街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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42 at that time ヴォルフとシャリム

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「ヴォルフ、今日はどこまで行ってたの?あんまりフラフラしないでよね」
「大して動いてない。一山超えただけだ」

「それで?周辺に異常はない?」
「……そうだな…」

「何?何かあるの…?」


珍しく口ごもるヴォルフの様子に不安がよぎる。
このウエストエンドに賊は入り込めないはずだけど…どうしたんだろう?獣の集団でも見つけたかな?


「この地に関係してくるかどうかはまだ分からないがな、北側の領で妙なことが起こっている」
「妙な…?」

「病…とも違うが、当主が正常とは言い難い状態になっている領が幾つかある。それはお前の生家、ランカスターの周辺に固まっていてな。不可解なこともあるものだ」

「ランカスターの周辺…、ヴォルフはそれがランカスターに要因があるって考えてるんだね」
「まあな。」
「そういえばお父様が第一騎士団を手放したのも不可解だったな…、分った。叔父様にも一度確認してみるよ…。」

「それでだ。数日間シャリムを借りるぞ。」
「シャリムを?」


シャリムを借りるって事は夜動くって事だろう。シャリムの夜目を借りる?ヴォルフは夜目が利くのに?
それにどうして僕には言ってくれないんだろう。僕はいつでもヴォルフに助けてもらってるのに、水臭い…。


「事はお前の生家に関わる。ハッキリするまでお前は顔を出すな。いいか分かったな!」
「は~い…」

「待て!『ワープゲート』は使うんじゃないぞ!」
「うっ!は、はい…」


バレちゃっては仕方ない…。これも僕を思えば故だ。しばらくは大人しくヴォルフに任せておこうと思う。…事業のほうも佳境だしね。
僕の信頼する頼れる相棒ヴォルフ、…とシャリム。この件は暗躍の得意そうな(褒めてる)二人に頑張ってもらおうかな…。








「そういう訳だ。シャリム手伝え」

「何で僕が…。」

「この異常があいつの生家が仕掛けたことならあいつにも災いが降りかかるかも知れない。お前はいいのかそれで」
「イソヒヨドリの…。…良くない…」

「なら手伝え。言っとくがレジナルドの節穴と違って俺の目はごまかせない。なんのことかはわかるよな?」
「ごまかしてない…。イソヒヨドリが気付かないだけ…」

「ふっ、それもそうだな。あいつの大きな眼は見えてるようでなにも見ていない。よし、じゃあ背中に乗れ。行くぞ!」
「…分かった…」




なんてやり取りをヴォルフとシャリムがしてる間も、何にも知らない僕はコツコツと図面を描いていく。
あー楽しい!まるであの頃みたいだ!

ざっくりアナログで下書きしたそれをもとにゲームへ反映させては微調整したり、それから事故が起きたり火事が起きたり暴動が起きたり、うんざりしながら何度も手直ししては画面に再度反映して、住民の満足度を見ながらまた更に手直しして…、時に完成間際でPCが落ちたりして燃え尽きた灰になったり…気が付いたら朝…とかざらだったよな…。

だけどこの街造りはやり直しなしの一発勝負だ。だからこそ図面のうちに見落としがないか何度も何度もチェックしなくてはならない。遊びであって遊びじゃないのだ。
背中に背負った、いつの間にか400人に近づこうとしている領民たち。その全てに僕は責任がある。
そのためにももっとだ。レベルフルカンストで1000超えて、上限解除で既に1500くらいになってるって言っても強化してし足りるってこたぁ無い。もっと強くなっておかなければ。いつ何時、何があっても困らないように…。


「…1時間だけ強化ダンジョン行っとくか…。また今日のうちだし。1時間だけ周ったら帰ってささっと歯磨いてすぐ寝よう。そうしよう」





前世から数えて今までこの同じセリフを何百回、何千回言ってきたことか…。そう言って1時間でホントに終われる奴なんて…きっとゲーマーの中には存在しない。僕だけじゃない。そうでしょ?



…多分そうに決まっている…






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