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116 17歳 revisit あの国…
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「レジナルド、どこからか乾いた匂いがする…」
「乾いた…?ヴォルフ、どういう事?待って、索敵する。あっ!アーニー、ちょっと待って!」
王族の一団を他所眼にその場から離れようとするアーニーをふと呼び止めたのは妙な胸騒ぎを感じたから。
線路沿いに設置した封鎖石はこの駅までで終わりとなる。既存の交易路、トラキア東の街道までそれをしたらキャラバンも行商も混乱する。悪事を働かないイコール善良とは限らないからだ。
つまり安全を確認しないとアーニーを送り出すのに心もとない…。
「あん?なんだよ。俺は関係ねぇだろ?もう行くぜ。」
「いや、ヴォルフが気になる事を言ってて…、すぐだからちょっとだけ待って『サーチ』」
「どうしたレジナルド、何が見えた?」
「‼」
「おい!」
索敵魔法で僕の目に見えたのは…、と言うか、何も見えないのに魔力だけが地中から漏れ出している。これは一体…
「いやな感じだ。ヴォルフ!馬車の中に居るアウグスト様を守って!オルランド様!エルンスト様!そこから動かないで!『シールド!‼』」
「おいおい何だよ、レジー!」
「アーニー!いいから隠れて!」
その時一人だけ離れたアーニーを咄嗟に隠したのに理由なんて無い。そうしなければと思っただけだ。
そして次の瞬間!僕のシールドを上塗りしたのは禍々しい魔力。囲ったはずの結界内に奴らはいきなり姿を現したのだ!
「僕のシールドを破っただって⁉どうやって!」
「レジナルド!破ったんじゃない、影だ!シールド内の影から湧き出たんだ!」
謎を解いたのはヴォルフの叫び!影だって?じゃあこれは闇魔法なのか!?
「ダメだ!人が多い!」
敵味方が密集して入り乱れる状況に近接戦を余儀なくされる。この密度で大魔法は打てない、そう考えた時頭をよぎったのはあの時の奴隷商が吐いた台詞だ。あの時奴はこう言った。「こうして詰め込んでおけば同士討ちで終わりますからのう」
このやり口は…ゲスマンか!!!
「みんな!敵はゲスマン!こいつらはゲスマンの魔導士だ!」
奴らの狙いは動きから見て王族のみ!
僕はとっさに光魔法の付与を騎士たちの剣に纏わせた。闇魔法ならば光魔法しか有効打にならないからだ。
「君たちは全員で王子を守るんだ!」
王子の近衛、エトゥーリアの兵に王子を任せ敵に向かうのは僕とウエストエンドの精鋭、だけど奴らは影から影へと移動して王家の馬車に近づいていく。
「影を消せー!奴らは影から影へと移動する!」
「殿下の周りに影を作るな!」
「小さな影は無視せよ!大きな影だ!」
見たところどうやら闇魔法の使い手は一人。後は共鳴と増幅の魔道具を用いた魔導士たち。全員が闇魔法使いの攻撃を魔道具を通じて共有している。
そしてその攻撃は黒い物体。魔導士の放つ黒い球体は身体の触れた個所から浸食し、相手の五感を徐々に奪い最後には昏倒させていく。
オロオロとしたまま真っ先に倒されたのは従者たち。そして次がエトゥーリアの一般護衛兵。
様子を見るに恐らくこの黒弾は万が一触れてもレベル差でねじ伏せられる代物。僕とウエストエンドの騎士、そして一部の聖騎士以外、次々と倒されていくとこを見るにSクラス以下に有効なんだろう。
薄くなっていく警護のなか残りの近衛兵、そして幼いアウグスト様を守るヴォルフはオルランド様の放つ、決して高レベルとは言えない光魔法を上手く利用して黒弾を退けている。
だが影から仕掛ける魔導士相手ではウエストエンドの精鋭でさえ何一つ決定打を放てないでいる!
くそっ!闇に消える相手にどうしろってんだ!闇魔法なんてゲームには出てこなかったじゃないか!!正々堂々と出てこいやー!
護衛の減少を見定めてか、魔導士と共有していた魔力が一つ、また一つと闇魔法使いに戻されていくのが見える。あ、この展開は…
「マズイ!黒弾に分散していた魔力が一つになる!強いのが来るよ!!」
「総員避けよ!」
「ヴォルフ危ない!」
アウグスト様の身体を庇うように倒れ込むヴォルフ…。続けて昏倒した王子と護衛。重なり合う彼らによってそこには一つの大きな影が出来上がった!
