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91 16歳 around 領地
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空前の建設ラッシュ、それがここ最近のランカスター領都でありウエストエンドだ。
違うのはウエストエンドのホテル建設は魔法が主体でありランカスターの宿や食堂、疑似ダンジョンの周辺施設はほぼ人力だという事。
おかげで最近ランカスターには噂を聞いた多くの人手が出稼ぎにやって来ているという。
思いがけない人の流入。空前の人口ラッシュ。
急激な人の増加は治安の乱れも呼び込みかねないわけで、危機管理の一環としてランカスターでは身分問わず幅広く従士の募集を行うことにした。オスカーのお父さんにばかり頼れないしね。
この国においての従士とはいわゆる騎士見習い。本来なら貴族家および準貴族家の子弟が目指す職業である。それが頑張れば平民階級でも騎士に昇格させるとの告知を聞いて多くの腕自慢が集まる事態となった。
因みに騎士に昇格させるには筆記試験を必須とした。ほら、運転免許だって実技だけって訳に行かないでしょ?適正…とか最低限の法規くらい頭に入って無いとね。そのための事前講習は行う予定でいる。
とは言え、ゴロツキみたいな従士など抱え込むつもりはない。僕は忙しい合間を縫って新たなるランカスター騎士団長ホルスといつもの護衛リマールを引き連れその一斉面接会場へと足を運んだ。
ザワ…ザワ…
どこかのギャンブル漫画みたいなざわめきが聞こえる…。気になりますか。そうですか。
腕に覚えのある従士志望者であっても狂魔力の継承者を前にしては怖気づくらしい。ま、無理も無いけど。なので僕はとびきりにこやかに第一声を発することにした。
「あー、ゴホン。本日はランカスター従士選考会へとご足労頂きご苦労様。先ずこれだけは言っておく。僕は馬鹿者に容赦はしない。エヴァの末路を知ったうえで同じ轍を踏む気でいる愚か者は回れ右。出口はそこだ。」
し…ん…
おっと、脅しが効きすぎちゃったかな?では本当の激励も…
ニコリ「だけどね、決して偉ぶることなく、力を誇示することも無く、私欲にまみれず、僕と共にこのランカスターを、二度とエヴァの様な悪人の手に堕とさないよう守ってくれる、優しくて勇気があって、頼りがいのある、そんな男らしい人は…僕のこの手をぜひ取って欲しい!」
「なっ!なんてことを!」
「いけません!レジナルド様、お早くこちらへ!危険です!」
「えっ?えっ?何!?」
リマールに押し込められるよう控室に戻った直後、なんか、ドドドドドっていう地響きみたいな音がしたのは何?ホルスがボロボロになって戻って来たんだけど何があったの?コワ…
さて危険を伴う面接は「押しかけた馬鹿は片っ端からおとしてやる!」と怒りに震えるホルスに任せるとして…、ところ変わってここは公爵邸…。
「コリン、ダンジョンのアイデアは出来たかな?いくつあってもいいよ?」
「え、ええと、その。兄さんにも手伝ってもらって…でもこれで良いのかどうか…」
「最終チェックは僕がするから好きに描いてごらん?それからお父様、転作は終わりましたか?」
「ああ。お前の言うよう土壌に合わせて植え付け作物を変えさせた。これで収穫高が上がるのだな?」
「多分…。害虫対策は?」
「あ。ああ。見たことも無い液体だったが…酢にあれらの香草、使い終わった茶葉などで薬が出来るとは…。」
「僕もすごく詳しい訳じゃないんですけど…効果はあったでしょ?」
「目とのどをやられたがな。」
「でも毒じゃないから大丈夫。」
なにしろお手本が鉄腕〇ッシュだからね。記憶あやふやだけど…彼らとその師匠に間違いはない!
腰掛ける暇もなくお次はウエストエンドだ。あー忙しい。
『ワープゲート』があって本当に良かった。あれが無ければ詰んでたって…。そう思うと王家は何を考えてるんだか。アイテムありきで丸投げするんじゃない!
