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134 18才 sweet talk レジナルド

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日付が変わる少し前、

「私とフィアンセはここで失礼させていただこう。今朝は少々早かったのでね。皆はまだまだ楽しむがいい」

こう見えて気の利くアルバートの退場宣言にようやく寝れる…と思った僕は甘かった…。




正式な婚約によりアルバートの隣に移動となった王城での僕の部屋。


「アルバート…、僕もう寝ようかと思ってて…。自分の部屋に戻」ドサリ…「うわっ!」

「すまない。けど…ああ!ようやくこの日が…、キスしていいかい?レジー…」


何度もしておいて何を今更…、じゃなくて!


「…アルバート、宣誓書にサインしましたよね?分かってますよね?」

「もちろん分かっているが…す、少しくらいはどうだろうか…」

「…貴族のマナーに反します。宣誓書がなくても婚前交渉は貴族の振舞いとしてもってのほかですよ?」
「だがみんな陰では上手く…。ローランドもそうじゃないか…」


ローランドめ…。悪い見本になってどうする…。


「だけどアルバートは皆の手本となるべき王太子殿下。だからイケマセン!」
「じゃあ君は私に一年我慢しろって言うのかい?それはあんまりじゃないか…。私だって男なのだよ?」


僕も男ですけどそれが何か?
…ああでも…イケメン王子様がこんなに情けない顔で…少し可哀想かな…?一応婚約者なんだし…。それこそ僕も男だ。気持ちは分かる。

ヴォルフも「暴走されたくなきゃ適当に飴は与えておけ」って言ってたし…。


「…うーん…、じゃあ僕の提案する政策を王都で一つ実現するたびにご褒美としてすこーーーしだけ良いことして差し上げます。」
「良いこと…?」

「そう、良いこと…」ニコリ
「良いこと…」ゴクリ

「アルバートはやれば出来る子ですから。期待してます。頑張って!」
「わ、分かった。では何をすればいい?」

「王太子ごときに大したことは望みませんよ。でもまずは小手調べ。貧民対策から始めましょうか。後日企画書お渡ししますね」
「後日…」


あーあー、イケメンが台無しだよ、シュンとして…。仕方ない。恥を忍んでキスくらいなら…


「えーと、今日はこれだけ」チュッ「う、うわっ!んー!んんーー!んんんーーー!!!」

ボクッ!
誰がそこまでしていいって言った!


「ちょっと!いい加減にし、………おやすみなさいアルバート。良い夢…は見れないか…」


婚約成立した後で良かった。そう。これは仲睦まじい二人によるただのじゃれ合い、じゃなきゃ不敬罪で捕まるところだ。
…まさかうっかり膝蹴りが王太子殿下のみぞおちに入っちゃうなんてね…








基本がチョロいアルバートを侮ってたら強腕なクラレンス王の遺伝子を発見してしまった昨夜の僕…。
何事も無かったかのようにアルバートのベットに転がしといたけど…ゴメンね?


「危ないレジー、ぶつかるよ。ああほら、言ってるそばから…」


ショートスリーパーな僕は早起きして王城の庭をお散歩中。
うっかり昨夜のことを思い出してたら花台を蹴飛ばしてしまった…。この柔らかな声は…


「レジー、朝の散歩かい?随分早いんだね」
「セザール…うんまあ。目が冷めちゃって…」


いつもならオスカーかローランドの屋敷に泊まるはずのセザールは、お兄さんが王城に滞在している間は一緒に泊まることになったのだとか。


「昨夜はシュバルツ殿と踊っていたね。彼は随分幸せそうだった」
「どこで見てたの?へたくそだから見られたくなかったな。テラスに隠匿かけたのに…」
「その前からテラスに居たんだよ。大丈夫、上手く踊れていたよ?」
「シュバルツのリードが良かったんだよ。僕は踊れない」
「力強く君の腰に手を回して…、彼には良い思い出になっただろうね」


僕なんかと踊らないできれいな女性と踊れば良かったのに…と思わないでもないが僕は彼の苦難を全て知る恩人だ。
その僕とああいった晴れやかな場所で踊れることに意義があったのだと思っている。


「この際だからセザールとも踊れば良かったかな?セザールなら僕が踊れなくてもカバーしてくれそう」
「ふふ。僕はいいんだ。ウルグレイスでパートナーを務めさせてもらうから」
「ウルグレイスで?」
「当然だ。クラレンスの公爵が訪ねてきて夜会の一つも開かないわけがない。僕の家はね、ウルグレイスでも一二を争う名家なんだよ」


それは知ってる。ウエストエンドの別荘地区にポンっとでっかいお屋敷建ててくれたもんね。


「それよりどう思った?兄の事を…」
「ん?別に?軍神マルスみたいな人だなぁ…としか」
「ふふ、間違ってはいない」


スキップして士官学校を首席で卒業したギーは若くしてあっという間に中隊長にまで上り詰めたのだとか。
その後も数々の武功をたてて、過去には王女の婿にとのお声掛かりもあったらしい。


「兄はあっさり断ってしまったけれど。待つ人が居ては心置きなく戦えないって言ってね」
「徹底してるね。」

「その兄なんだけどね…、どうやらヴェルナー殿下にお誘いを受けているみたいで…」
「ああ!一昨日の話…。専属護衛だっけ?観念してお受けするの?」
「王女との縁組を断ったうえ王子殿下の誘いまで断ったとあってはさすがに非礼だろう?」
「確かに…」

「ふぅ…、護衛で済めばいいのだけどね…」
「…?」



軍神マルスによく似たギー…。さすがルーブルで石膏像になるだけのことはある。美しいもの好きなウルグレイス王家のハートをガッチリ掴んで離さない…。

僕は他人事とはどうも思えず、大変だな…、と同情を禁じえなかった…。


「それにしてもデュトワ家はみんな美形だよね」
「ありがとう。兄にもそう伝えておくよ。こう言ってはなんだけどウルグレイスの民は総じて見目の良い人が多いんじゃないかな」
「そうなの?」


へー、まるで北欧の国みたい。


「我が国はね、遥かなる古の時代エルフの国と親交があったんだよ。今ではそれも閉ざされ彼らは更に遠くへ移ってしまったけれど…、でもあの美しいエルフの血がウルグレイスの古き民にはほんの少し流れていたのさ。ほら、ウルグレイス王家の持つ特別な使役魔法、あれなんかもその名残だよ」

「あっ!伝書バト、クルッポーの…」


ゲームには出てこなかったウルグレイスのオリジナル魔法。あれがエルフの影響だったとは…。た、…たぎる!


「ウルグレイス王家の始祖はエルフの末姫を娶っていてね。その時だよ。ウルグレイス王国がウルグレイス神王国になったのは」
「な、なるほど…」


ウルグレイス訪問…、がぜんやる気が出た!







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