街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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169 18歳 in 封印の部屋 ②

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「ヴォルフ、イソヒヨドリが大変。早く助けて」
「シャリム…。呼ばれて行ったと思ったらものの数十分で戻るとは…どういう事だ?」
「これをドワーフに渡して。」
「これは…例の印画か。これをどうしろって?」


イソヒヨドリに呼ばれて行ったあの部屋はイヤな感じのイヤな部屋。そこに居るだけでどんどん魔力が減っていってイソヒヨドリも苦しそうだった。
僕は長いあいだ母さん以外とは話せなかった。だからたくさんしゃべるのは得意じゃない。
それでもイソヒヨドリを助けるために言われたことを一生懸命ヴォルフに伝える。それしか今は出来ないから…。


「これをドワーフに渡して解呪の方法を見つけろって。イソヒヨドリは捕まってる。その部屋は魔道具。魔力が吸われる。僕もいっぱい吸われた…もうダメ…」

「…あとでポーションを持ってきてやる。それで?」
「吸った分だけ封印が頑丈になる。嫌な部屋。魔力が吸われてアイテムも使えない。イソヒヨドリは出られない」

「何だと…⁉『テレポーター』が使えないのか!」
「『ワープゲート』もあの部屋に入ったら使えなくなる」

「…乗り込んで行って壁ごと壊せばいいのか?それとも扉を突き破るのはどうだ」
「無理。壁も扉もアダマンタイトで出来てる。イソヒヨドリは壊せない。オオカミでも無理」

「アダマンタイトか…」


僕はイソヒヨドリから聞いた大事な指示をヴォルフに託す。急いで色んなことを一度にやらなきゃいけない。それも他人の力を借りながら…。きっと僕には出来ない。だから悔しいけどヴォルフに任せる。

今大事なのはイソヒヨドリを助けること、それだけだから。



「ドワーフとエルフ…純血種…、そうか。」

「それとアーニーを連れてけって言った。これ…」
「何だこの印画は」

「錠前。特殊だからアーニーに見せろって」
「そうか、あいつは鍵開けも得意だったな。…良いかシャリム、お前はここで待て。何時呼びだされてもいいようにな。」

「待つ。僕はイソヒヨドリを助ける。絶対助ける」

「当たり前だ」







ナバテアに行っていたはずのヴォルフがいきなり現れたのは日も暮れようかという頃。挙句、レジーの身が危ないから付いてこいだと?何言ってやがる!


「…チッ!くそオオカミ!お前がついてて何やってんだ!情けねぇ!」

「…俺もレジナルドも狂魔力を過信していた。全てを凌駕するあの力がちょっとやそっとの罠や魔道具に負けるものかと。まさかその狂魔力が仇になるとはな…」

「何だそりゃ!ゲスマンの時だって苦戦したじゃねぇか!」
「あの時には人質が居ただろうが!だからこそ今回俺は居残りを受け入れたんだ。万に一つも俺が捕まれば…」
「レジーはお前の為なら何もかも差し出す!分かってんだよそんなことは!クソっ!」

「無駄話はもういい。行くぞ!」



俺はヴォルフから聞いた通りドワーフ兄弟に説明していく。
その空間にある全ての魔力を吸収していく魔道具…。そしてその吸い上げた魔力こそがその空間を更に強化する…。
つまり空間内の魔力が多けりゃ多い程ヤバイって事を…。なら狂魔力を持つレジーはどうなる?


「ううむ…、この印を解呪する魔道具を作れだと…?無理だ。」
「おいビフ!レジーはお前を見込んで頼んでんだ!村長みたいなこと言ってんじゃねぇ!しっかりしろよ!」

「だがわしらドワーフは魔道具作成に印は使わん。これを使うのはエルフや地のエルフたちだ。せめてこの印について詳しい者がおればなんとかなるかも知れんが…」

「地のエルフ…ナバテアやゲスマンの始祖…だからか…。…待て、エルフでも良いんだな?」
「そうだ」



詳しいやつを連れてくる。そう言うなり『ワープゲート』で消えたヴォルフ。戻って来たのは30分ほど経った頃。その奴がその背に乗せてきたのは…エルフの長じゃねぇか!