愚痴を言っても始まらない…。
ここはアッパータウンの南側。以前から切り拓くだけ拓いて温存していた土地だ。
僕はそこにドカン!とホテルの入れ物だけは一気に建ち上げ、後の内側はアーニーたちに丸投げしている。得意のパターンだね。
「あれ?君たちは誰…?ちょちょ、こんな所で危ないよ?」
「あっ、僕たち最近ここに来た新参ですけど心配ご無用!木を運ぶのはお手の物です!」
「自分、建築得意なんで。問題ないっす。よろしくお願いしゃす!」
むくつけき漢どもに混じって小柄なビーバー獣人ミツビシ君とキリガミネ君がちょこまかと動き回っている…。うーん、実に手際が良い…。
「アーニー進んでる?」
「まぁな。来週にはセザールが来るだろ?家具やパーツはもう揃えてある。あとは配置とか装飾とか…あいつに仕上げてもらうつもりだ。」
「任せちゃえ任せちゃえ!こういうのは既成事実が大事だからね。囲い込んで逃げられないようにしないと。」
「はぁ?逃げるどころか来るなっつってもくんだろ。それより今の…」
「何?」
「既成事実が大事ってやつ。なるほどな。参考になったぜ」
意味ありげにうなずくアーニー。何を考えてんのか知らないけど、女の子にオイタは許しませんよ!
現場の進捗具合に満足しながら「あ、そうそう。ホテルの予約は既に満杯だから。竣工日厳守で」と、軽くアーニーにジャブをかますと、「なら展望風呂はお前が作ってけよ!」と右ストレートが返ってきてしまった…、自分で自分の仕事を増やすという…。墓穴…。
浴槽を完成させながらふと思う。
セザールとダンジョン小僧が来るのならローランドも来る気がする…。
僕は一仕事終えると確認のためパブリックエリアにある裁判所に足を向けた。もし来るなら彼はシュバルツの屋敷に泊まると思うからだ。ほぼ100パー確信している。
そのパブリックエリアで存在感を示すのはまだ真新しい、ひっくり返ったピラミッド、みたいな建物。それがBetter Life神殿、ニコのこだわりを存分に生かした彼女の聖域…
「いつ見ても独特な形だな。あん?」
なんだろう?あの神殿前の人だかりは…
「最後尾はこちらですー!」
最後尾…?何かありがたいお言葉でも一人づつ頂いているんだろうか…?
「クラリス、今日は公休?何並んでんの?女性しか居ないみたいだけど…」
「レジー様!!あー、えっとー、その…、レジー様はお知りにならなくて大丈夫です。」
「え?でも」
「大丈夫です!!」
迫力負け…。この狂魔力の継承者さまが圧されるとは…。
違うのはウエストエンドのホテル建設は魔法が主体でありランカスターの宿や食堂、疑似ダンジョンの周辺施設はほぼ人力だという事。
おかげで最近ランカスターには噂を聞いた多くの人手が出稼ぎにやって来ているという。
思いがけない人の流入。空前の人口ラッシュ。
急激な人の増加は治安の乱れも呼び込みかねないわけで、危機管理の一環としてランカスターでは身分問わず幅広く従士の募集を行うことにした。オスカーのお父さんにばかり頼れないしね。
この国においての従士とはいわゆる騎士見習い。本来なら貴族家および準貴族家の子弟が目指す職業である。それが頑張れば平民階級でも騎士に昇格させるとの告知を聞いて多くの腕自慢が集まる事態となった。
因みに騎士に昇格させるには筆記試験を必須とした。ほら、運転免許だって実技だけって訳に行かないでしょ?適正…とか最低限の法規くらい頭に入って無いとね。そのための事前講習は行う予定でいる。
とは言え、ゴロツキみたいな従士など抱え込むつもりはない。僕は忙しい合間を縫って新たなるランカスター騎士団長ホルスといつもの護衛リマールを引き連れその一斉面接会場へと足を運んだ。
ザワ…ザワ…
どこかのギャンブル漫画みたいなざわめきが聞こえる…。気になりますか。そうですか。
腕に覚えのある従士志望者であっても狂魔力の継承者を前にしては怖気づくらしい。ま、無理も無いけど。なので僕はとびきりにこやかに第一声を発することにした。
「あー、ゴホン。本日はランカスター従士選考会へとご足労頂きご苦労様。先ずこれだけは言っておく。僕は馬鹿者に容赦はしない。エヴァの末路を知ったうえで同じ轍を踏む気でいる愚か者は回れ右。出口はそこだ。」
し…ん…
おっと、脅しが効きすぎちゃったかな?では本当の激励も…
