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149 18歳 at パブリックエリア

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「ジェイコブただいま。ウィル、予定よりかなり遅くなってごめんね。でも予想以上の収穫だよ。大満足。」

「坊ちゃま、それはようございました」

「さ、淋しかった…。お帰りなさいレジーざま…ううぅ…」
「ああほらほら、泣かないの」

「シャリムまで長期不在の静かな屋敷にウィルは限界をむかえまして…、淋しさの余りアーニーのところにまで入り浸る有様でございました。」
「う、ウィル…本気でゴメン」ギュゥゥゥ…「その代わりお土産いっぱいあるからね」

「そんなことより坊ちゃま、幾つか伺いたいことが…お分かりですな?」


ギクッ!これはあれだな…、側夫の件だな…。





予想通り…というか、それ以外にない、と言うか。案の定ジェイコブは執務室に入るなり呆れた顔で大きなため息をついた。


「どうしてお断りにならなかったのですかな。いくら王家とは言え所詮他国。坊ちゃまが命を聞く必要などどうしてありましょう」

「僕はね。でもセザールとデュトワ家の皆さんが気の毒で…。」


そりゃ突っぱねることも出来たっちゃ出来たけど…、実害あるかって言ったらそれ程ない、どっちでもいいかなっていうのが本音だ。


「クラレンス王の不興を買うのではありませんかな」

「クラウス…。むしろクラレンスの王様が一番ウルグレイスのめんどくささをご存知じゃないかな。言い出したら絶対引かないタイプでね…」
「ははは、エトゥーリアの件もそうでしたな」

「ものは考えようだって。あそこで強固に断ったところでどうせ次から次へと刺客、…じゃなかった、見合い相手を送って来るに決まってるんだから、あの王様なら。ならとっとと安パイで決めちゃったほうがいいでしょ?こーゆーのはごねると却ってハズレ引くからね」


僕はやりたくないとごねた挙句、一番業務の多い広報になってしまった高校時代の委員会決めを思い出していた…。


「殿下にはなんと?」
「セザールの説明以上のものがある?二人は友人だし多分僕が何言うよりいいって。スルーの方向で」


そつのなさこそセザールの真骨頂。ふふふ、って微笑みながら優雅な所作で煙に巻いたに違いない!


「しょうのない坊ちゃまですな。仕方ありません。ではすぐにでもデュトワ家に選りすぐりの品を贈っておくとしましょう」
「なんで?要らないよ。セザールだよ?」


品って何?結納品…的な?お詫び?もしかしてお詫びの品なの!?うちのがご迷惑おかけします…とか?


「坊ちゃま。これはランカスター公爵家としての牽制でございます。デュトワ家だかなんだか存じませんがウルグレイスの侯爵家なんぞに主導権を握られては困りますからな。あちらよりも先に豪華な品を贈らねば…」

「えっ?」

「そうですぞ坊ちゃま、どちらが上かはっきり示しておきませんと…。こういった事は最初が肝心ですぞ?」

「クラウスまで…、じゃあ任せたよ。」


意外なところでジェイコブの貴族魂を垣間見てしまった…。

以前セザールのお屋敷をこのウエストエンドに建てるにあたり、デュトワ家から「ほんのご挨拶」と、それは見事な金彩の施された、繊細にしてゴージャスな一目で相当高いヤツ、と分かるティーセットが一式どころかごっそり送られてきたのだが…
あー、ジェイコブってばマウントとられた気分だったのか…。僕は「わー豪華ー」としか思わなかったのに…。


「では改めまして収穫とは如何様な?」

「長かったようで短いウルグレイスを含む1か月半の旅。収穫は…〝ヴィラの裏山に出没するレアキャラ”と爆誕したSSSキャラ二人…。ううん、何でも」

「ヴィラの裏山に出没する…、それは一体…」

「今後エルフの皆さんが東の山へ遊びに来ることになったからそのつもりで」

「なんと!伝説の妖精エルフが、でございますかな?どうしてそのような事が可能に…」


日頃取り乱す事のないジェイコブでさえ驚きの声をあげるんだから、如何にエルフが珍しい存在か分かるってものだ。

僕のかいつまんだざっくりした説明に慣れっこの二人はあっさり把握し僕の指示の元すぐさま必要な手配に取り掛かった。

クラウスには封鎖石の確認と強化を、ジェイコブにはヴィーガン食の確認と強化を通達する。


「封鎖石はさらに2段階ほど強化するように。エルフは強いけどこれはうちの危機管理責任の問題だから。」
「王族方の出入りに合わせて今でも相当強化してございますが…」

「念には念をで。」
「ははっ!」


「宿泊はされるのですかな?」
「ううん。彼らはエルフの力で行き来するから日帰りだと思う」


ジェイコブからはほんの僅かに安堵の息が漏れた…。


「以前僕が頼んで作ってもらった豆乳があるよね。あれをベースにすれば豆腐が出来るし…、エルフ向きのフルコースを再現できるはずだ。」
「シェフにそう申し伝えておきましょう」

「じゃあ各自よろしく。僕は街に出る」






改めて二人が居て良かったな…と再認識しながら僕はお土産を持って公共区域へ。
目的地はベターライフ神殿。ニコの楽園だ。けど、すでに嫌な予感しかしない…。



「あーはっはっはっはっ!何それ?ウケる!ウソから出た誠ってやつ?まさかほんとに側夫持つなんて…くく…お腹痛い…」
「ニコ、笑いすぎ」

「それに何よ『落花流水』って。つまり相思相愛ってことじゃない」
「え?そうなの?なんか分からない事言ってるなー…と思ったけど…」

「礼二君ってばとことんBLの神に愛されてるのね」
「居ないから、そんな神さま」


居たとしたらきっとそれは僕にキュン魔力を付与した神様に違いない…。


「それはさておき…エルフも懐柔したの?すごいわね…」
「人聞きの悪い…、僕の献身に胸襟を開いてくれたんだよ」

「で、どうなの?エルフの長は」
「あのね…そういうんじゃないよ。すごい美形だけど、どうも現実感が無さ過ぎて…」

「そそらない、…と。」


そそられてたまるか!僕はドヤ顔でニコに説明した。ハイエルフは無性で『恋エロ』の罠には嵌らないって事を…。


「そもそもエルフはみんな僕の事狂暴な悪霊扱いしてて…、どっちかと言うとヴォルフの方がモテてたよ」

「色々残念ね。でも礼二くん、あたしの想像力は全てを凌駕するの。何ひとつ問題じゃないわ。ありがとう。お土産よりもいい土産話ね。これで二~三本…ううん五本はいけそう」


何が…?







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