初めて会うハイエルフにさすがのビフも腰をぬかさんばかりに驚いている。
ビルがどこか懐かしそうに見えるのはエルフへの懐古か…。


「シャリムはその部屋をエルフを閉じ込めるための部屋だと言った。ならばこれはエルフにとっても不要な部屋だ。協力しろ!」そう言って奴はエルフの長を連れてきたらしい…。スゲーな…。


「我が愛し子に手を出すとは恐れ知らずな…。だが我らエルフは人の子の暮らしには関わらぬ。」
「おい!ふざけたこと…」
「だがその印とやらは見てやろう。ヴォルフよ。印の解除には力を貸すが愛し子を助け出すのはお前だ。良いな!」


そんな緊迫した作業場に乱入してきた一人の男が居る…。


「アーニー、ヴォルフ、レジナルドの危機とはどういう事だ」
「シュバルツっ⁉」

「戻れシュバルツ!お前が知る必要はない!」
「いいから聞かせてもらおう。彼はナバテアに行ったのだったな。…ナバテア…あの軍事国家に。彼はどうなっているのだ!」

「教えてやれよヴォルフ。ここまで聞いてこのまま戻れるもんかよ!」

「…いいだろう。だがこれはまだ誰にも言うな。事が大きくなれば国が動く。それは最終手段だ。あいつなら恐らくそう言う…」

「…不本意ながら了解した。さあ話を聞かせてくれ」








「魔力はどうだ?もうそろそろか?」
「いえ、それがまだ…」
「なんという量だ!これが狂魔力…。いいだろう。急ぐことは無い。どうせどうやってもここからは出られぬのだからな。フフ…焦らされるのもまた一興…」


扉の外からかすかに聞こえるクソ腹立たしい皇帝の声。時折開けられる覗き窓の覆いすら僕の様子を確認するやすぐ閉じられる。用心深い奴らだ…。

いやもうホントに。しかし魔力量200オーバーで良かったよ…。多分…今300ぐらいイッテたっけ?前人未到の数字だよ。
それだけじゃなく、思いのほか吸収が遅いのは多分エルダーに貰った〝純血種の気”のおかげ…。ジェイコブ…、ああ…僕の頼れるジェイコブが言う事に間違いはなかった…。一生付いて行きます、ジェイコブ…!

必ずシャリムはやってくれる。だからそれまで…、それまでは何とか持ちこたえるんだ!


「シャリム…」

「イソヒヨドリ…みんなもうすぐ助けに来る。外から鍵開けるってそう言った。」

「外から…。もうあまり時間が無い。大事なことを伝えておく」


最初に召喚したときよりも魔力の吸収速度が上がっている。それに気づいたシャリムもただ黙って僕の言葉を聞いている。


「分かった…。もう行く。これ以上居られない…。これ飲んで…」


ものの数分で戻っていくシャリム。彼の闇魔力は相当強い力だ。けど荒ぶる狂魔力程の魔力量じゃない。
差し入れて行ったポーションがシャリムの心配を物語る。大丈夫…まだ大丈夫…。


けれどいつまでもつか…







「おいまだか!ヴォルフからの伝言だ!レジーの様子を見たシャリムは数分で魔力のほとんどを持ってかれたとよ!」
「あの強い闇魔法を持つシャリムくんが…。ではレジナルドも…急がねば!」


しばらくのあいだ同じ屋敷に居たシャリムとシュバルツは比較的良好な関係を築いている。つーか、清く正しいシュバルツを煙たく思う奴はそれだけで胡散臭いってこった。


「急かすでないシュバルツ、アーニー。ビフもエルダーも精一杯急いでおる。かと言っていい加減なものは作れぬ。分かるな?」

「分かるけどよ…」

「ところでヴォルフの奴はどこへ行ったのだ」



「…心強い助っ人を呼びに行ったぜ。とっておきのな!」






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