ニコリ「だけどね、決して偉ぶることなく、力を誇示することも無く、私欲にまみれず、僕と共にこのランカスターを、二度とエヴァの様な悪人の手に堕とさないよう守ってくれる、優しくて勇気があって、頼りがいのある、そんな男らしい人は…僕のこの手をぜひ取って欲しい!」
「なっ!なんてことを!」
「いけません!レジナルド様、お早くこちらへ!危険です!」
「えっ?えっ?何!?」
リマールに押し込められるよう控室に戻った直後、なんか、ドドドドドっていう地響きみたいな音がしたのは何?ホルスがボロボロになって戻って来たんだけど何があったの?コワ…
さて危険を伴う面接は「押しかけた馬鹿は片っ端からおとしてやる!」と怒りに震えるホルスに任せるとして…、ところ変わってここは公爵邸…。
「コリン、ダンジョンのアイデアは出来たかな?いくつあってもいいよ?」
「え、ええと、その。兄さんにも手伝ってもらって…でもこれで良いのかどうか…」
「最終チェックは僕がするから好きに描いてごらん?それからお父様、転作は終わりましたか?」
「ああ。お前の言うよう土壌に合わせて植え付け作物を変えさせた。これで収穫高が上がるのだな?」
「多分…。害虫対策は?」
「あ。ああ。見たことも無い液体だったが…酢にあれらの香草、使い終わった茶葉などで薬が出来るとは…。」
「僕もすごく詳しい訳じゃないんですけど…効果はあったでしょ?」
「目とのどをやられたがな。」
「でも毒じゃないから大丈夫。」
なにしろお手本が鉄腕〇ッシュだからね。記憶あやふやだけど…彼らとその師匠に間違いはない!
腰掛ける暇もなくお次はウエストエンドだ。あー忙しい。
『ワープゲート』があって本当に良かった。あれが無ければ詰んでたって…。そう思うと王家は何を考えてるんだか。アイテムありきで丸投げするんじゃない!
愚痴を言っても始まらない…。
ここはアッパータウンの南側。以前から切り拓くだけ拓いて温存していた土地だ。
僕はそこにドカン!とホテルの入れ物だけは一気に建ち上げ、後の内側はアーニーたちに丸投げしている。得意のパターンだね。
「あれ?君たちは誰…?ちょちょ、こんな所で危ないよ?」
「あっ、僕たち最近ここに来た新参ですけど心配ご無用!木を運ぶのはお手の物です!」
「自分、建築得意なんで。問題ないっす。よろしくお願いしゃす!」
むくつけき漢どもに混じって小柄なビーバー獣人ミツビシ君とキリガミネ君がちょこまかと動き回っている…。うーん、実に手際が良い…。
「アーニー進んでる?」
「まぁな。来週にはセザールが来るだろ?家具やパーツはもう揃えてある。あとは配置とか装飾とか…あいつに仕上げてもらうつもりだ。」
「任せちゃえ任せちゃえ!こういうのは既成事実が大事だからね。囲い込んで逃げられないようにしないと。」
「はぁ?逃げるどころか来るなっつってもくんだろ。それより今の…」
「何?」
「既成事実が大事ってやつ。なるほどな。参考になったぜ」
意味ありげにうなずくアーニー。何を考えてんのか知らないけど、女の子にオイタは許しませんよ!
現場の進捗具合に満足しながら「あ、そうそう。ホテルの予約は既に満杯だから。竣工日厳守で」と、軽くアーニーにジャブをかますと、「なら展望風呂はお前が作ってけよ!」と右ストレートが返ってきてしまった…、自分で自分の仕事を増やすという…。墓穴…。
浴槽を完成させながらふと思う。
セザールとダンジョン小僧が来るのならローランドも来る気がする…。
僕は一仕事終えると確認のためパブリックエリアにある裁判所に足を向けた。もし来るなら彼はシュバルツの屋敷に泊まると思うからだ。ほぼ100パー確信している。
そのパブリックエリアで存在感を示すのはまだ真新しい、ひっくり返ったピラミッド、みたいな建物。それがBetter Life神殿、ニコのこだわりを存分に生かした彼女の聖域…
「いつ見ても独特な形だな。あん?」
なんだろう?あの神殿前の人だかりは…
「最後尾はこちらですー!」
最後尾…?何かありがたいお言葉でも一人づつ頂いているんだろうか…?
「クラリス、今日は公休?何並んでんの?女性しか居ないみたいだけど…」
「レジー様!!あー、えっとー、その…、レジー様はお知りにならなくて大丈夫です。」
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