう舐めまわすような…。
……うん。君子危うきに近寄らず、だね。

そうしてニコは「トイレって言って出てきたからもう行くわ」と神殿に向かって戻っていった。忙しい人だな。


「レジーおめでとう。ふふ、結婚か完全制覇かは知らないけど」
「セザールありがとう。戻って来たばっか?」
「うん。君の帰館に合わせようと思ってすぐに王都を発ったんだよ。話もあったし」


セザールの言う話とはもちろんパパになる件である。

実際ひどい話だと思うのだが、「君との子を育てられるなんてこれ以上の感動は無いよ」と満面の笑みで言ってくれる人間の出来たセザールには足を向けて寝られない…。


「そうそう。エルダーがハイエルフの力を貸してくれるって言ってて…」
「そうなの?」
「うん。ユージーン様の魔法陣ではまだまだ一度に一人しか無理だからって」


何しろあっちでもこっちでも子供が欲しいとか好き勝手言うから…、呆れたエルダーが何度も術を使うのは僕が負担だろうからって、親切にも少し手を貸してくれるって言ったんだよね。一度に三つ子を作ってくれるって。あ、作るって言っても赤ちゃんの基のことだよ?


「だからね、エルダーの力が最も高まる時期まで待ちなさいって。それで僕の片割れとなる相手の欠片…?が要るとかなんとか」


遺伝子情報…的な?なんかそんな感じ。


「欠片…。よく分からないけど、分かった。両親には僕から伝えておく」
「あ、ついでに王様にも」
「いいよ。その魔法はここで授かるのかい?」
「ううん。エルフの里で。だからお邪魔できるのは僕だけね」
「そう…、その奇跡を直接見られないのは残念だな」

「ごめんね。でもエルフは気難しくて気まぐれだから。代りに今度エルフさんの踊り見に行かない?」
「そんなのが見れるのかい?嬉しいな」
「二人でね。こういうのはセザールとしか楽しめない」
「ふふ」


エルフ美女にモテモテのヴォルフは「うっとおしい!」って言って彼らを避けてるし、アーニーは食い気が勝ってるし…、シャリムはダークエルフの因子が騒ぐのか対抗心があるみたいだし。彼らは三人ともエルフには好んで近づかないのだ。

おっと!ここで酔っ払いの乱入!千鳥足のコチドリさん!


フラ~「レジー様!しゃべってばっかいないで飲んでますかー!」フラ~
「飲んでないよ」
ユラ~「セザール様もほら、うぇーぃ!」ユラ~
「じゃあ少しだけいただこうか」
「…つきあいいいね…」

ゲッ!オオトラのタイガー夫妻まで来ちゃった!

ヒィック「レジー様、せっかくの祝いだってのに何してんだこんなとこで」
「セザールとお話を…」
「いいから飲め!俺の酒が飲めないってのか!」ウィィィック
「いや、飲むとも飲まないとも言ってな」
「あたしが注いでやるからもっと飲みなさいよ!」ダバダバダバ…

「あーあーあーあー、溢れてるじゃない…」

ぎょぎょ!コトラの大群!あ…あ…ぶっといモフモフ肉球が…

「みんな!レジー様を囲め!!!」
「ちょっと!嬉しいけど、ちょ、ま、わぁぁぁ!」


いつの間にかコグマたちまで混ざって、気が付いたら僕は重めのモフモフで身動きが取れなくなっていた…。
このまま圧死するなら本望…、偽らざる本心である…。





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