街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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98 16歳 from 王都

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大きな混乱も無く順調な滑り出しをきったランカスター名物『東領ダンジョンランド』。

ただひとつの問題が、レジー君のお仕置きを受けたいあまりにわざとお姉さんにちょっかい掛ける馬鹿者が続出した事くらいか…。
キリが無いので新たに腕に覚えのある女従士を募りトゥーンタウンに配置したところ、熱心な固定女性客が増えたのは嬉しい想定外。

あとはこのまま様子を見て臨機応変に対応する予定である。


そうしたらお次は下半期最大のイベント、王女様のウエディングパーティーの番だ!

式典自体は格式の高い王都の大神殿で済まされるようなので早い話が披露宴兼ハネムーン。
因みにこのお式へは4人の王女が来ることになっている。主催王様の合同デート王女バージョン…。そんな訳で王子様方は両陛下の名代を務めるアルバート以外お留守番だよ。


王城から厳選された各招待客は『審判の門』をくぐるためハラハラしながらお付きの人選に苦慮しているとかなんとか。門前で足止めとか笑い事じゃないからね。

だけどこれはある意味家臣の人間性を試す良い機会。

『審判の門』に組み込んだ封鎖石にはウエストエンドへの害意や悪意の他、獣人を含めた平民を軽視する者も間引きする念を込めておいたしそのことは事前に通達済みだ。
当然だろう。奢り高ぶる家臣などお家の不名誉でしかない。でも今のところ誰も弾き飛ばされていないのは実にお見事。

アルバートたち曰く、ウエストエンドやランカスター領のダンジョンランドを見聞きする機会を得たことで人々の〝獣人は野蛮”という偏見が消えつつあるそうだ。よし、狙い通り!




そうそう通達と言えば…。
アルバートがダンジョンランドの視察に訪れた際、ランカスター本邸の家令と『糸電話』で交信していることがばれてしまった。


「もしかしてまだ他に保有しているのかい?」
「………まぁ…」


王様はどうしても『糸電話』が欲しくて騎士団にも有志の傭兵や冒険者にも依頼を出したが未だ手に入れられていないのだとか…。みんな命からがら逃げ帰って来てしまうらしい。そりゃそうでしょ。SSダンジョンだよ?


「レジー、帰ってこの事を報告すればいずれにしても王命により献納を命ぜられるだろう。だから…ね?」


あーあ、ついに不本意ながら僕と王家の間にホットラインが出来上がってしまった。

とは言え、僕が光魔法まで使えることはバレてないため必ず通話には誰かが間に入る。つまりほとんどがオフィシャルで使用されるであろうことが唯一の安心材料。やれやれ…

今この糸電話を持っているのはオスカー、王城、そしてランカスターの家令ブルックリンと王都邸執事ブロンクスだ。
『糸電話』は便利ではあるがこれ以上繋がるつもりはない。連絡ツールなど多少不便なくらいでちょうどいいのだ…これ本音。






建ったばかりのリゾート型ホテル『プレミアムリゾート・ラビエル』にはパーティーの招待客が数日前から前乗りしている。
自然を大いに生かした風光明媚なそのホテルは館内最上階に四季の移ろいを眺められる素晴らしい展望風呂を備えている。その傍らには星を眺めるカウンターバーがあり、入浴後のガウンのまま利用していただくことも可能だ。
またゴルフやテニスと言ったアクティビティはヴィラのものを、食事やショッピングにはアッパータウンを利用していただき大いにウエストエンドを楽しんでいただく仕様となっている。

今領内はアッパータウンどころかダウンタウンですら人が溢れ、初めて見る人の多さに領民も浮足立っている。ところどころで獣人さんと招待客のお付きなんかが談笑してて…とにかく今のところ大きな騒ぎもなく一安心だ。


そこで僕はちょっとしたお遊びとしてタウン内に四カ所ほどあるフラワーパークの人気投票を行うことにした。
期間限定の投票により、優勝したパークの庭師にはお屋敷の庭を任せ、優勝したパークに投票した人にもちょっとした記念品を、という賞品をつけたところそれなりに話題となってフラワーパークをまわって歩く人も多いようだ。

レンタル馬で荘園を駆ける人なんかも居て、思った通り、羊の毛刈りショーは大人気。
途中カンガルー獣人のルーさんがお仲間とケンカをしてて焦ったけど、屋外ボクシングと勘違いされたのだろうか?それぞれ従者によりイスやテーブルなんかが用意され気が付いたら観覧ショーになっていた…。


意外なのがニコの神殿。
ご令嬢方がふらりと入っては嬉しそうに四角い何かを持って出てくるのが見える…。前から気になってたけどあれは何?


「あの…、ご令嬢、ベターライフ神殿では何を売っているのか聞いても…?」
「え?あっ!あらまぁ!か、閣下!」
「閣下だなんて…レジナルドで良いですよ。ところでその手のものは…」

「い、いいえ!レジナルド様にお見せするほどのものでは!」
「でも気になって…」
「た、ただの紙、そう。私たちを天国へ導く聖なる護符や経本ですわ…」
「ああ!」


ニコってばいつの間に〝免罪符”なんかを売り出してたのか…、大神殿から叱られたって知らないよ?
ってことはクラリスが並んで買ってたのもこれか。怪しげなものじゃなくて良かったけどこんな所に来てまで…みんな信心深いな。





そして遂にその日が来た。真っ白な馬車に乗ってやって来る第二王女とお婿さんであるナヴァル侯爵家のご長男。年の頃二十代半ばの彼はブラッドリーと同い年くらいか…。いずれにしても将来有望な次期ご当主様である。
その後に延々続くのが第三第四第五王女、そして僕にロリコン疑惑を植えかねない第六王女だ。10歳未満の第四王子第五王子は差っ引かれたのに王女はもれなく全員とは…鬼畜だな。


僕の大風魔法で緑のガーランドによる目隠しをしている間に新郎新婦はヴィラのデラックススイートへと入室された。アルバートと王女様方も各自の部屋へ。本日ヴィラは王族様貸し切りである。


オープンガーデンではすでに皆様歓談中。本日は敷地内全体がブッフェ会場だ。


「アルバート…久しぶりでも無いけどようこそいらっしゃいました」
「ふふ、陛下を説得するのが大変だったよ。」
「説得…?」
「ここへ来たがっていてね。」

「……アルバートで良かった。」
「レジー…嬉しいよ…」


いやもう偽らざる本心である…。

王様が来るなんて事になったら大変である。名誉である以上に迷惑である。というか、そもそもそんな名誉欲しくも無い。王女軍団でも面倒なのに…。


「レジナルド様、どうかここにお掛けになって。」
「そうよ。お互いを良く知るために少しお話しいたしましょう?」
「第三王女ゾフィー様、第四王女カタリナ様…、今進行の最中なので…また後程」
「ゾフィー、カタリナ、レジーに迷惑をかけてはいけないよ」

「アルバートお兄様は引っ込んでいて下さらない?」
「大体卑怯だと思いませんの?お父様は公平にと仰ったわ。」

「まーまーまーまー」

「レジナルド、それよりこのパンナコッタをもっと持って来て頂戴な。クレームブリュレもよ」
「第五王女メアリー様、もうおよしになった方が…」
「早くなさって!」
「は、はいただいま!誰かー!パンナコッタバケツで持って来てー!」

「れじー、あっちにウサギさんがいまちた」
「ちょうでちゅね。コリスちゃんも呼びましょうか?クラリスー!」


混沌である…。



ああ…僕の前途には依然暗雲が立ち込めたまま…。





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