街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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120 17歳 at 王城外門付近

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「こうしてはおれぬ!今すぐオルランド殿下を救出すべくゲスマンに援軍を送らねば!」
「駅に居る意識のない騎士たちも早く運んでやれよ!」


目の前に現れたのはオスカーによく似た背の高い男。
ってことはこいつがホレイショか…。

ホレイショはヴォルフの背に乗せた人物を確認すると慌てふためき城内へと運び入れた。そして今、平民の俺と獣化中のヴォルフは、それ以上進むことを許されず外門の門番塔で尋問されている。

この外門にはという、王城特有の高度な制約が付されていると聞く。大層なことだ。

話をするのは対峙したヴォルフ。駅舎の向こうに居た俺には半分も見えちゃいない。


「もしやそのまま置いて来たのではあるまいな!」
「いいや。今は攻撃を逃れたウエストエンドの騎士が駅を守っている。だがいつまでもあそこに置いておくのは不味いだろう。」

「ではその旨も含めモレー聖騎士団長に指示を仰がねば。お前たちも即刻現場に戻って…」

「待て!レジナルドは俺にここへ行けと言った。嫌な予感がするからと…。お前にはその意味が分るか?」

「何!ランカスター公がそのような事を…。今宵はエトゥーリアの殿下方を歓迎する宴が予定されている。狂魔力が何かを察知したのか…。ふむ…では白狼、お前は獣化を解きアーニーと共に付いて参れ。そのままの姿で王宮内に入れるわけにはいかん。」




外門と内門の間は広い敷地で、騎士舎や使用人宿舎の他、厩舎、納屋、穀物庫など、城内で必要とする様々なものがいったんここで保管されている。多くの品々を持ち込むキャラバンや商人たちが立ち入れるのは通常ここまでだ。

この先には内門、つまり主城門があり、門をくぐった先には豪華な庭に囲まれたこれまた豪華な宮殿が姿を現す。
俺たちには無縁の場所。…だがレジーにとっては親族の家だ…。




「おいオスカーの父親、あそこにいるのはエトゥーリアのウォーデモンか?」
「む?お前はウォーデモンを知っておるのか?」

「大商会の頭取とか言っていたが…。レジナルドが眼を光らせていた男だ」
「白狼、それはどういう意味だ…」


気後れする俺と違ってヴォルフの奴はいつも通り、図太い奴だ…。
だがヴォルフの示す男が話しこむ相手…、あの貴族には見覚えがある…。


「それよりホレイショさん、あっちの貴族はアッカーか?」
「馬鹿者!王城内で貴族をそのように呼ぶ奴があるか!不敬罪で捕まりたいのか!」

「ああん?あんな奴に払う敬意なんかあると思うか?あいつはスラムのボスと組んでた悪徳貴族じゃねぇかよ」
「何だと⁉アーニー、それはどう言う意味だ!」

「どう言うも何もそのまんまの意味だ。」


俺は教えてやった。あいつは当時、税関を受け持つ財務大臣の補佐かなんかで、時々アジトに来てはボスにキャラバンや行商の情報を流して裏で甘い蜜を吸ってやがったってことを。
スラムのガキをゴミのように扱い虫けらみたいに追い払うこいつが俺たちは大嫌いだった。こんなところで見かけるとはな!


「そういやヤバそうな荷馬車を税関で素通りさせてたのも見たぜ。あいつは汚ぇ。相変わらず財務の補佐やってんなら気をつけろよ。」

「おいアーニー、ヤバイ荷馬車とはなんだ。例えばクーザの様なクスリか?」

「クーザ?当時はそこまで強いブツはまだ無かったと思ったけどな。もっと軽いやつじゃねーの?うちのボスは『割に合わねぇ』とか言ってヤクに手は出さなかったからよく知らねぇ…それがどうした?」

