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93 16歳 Let's try 一つ目
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「はっ!楽勝だぜ!」
「アーニー、よく見て狙って!油断禁物だよ!」
「分かってるって!」
縦横無尽に走るトロッコは山の中にあるダンジョン跡、今ではただの洞穴になり果てたそのコースを順調に進んでいく。
そんな中でアーニーは襲い来るスコーピオンを手渡した魔道具『ハリケーンナックル』を使いバッタバッタと倒していく。それを見守るのは僕とヴォルフ。だけどヴォルフには後方を任せてあるし僕にはシャリムによって見つけ出される構造上危険な場所を修正する、という役目もあるので実質アーニーははほぼ一人で前方の敵を倒している。
エアーカッターを付与した魔道具『ハリケーンナックル』の使用方法、つまり〝猫パンチ”にいつまでもうだうだと文句を言っていたアーニー。だけどその割にはあっさり使いこなして討ち漏らしはごく僅かだ。さすが元ギャングの使いっぱ。
「調子に乗るな!ほらきたぞ、スパイダーだ!」
「るせぇクソオオカミ!『エアカッター!』慣れてきたぜ、どんなもんだ!」
「それよりほら!もうすぐ最奥だよ。アーニー、トロッコから降りてあの台座にある宝剣とその丸い石を交換して。いい?同時にだよ!猶予は1秒だから!」
「よし任せろ!素早さには定評があんだよ。昔取った杵柄でな。」
あ、それ…スリとか…ゴホンゴホン!!!さすが元…以下同文。
「…あん?何だこりゃ。レジー、剣が台座から離れねぇ!」
「えー、なんかに挟まっちゃった?もう!」
トロッコにヴォルフとシャリムを残して僕はアーニーのもとへ。まさかのハプニング。そのためのトライアルだから別に良いんだけど…。
「どれどれ…」
「ここが引っかかってんのか…」
「えーと、あ、固い!ヴォルフ、そこに置いてある工具箱持って来てー」
「これか?」ガタン
カタカタカタカタ…
「あ…」
カタカタカタカタ…ゴト…
「…イソヒヨ…」
ゴトゴトゴトゴト…ゴー
「よし外れた!…って、シャリム…?あー!!!トロッコごと消えた!何事!」
「何やってんだあいつは!世話の焼ける!」
「お願いヴォルフ!トロッコごと連れてきて!」
いやぁ…神隠しの仕掛けなんかつけたっけ?って思っちゃったよ…。焦ったー…。
「おい、いいのか」
「何が?ヴォルフが行ったから大丈夫」
「じゃなくて石…」
「石?あーっ!剣の代わりに置くの忘れてた!」
この台座にはどこかの映画で観たことあるような仕掛けが施されてある。その仕掛けとは一秒以上台座が空になるとブルージェネラルと言う、名前の割には大した害のない小さな蛇の魔物が大量に天井から落ちてくるというものだ。
大した害がないと言っても噛まれれば腫れるし、そもそも大量の蛇にまみれることが気持ち悪い。出来たら遠慮したいのが人情だろう。ああ、それなのに…迫りくるスネークシャワー。
「くそっ!大量のブルージェネラルが!」
「しょうがない。『バースト‼』はい。大量のかば焼き、これで大丈、あいた!」
「噛まれたのか⁉」
「来園者と同じ気分を味わうためにプロテクト外してたんだよ。まさか最後っ屁でブーツの皮を突き破るとは…牙の強度を侮ってた。失敗したな。」
「何やってんだ。見せて見ろよ。」
「大丈夫だって、トロッコにポーションがあるから。ヴォルフたちが戻ったらすぐ…、ちょ、ちょっとアーニー!」
「ほっといたら腫れんだろ。応急処置だ。ほら、足貸せよ」
ぐっ!こ、これは…
恥ずかしい…。実に恥ずかしい…。
アーニーときたら出っ張った岩に腰掛けた僕の片足をその手で取ると器用にブーツを脱がせ、靴下を脱がせ…それだけでも妙に気分がザワザワするのにあろうことかスコーピオンに刺された僕の患部に口を…
そう!アーニーの唇は静かに僕の足の甲へと近づき、チュ…と音を立てて血を吸っては吐き吸っては吐き…。
顔が赤くなっていくのが分かる…。なまじっか大した毒じゃないばかりに意識レベルが100パーもあってはいたたまれない…。だからと言って善意と心配による行為である以上、ストップをかけるのもまるで意識してるみたいで…してるけど。
ああー!自分!これはただの治療、応急処置!意識するんじゃない!イヤけど場所が場所だけに…、足の甲を吸われるってなんていうか…か、官能的…。
「よし、これでい…、ばっ、お、お前…なんて顔してやがる…」
「あ、その、ごめん。ありが、…アーニー?」
その時僕の身に何が起きたか…。それは誰にも知られちゃならない秘密だ。特にニコには…。
己のポテンシャルを舐めきってましたよ、僕は…。まさか『BLゲーのヒロイン』としての底力がここまでだとは。ほとんど無意識にキュン魔力が漏れ出てたなんて…アーニーごめん。
暖かくて…薄い…少しガサガサしたアーニーの…ああーーー!!!
しかし…、あのドアップに耐えうるんだからアーニーの美肌には感心するしかない。あれだけ毎日外仕事してるのに…毛穴何処?さすがBLゲーの攻略対象者…。
…って言ってる場合か!