「ダメだ!連れてかれる!」
それは一瞬の出来事。くそぉっ!なんて厄介な!
「オルランド様!エルンスト様!間に合わないっ!アウグスト様は⁉」
倒れたと思ったヴォルフの不意を突いた大きな咆哮に闇魔導士の一人は驚き後退った。
「ヴォルフなんで⁉」
「説明は後だ!捕まえろ!」
「くっ!間に合わない!ならこれだ!」
アウグスト王子を諦めた男は慌てて影へと飛び込んだ。だがどこへ逃げようと無駄だ!僕が放ったのは光の楔。そこから伸びる光の鎖は奴がどこへ行こうと決して逃さない!
「ヴォルフ!僕は奴を追う!アーニーの道案内でアウグスト様を連れて王城へ行け!」
「一人でやれるのか⁉」
「分からない。僕も闇魔法には詳しくない…けど行くしかない!」
「子供を置いたら俺も行く。それまでもたせろ」
「馬鹿だねヴォルフは、一人でどこに来るつもり?それより王城を頼んだ。嫌な予感がするんだ…」
「レジナルド…、分かった、いいだろう。」
「アーニー!聞いたね、王子を頼んだよ!」
「レジー…、気をつけろ!必ず無傷で帰ってこい!俺の飼い主はお前しかいないんだからな!」
二人の僕への信頼が嬉しい…。
置き土産に『エリアヒール』を展開したけど闇魔法にどれほど効いたかは分からない。彼らの五感が無事戻る事をただ祈るしかない…。
---------------------
「待て!お前たちは何者だ!ここを通すわけにはいかん!」
「頼む!オスカーの親父を今すぐ呼んでくれ!非常事態なんだ!ここに居るのはアウグスト王子、エトゥーリアのアウグスト王子だ!信じてくれ!」
「何故エトゥーリアの王子殿下が平民のお前と居る。馬鹿馬鹿しいにも程がある!」
「いいから黙れ!!!俺の主はレジナルド!狂魔力の継承者レジナルドだ!王都ごと滅ぼされたく無くばさっさと上役を連れてこい!それとも今すぐここで噛み殺されたいか!」
「ひっ!ひぃぃぃ!す、すぐに!」
「…ヴォルフ…」
「お前は案外甘ちゃんだな。一刻一秒を争うって時に何を悠長な…」
「そうだな。一つ勉強になったぜ…」
「乾いた…?ヴォルフ、どういう事?待って、索敵する。あっ!アーニー、ちょっと待って!」
王族の一団を他所眼にその場から離れようとするアーニーをふと呼び止めたのは妙な胸騒ぎを感じたから。
線路沿いに設置した封鎖石はこの駅までで終わりとなる。既存の交易路、トラキア東の街道までそれをしたらキャラバンも行商も混乱する。悪事を働かないイコール善良とは限らないからだ。
つまり安全を確認しないとアーニーを送り出すのに心もとない…。
「あん?なんだよ。俺は関係ねぇだろ?もう行くぜ。」
「いや、ヴォルフが気になる事を言ってて…、すぐだからちょっとだけ待って『サーチ』」
「どうしたレジナルド、何が見えた?」
「‼」
「おい!」
索敵魔法で僕の目に見えたのは…、と言うか、何も見えないのに魔力だけが地中から漏れ出している。これは一体…
「いやな感じだ。ヴォルフ!馬車の中に居るアウグスト様を守って!オルランド様!エルンスト様!そこから動かないで!『シールド!‼』」
「おいおい何だよ、レジー!」
「アーニー!いいから隠れて!」
その時一人だけ離れたアーニーを咄嗟に隠したのに理由なんて無い。そうしなければと思っただけだ。
そして次の瞬間!僕のシールドを上塗りしたのは禍々しい魔力。囲ったはずの結界内に奴らはいきなり姿を現したのだ!
「僕のシールドを破っただって⁉どうやって!」
「レジナルド!破ったんじゃない、影だ!シールド内の影から湧き出たんだ!」
謎を解いたのはヴォルフの叫び!影だって?じゃあこれは闇魔法なのか!?
「ダメだ!人が多い!」
敵味方が密集して入り乱れる状況に近接戦を余儀なくされる。この密度で大魔法は打てない、そう考えた時頭をよぎったのはあの時の奴隷商が吐いた台詞だ。あの時奴はこう言った。「こうして詰め込んでおけば同士討ちで終わりますからのう」
このやり口は…ゲスマンか!!!
「みんな!敵はゲスマン!こいつらはゲスマンの魔導士だ!」
奴らの狙いは動きから見て王族のみ!