「あれ以来密輸ルートを探り続けていたのだが…、まさか堂々と税関を通っていたのか…?」
「とんだ灯台下暗しだな」

「もしやアッカーはあの女、エヴァとつながっていたという事か?疑問だったのだ。あの女はどうやって売人に渡りをつけたのかと。それだけは最後まで口を割らなかったと言う話だ」
「見えてきたな。ゲスマンから世界中を飛び回る大商人、税関を牛耳る貴族から辺境貴族…汚染の輪は地方から広がる…」
「王都ではすぐに足がつく、そういうことだろう…」


この口ぶり…
なにやら去年あたりガタガタしてた事情をヴォルフは全て知ってたってのか…。



いいさ。俺は獣人の様な力も無けりゃ騎士のように魔法も使えねぇただの平民。力であいつを守る事なんかどうせ出来やしねぇんだ。
だがヴォルフには出来ねぇ事が俺には出来る。そうだろう?レジー…

俺が守るのはあいつじゃない。あいつの街だ。俺は日々変わりゆく街を見て楽しそうに笑うあいつの顔がみれりゃそれでいい。



場違いな俺の思考を遮ったのは声を荒げたホレイショだ。


「すぐに両大臣、そして陛下に伝えねば!おいそこの!」
「はいっ!」

「あの商人とアッカー侯をどうにかここに引き留めておけ」
「私の様な一介の騎士にアッカー侯を引き留められるでしょうか?」

「そこを何とかするのだ!急ぐぞアー二ー!白狼!裏にまわる!」








信じられない状況に何が起きたか未だ分からないでいる。
目の前に居るのはウエストエンドで何度も会った王太子アルバート、だがその横にはこの国の王様が居るのだ。
さすがの俺も手が震える。平然としているヴォルフはやっぱり獣人なんだろう…。

右大臣が叫ぶ。


「アッカー侯がまさかそのような…。もしやアッカー侯と旧知であるウィルモット侯もか!誰かあの者の所在を確認せよ!急げ!」


何を思ったか左大臣が俺を見る。


「それでアーニーとやら、お前はどう見る?」
「どう見るって…、い、一国の大臣が俺に聞くのかよ?」

「悪党の考えは悪党で無ければ分からぬであろう。言ってみよ」

「…元悪党だっての!それに俺はあの頃ガキだったから大したことはしてねぇ!」
「アーニー!そんな話をしている場合か。いいからさっさとしろ!」

「チッ!まあそうだな…。『クーザ』の拠点は潰したんだろ?ならその線じゃねぇ。モノじゃないなら何を持ち込むか…?ボスの手口だ。大きな屋敷や商会に侵入する時の定番ってやつだ。騒ぎを起こさず内側から手引きする時なんかにな」

「人か…!」

「荷台を確認させよ!」
「宴で騒ぎを起こすつもりか?」

「ホレイショ!」
「はっ!」

「ゲスマンに向かわせる騎士をいったん留め置け!半数をここに残すのだ!」

「おい…、王子たちが居ないなら宴は無いんじゃねぇのか…」

「来賓は既に王城へと入り歓談をはじめておる。後はエルンスト殿下、アウグスト殿下の到着を待つばかりであったのだ。今中止にすれば混乱必至!陛下!いかがなさる!」

「だがその前に、オルランドはどうなっておる…」

「王と言っても子の親か。…助けてやれなくて悪かった。だがお前の息子はレジナルドが助けに行った。騎士の到着を待たず全ては終わる、あいつに任せておけ。あいつはお前が思うより…」
「思うよりなんだ白狼、私を安心させてみよ」

「あいつはお前たち全員が考えるよりはるかに強い。何しろ天の使いを異名に持つ男だからな」

「そうか…ならば安心だな…。だが宴は中止を告げよ。両殿下はお疲れゆえ出席は叶わぬ。それを理由にお開きにせよ。彼らが城を無事出るまで一瞬たりとも気を抜くな。騎士は全隊王城にて厳戒態勢を取れ。いいか!総員でかかるのだ!何が起きてもすぐに対処できるよう備えよ!」






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