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94 16歳 Let's try 二つ目

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「やれやれ。手のかかる…、うん?どうしたレジナルド、噛まれたのか?」
「イソヒヨドリ…大丈夫…?」

「…ぜ、全然大丈夫!たかがブルージェネラルだし!応急処置は済んだから。ヴォルフ、ポーション投げて!」
「ほら」

「顔が赤いな。熱でも出たのか?いくらブルージェネラルとは言え毒は毒だ。」
「そ、そうですね…。でもこれで大丈夫です」ゴクゴクゴク…「ぷはー!さっ、次行ってみよー!」


ストッパーが外れ、勝手に動き出したトロッコとそのトロッコに乗ったまま運ばれたシャリムはヴォルフにより無事回収された。
トロッコとブルージェネラル、どちらもとんだハプニングだが僕のハプニングにはおまけがついている。
何事も無かったかのような涼しい顔のアーニーがなんかムカつく。あとで覚えてろ…。

その後大量に登場したスケルトンを易々やり過ごすといよいよクライマックス!トロッコは断崖から傾斜角45度くらいで大落下、途中ありもしないエアーカメラに向かってピースを決めると大満足の内に『インディ・サンダーマウンテン』のトライアルは終わった。




ランカスター奥部で手つかずだった何の恵みも無かった山。そこに残されていたダンジョン跡地とは〝レジー君の家”が建てられた平野部を入り口に山中へと続いている。山の土中にまるでアリの巣のように巡らされた元ダンジョンである洞窟。それらを階層、方角ごとに分けて様々な工夫を凝らしたのが今回作成した各種アトラクションだ。

断崖の反対側にある比較的なだらかな傾斜側へと移動した僕達。
ここには一本の川が流れている。全盛期のダンジョンであれば水の魔獣が出現したんであろうそこには今現在ゾンビやゴーストと言った出オチみたいな魔物ばかりを設置してある。何故ならここ、『センター・オブ・ジ・カリビアン』の目玉は僕の土魔法、火魔法によって作成したミニ火山だからだ。ニヤリ…。



「今度はこの小舟に乗っていくよ。敵はゴースト船長とゾンビパイレーツだけど川にも魔魚が放してあるから気をつけて。出発進行!」


このコースはのっけから川の激流ではじまる。45度の落下と唸るS字カーブで水しぶきを大量に浴びた後、少しなだらかになってきたあたりから山の内部へと進んでいく。そこからはゾンビやゴーストといった敵の出現、なかなか倒れずうっとおしいが大した攻撃力の無いそれらを難なく躱し、もう一度外に出てあと少しでゴール!と油断させたところでお待ちかね、大噴火だ!


「気をつけてみんな!噴石が飛んでくるよ!」

「問題ない」
「わかった…」
「いいけどよ。なんちゅうもん飛ばすんだお前…」

「楽々クリアーじゃつまんないじゃない。メインターゲットは冒険者予備軍だよ?これくらいは、あっ、来た!」


前後左右、手分けして弾き飛ばす溶岩の石つぶて。動体視力と反射神経を試されるエリアだ。


「あちっ!お前…気をつけろよ!欠片が飛んできたじゃねぇか!」
「お前なんか知らない…、全部燃えちゃえ…」
「何だと!」
「まーまーまーまー」

「あ…、イソヒヨドリ…、あの上の大きな岩…危ない…」
「本当だ。あれじゃいつ落ちて来るか分からないじゃない。ちょっと行ってくる。」
「待てレジナルド、何かあったらどうする。俺も行く。」

「じゃぁシャリム、アーニー、ちょうどいいから少し親睦図ってて。いったんここには『シールド』かけとくから二人で眼前に迫りくる噴石を楽しんでて!」

「楽しめるかそんなもん!」
「え、ヤダ…出して…」


あー!僕には何も聞こえない!っと。






「さてと…、この大岩どうしよう…。細かく砕いて川の底石にする?それとも粉々にして土に還す?」

「それより中をくり抜いて噴石から身を守る退避場にしてやれ。ポーション補給するにしろ装備を整えるにしろ時間が必要だ。」

「緊急シェルターか!その発想は無かったよ!」
「誰もがお前の様に何でもできると思うなよ。あの辺とかどうだ。あの窪みに船を停泊させればいい。」
「オッケー。じゃぁヴォルフちょっとどいて」


「何するつもりだ」
「だからくり抜く、せーの」

「馬鹿!下でやれそういう事は。危ないだろうが!」
「え?アンパーンチ!」ドカッ!

キン、コン、カキン、ゴッ!

「レジナルド!おい、大丈夫か!」


こんな事ってある?割れた岩のかけらが反射しまくって戻って来るとか…


「…い、痛い…。後頭部が…、ええい!だから今日はプロテクトを切ってるんだってば!何だよもうっ!」

「ふっ、見せて見ろ。ああ、少し切れたな。」
「もしかして血が出てる?あぁ…」スゥ…

「なんだ。血が苦手なのか。これだから人間は…。まぁいい」ペロ


ひえーーーー!
後頭部を舐められるとかこれどういうプレイ…。そりゃヴォルフは何につけよくベロンってするけどあれは獣化中で…、人間型でされるとちょっと羞恥心が…。でもさっきの足ほどのダメージじゃない?言うても後頭部だし…うん。あれよりマシか…。

しばらくペロペロされると血は止まったみたいだ。ヴォルフはしれっとしてるけど僕は微妙な気分だよ!


「鉄の味するでしょ?水飲みなよ。」
「大丈夫だ。気にならない」
「いやだって…口の中不味いでしょ?」

「ほう?気になるか?じゃあ口直しだ」
「へっ?」




…己のポテンシャルが怖い…。まさかヴォルフまでもがキュン魔力の餌食になるなんて…。もしかして狂魔力より非道なんじゃないの?ああ…どう謝ったらいいのか。だけど説明も出来ないし…ヴォルフごめん。…全て不可抗力です…。


それにしてもあごクイだと…?手慣れた仕草…もしやヴォルフは遊び人…?隠し仔オオカミとかそのうちうじゃうじゃ出てきたらどうしよう…。

けどあの尖った物体…、あれが本物の犬歯。人間の犬歯とは違う、いざとなれば確実に息の根を止めるオオカミの牙…。

…って、それがどうした!!!







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