僕はとっさに光魔法の付与を騎士たちの剣に纏わせた。闇魔法ならば光魔法しか有効打にならないからだ。
「君たちは全員で王子を守るんだ!」
王子の近衛、エトゥーリアの兵に王子を任せ敵に向かうのは僕とウエストエンドの精鋭、だけど奴らは影から影へと移動して王家の馬車に近づいていく。
「影を消せー!奴らは影から影へと移動する!」
「殿下の周りに影を作るな!」
「小さな影は無視せよ!大きな影だ!」
見たところどうやら闇魔法の使い手は一人。後は共鳴と増幅の魔道具を用いた魔導士たち。全員が闇魔法使いの攻撃を魔道具を通じて共有している。
そしてその攻撃は黒い物体。魔導士の放つ黒い球体は身体の触れた個所から浸食し、相手の五感を徐々に奪い最後には昏倒させていく。
オロオロとしたまま真っ先に倒されたのは従者たち。そして次がエトゥーリアの一般護衛兵。
様子を見るに恐らくこの黒弾は万が一触れてもレベル差でねじ伏せられる代物。僕とウエストエンドの騎士、そして一部の聖騎士以外、次々と倒されていくとこを見るにSクラス以下に有効なんだろう。
薄くなっていく警護のなか残りの近衛兵、そして幼いアウグスト様を守るヴォルフはオルランド様の放つ、決して高レベルとは言えない光魔法を上手く利用して黒弾を退けている。
だが影から仕掛ける魔導士相手ではウエストエンドの精鋭でさえ何一つ決定打を放てないでいる!
くそっ!闇に消える相手にどうしろってんだ!闇魔法なんてゲームには出てこなかったじゃないか!!正々堂々と出てこいやー!
護衛の減少を見定めてか、魔導士と共有していた魔力が一つ、また一つと闇魔法使いに戻されていくのが見える。あ、この展開は…
「マズイ!黒弾に分散していた魔力が一つになる!強いのが来るよ!!」
「総員避けよ!」
「ヴォルフ危ない!」
アウグスト様の身体を庇うように倒れ込むヴォルフ…。続けて昏倒した王子と護衛。重なり合う彼らによってそこには一つの大きな影が出来上がった!
「ダメだ!連れてかれる!」
それは一瞬の出来事。くそぉっ!なんて厄介な!
「オルランド様!エルンスト様!間に合わないっ!アウグスト様は⁉」
倒れたと思ったヴォルフの不意を突いた大きな咆哮に闇魔導士の一人は驚き後退った。
「ヴォルフなんで⁉」
「説明は後だ!捕まえろ!」
「くっ!間に合わない!ならこれだ!」
アウグスト王子を諦めた男は慌てて影へと飛び込んだ。だがどこへ逃げようと無駄だ!僕が放ったのは光の楔。そこから伸びる光の鎖は奴がどこへ行こうと決して逃さない!
「ヴォルフ!僕は奴を追う!アーニーの道案内でアウグスト様を連れて王城へ行け!」
「一人でやれるのか⁉」
「分からない。僕も闇魔法には詳しくない…けど行くしかない!」
「子供を置いたら俺も行く。それまでもたせろ」
「馬鹿だねヴォルフは、一人でどこに来るつもり?それより王城を頼んだ。嫌な予感がするんだ…」
「レジナルド…、分かった、いいだろう。」
「アーニー!聞いたね、王子を頼んだよ!」
「レジー…、気をつけろ!必ず無傷で帰ってこい!俺の飼い主はお前しかいないんだからな!」
二人の僕への信頼が嬉しい…。
置き土産に『エリアヒール』を展開したけど闇魔法にどれほど効いたかは分からない。彼らの五感が無事戻る事をただ祈るしかない…。
---------------------
「待て!お前たちは何者だ!ここを通すわけにはいかん!」
「頼む!オスカーの親父を今すぐ呼んでくれ!非常事態なんだ!ここに居るのはアウグスト王子、エトゥーリアのアウグスト王子だ!信じてくれ!」
「何故エトゥーリアの王子殿下が平民のお前と居る。馬鹿馬鹿しいにも程がある!」
「いいから黙れ!!!俺の主はレジナルド!狂魔力の継承者レジナルドだ!王都ごと滅ぼされたく無くばさっさと上役を連れてこい!それとも今すぐここで噛み殺されたいか!」
「ひっ!ひぃぃぃ!す、すぐに!」
「…ヴォルフ…」
「お前は案外甘ちゃんだな。一刻一秒を争うって時に何を悠長な…」
「そうだな。一つ勉強になったぜ…」
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