街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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83 16歳 in 裁判ー初戦ー

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悪夢の舞踏会から2日がたった。その間オスカー、セザール、そしてアルバートは代わるがわる王都の街(主に貴族街だけど)を平日だというのに案内してくれた。だから学院は…?



そして遂に明日はパーカーの裁判、その3日後にはエヴァの裁判、そして更にその3日後には…内々にとは言え父の処遇が決まる予定だ…。

僕の視線の先にはゲームの中で何度も見たパーカーが居る。

ランカスターでのパーカーはゲームより幼かった。そもそもあいつはトラップの多い別邸には近づかなかったし、だから僕は言うほどパーカーとの接点は無かったのだ。
フルカンストへの最初の一歩。それが僕にとってランカスターにおける幼少の思い出だ。

目の前に居るパーカーはゲーム時の年齢に達しどの表情もスチルで見たそれと同じだったりする。そのオールバックにした赤毛の髪をテカテカと光らせて身振り手振りで多彩な言い訳を繰り広げている。

公爵家の威光を失ったパーカー、そしてエヴァには下級弁護人しか付いてはいない。これでもエヴァの生家である男爵家の精一杯だろう。見捨てられなかっただけマシってもんだ。ま、男爵家も今まで美味い汁吸って来たんだからこれくらいは…ね。

因みにエヴァの生家は幸い『クーザ』には関わっていなかったため、エヴァから流されたランカスターの資産を全て返還するだけで済まされた。とは言え使い込んでしまった分を返すのは並大抵のことではないだろう。それまでもつかな?ま、せいぜい頑張っていただきたい。


次々と並べられる証拠と証言。いくら効果の薄い粗悪品とはいえ『クーザ』は『クーザ』だ。諦めるんだね、パーカー…。


判決は…、囚人塔への禁錮45年。ギリ極刑だけは免れたか…。

だからと言って何が出来るでなし。彼は老人になるまで囚人塔でのニートになる。ほとんどの時間を疲れさせるためだけの無益な労働に費やし、美味しくはなくとも三度の食事が出て後は寝るだけ。

ただこれはある意味執行猶予的な措置。一応貴族子息であり、また年若いパーカーへの温情である。そこでの態度如何で刑は鉱山での強制労働へとランクアップするのだ。死にたく無きゃさすがのパーカーも大人しくするしかないだろう。


「坊ちゃま、パーカーと顔を合わせるこれが最後の機会となります。いかがなさいますか?」
「クラウス…、改まってはいいよ。立ち話で良い。一言だけ」


話し込むほどの仲じゃないしね。





「…レジナルド…、お前が…、お前さえ居なければ…」
「何を言ってるのかさっぱり分からない。ホントに悪人の思考回路ってこれだから。」

「うるさい!全部お前のせいだ!お前が居なければお母様の計画はもっと!」
「もっとなんだって?口は災いの元、気を付けて。でももう良いか。君もエヴァもどうせもう何も出来ないし。ねぇパーカー、ある意味良かったかもよ?だってこれで向こう45年は暮らしの心配しなくていいでしょ?」

「はっ!僕はそれでも生きてるがお前はどうせあと数年であの世行きだ。ざまあみろ!」
「…出所後、その時は老人だね?その時当てが無ければ訪ねてくればいい。僕は長生きしているはずだから住むとこくらいはあてがってあげる。」

「死ね!!!」


浮世で放つパーカー最後の捨て台詞はたった二文字の言葉で終わった…。









「それにしても45年か…。長いんだか短いんだか」

「短いさ。人を死ぬより惨い地獄へと落とす『クーザ』を安易に広めようとしたんだ。そのうえ裁判中のあの態度、彼の性根はきっと未来永劫変わらない。」

「セザール、お前も言うな」
「彼は僕に片棒を担がせようとしたんだ。許せないよ」


平和主義のセザールがここまで言うなんて…しかし全く以てその通りである。

ここは王都の城下町。貴族街の中にある目抜き通りだ。今僕たちは裁判の傍聴を終えローランドも含め4人でカフェに居るところ。優雅だね。
その周囲はと言えばがっちり騎士たちに囲まれている。何故なら…人だかりが半端ないからだ…。ソワソワ…落ち着かない…。


「レジー、お前がいると人が集まってしょうがない。何とかしろよ!」
「何とかって…、仕方ないじゃない。みんな狂魔力に興味津々なんだよ。」

「え?違」
「何か披露してあげたら満足するかな?それじゃぁえっと…」
「馬鹿言うな!君はどこまで能天気なんだ!狂魔力を余興に使うなど…考えなしにも程がある!」
「はいはい。うるさいなぁローランドは。じゃぁこれだけ、『フェザー』」


ふわりとその場に舞うのは魔力で作った白い羽。ホントは威力をつけてカッターみたいに攻撃する魔法なんだけどね。威力乗せなきゃただのフワフワした白い羽だ。

それを辺り一面にぶわーっと飛ばすと湧き上がるのは大きな歓声。


「天使だ!天使の羽だ!」
「よこせ!その羽は俺のものだ!」
「この羽には美のご利益があるに違いないわ!こちらによこしなさい!」
「そうよ!レディファーストよ!」


しまった!余計に混乱した!羽根布団のたたき売り会場みたいになってしまったそこから救出してくれたのは裏口から顔をだしたアルバートの護衛騎士だ。助かった…。





「まったく何をやってるんだい君は。これ以上注目を浴びるのは控えてもらいたい。私は心が狭いんだ。自分で思っていた以上にね…」


何のことだろう?まあいいや。アルバートのたわ言は今に始まった事じゃないし…、放置放置。








エヴァの裁判が終わり次第ランカスターの王都邸に入ると言うとアルバートは約束のお風呂を強要してきた。

一体なんだと言うのか…?裸の付き合いでガードを取っ払って、王家とランカスターのわだかまりを全て水に流そうとでも言うんだろうか?もう気にしてないからいいよ、って言ったら諦めてくれるだろうか…?

無理だな…。根拠は無いがアルバートは引かない気がする…。かと言ってさっきから悪寒が走りっぱなしなのだ。まるでル・マンの耐久レース並みに…。ならいっそここは…




「レジー、先に行ってしまうなんてひどいじゃないか。もう湯船に居るのかい?背中を流してあげるから一回外に…、レジー!これは一体…」

「え?ああ。言ってませんでしたっけ?せっかくの親睦なので通りすがりの第二王子と第三王子もお誘いしたんですよ?そうそう。お二方のお背中を流すためにコリンにも同伴をおねがいしました。構いませんよね?」

「いやだが…、私は君と二人きり湯煙の中でしっぽり語らいたいと思っていたのだが…」

「第二王子殿下オルランド様、第三王子殿下フェリクス様、お兄さんがこんなこと言ってますけどどうしましょう?」

「兄上、下心全開でレジー様に不埒な誘いをおかけになるのはおよし下さい。王家の品位がガタ落ちです」
「お兄さま、そんなお方だったなんて…見損ないました。」

「いや、ちが、これはその…」



「……第一王子殿下アルバート様…、心中お察ししますが抜け駆けはいけませんよ?」








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