「アーニー、よく見て狙って!油断禁物だよ!」
「分かってるって!」
縦横無尽に走るトロッコは山の中にあるダンジョン跡、今ではただの洞穴になり果てたそのコースを順調に進んでいく。
そんな中でアーニーは襲い来るスコーピオンを手渡した魔道具『ハリケーンナックル』を使いバッタバッタと倒していく。それを見守るのは僕とヴォルフ。だけどヴォルフには後方を任せてあるし僕にはシャリムによって見つけ出される構造上危険な場所を修正する、という役目もあるので実質アーニーははほぼ一人で前方の敵を倒している。
エアーカッターを付与した魔道具『ハリケーンナックル』の使用方法、つまり〝猫パンチ”にいつまでもうだうだと文句を言っていたアーニー。だけどその割にはあっさり使いこなして討ち漏らしはごく僅かだ。さすが元ギャングの使いっぱ。
「調子に乗るな!ほらきたぞ、スパイダーだ!」
「るせぇクソオオカミ!『エアカッター!』慣れてきたぜ、どんなもんだ!」
「それよりほら!もうすぐ最奥だよ。アーニー、トロッコから降りてあの台座にある宝剣とその丸い石を交換して。いい?同時にだよ!猶予は1秒だから!」
「よし任せろ!素早さには定評があんだよ。昔取った杵柄でな。」
あ、それ…スリとか…ゴホンゴホン!!!さすが元…以下同文。
「…あん?何だこりゃ。レジー、剣が台座から離れねぇ!」
「えー、なんかに挟まっちゃった?もう!」
トロッコにヴォルフとシャリムを残して僕はアーニーのもとへ。まさかのハプニング。そのためのトライアルだから別に良いんだけど…。
「どれどれ…」
「ここが引っかかってんのか…」
「えーと、あ、固い!ヴォルフ、そこに置いてある工具箱持って来てー」
「これか?」ガタン
カタカタカタカタ…
「あ…」
カタカタカタカタ…ゴト…
「…イソヒヨ…」
ゴトゴトゴトゴト…ゴー
「よし外れた!…って、シャリム…?あー!!!トロッコごと消えた!何事!」
「何やってんだあいつは!世話の焼ける!」
「お願いヴォルフ!トロッコごと連れてきて!」
いやぁ…神隠しの仕掛けなんかつけたっけ?って思っちゃったよ…。焦ったー…。
「おい、いいのか」
「何が?ヴォルフが行ったから大丈夫」
「じゃなくて石…」
「石?あーっ!剣の代わりに置くの忘れてた!」
この台座にはどこかの映画で観たことあるような仕掛けが施されてある。その仕掛けとは一秒以上台座が空になるとブルージェネラルと言う、名前の割には大した害のない小さな蛇の魔物が大量に天井から落ちてくるというものだ。
大した害がないと言っても噛まれれば腫れるし、そもそも大量の蛇にまみれることが気持ち悪い。出来たら遠慮したいのが人情だろう。ああ、それなのに…迫りくるスネークシャワー。
「くそっ!大量のブルージェネラルが!」
「しょうがない。『バースト‼』はい。大量のかば焼き、これで大丈、あいた!」
「噛まれたのか⁉」
「来園者と同じ気分を味わうためにプロテクト外してたんだよ。まさか最後っ屁でブーツの皮を突き破るとは…牙の強度を侮ってた。失敗したな。」
「何やってんだ。見せて見ろよ。」
「大丈夫だって、トロッコにポーションがあるから。ヴォルフたちが戻ったらすぐ…、ちょ、ちょっとアーニー!」
「ほっといたら腫れんだろ。応急処置だ。ほら、足貸せよ」
ぐっ!こ、これは…
恥ずかしい…。実に恥ずかしい…。
アーニーときたら出っ張った岩に腰掛けた僕の片足をその手で取ると器用にブーツを脱がせ、靴下を脱がせ…それだけでも妙に気分がザワザワするのにあろうことかスコーピオンに刺された僕の患部に口を…
そう!アーニーの唇は静かに僕の足の甲へと近づき、チュ…と音を立てて血を吸っては吐き吸っては吐き…。
顔が赤くなっていくのが分かる…。なまじっか大した毒じゃないばかりに意識レベルが100パーもあってはいたたまれない…。だからと言って善意と心配による行為である以上、ストップをかけるのもまるで意識してるみたいで…してるけど。
ああー!自分!これはただの治療、応急処置!意識するんじゃない!イヤけど場所が場所だけに…、足の甲を吸われるってなんていうか…か、官能的…。
「よし、これでい…、ばっ、お、お前…なんて顔してやがる…」
「あ、その、ごめん。ありが、…アーニー?」
その時僕の身に何が起きたか…。それは誰にも知られちゃならない秘密だ。特にニコには…。
己のポテンシャルを舐めきってましたよ、僕は…。まさか『BLゲーのヒロイン』としての底力がここまでだとは。ほとんど無意識にキュン魔力が漏れ出てたなんて…アーニーごめん。
暖かくて…薄い…少しガサガサしたアーニーの…ああーーー!!!
しかし…、あのドアップに耐えうるんだからアーニーの美肌には感心するしかない。あれだけ毎日外仕事してるのに…毛穴何処?さすがBLゲーの攻略対象者…。
…って言ってる場合か!
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