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35 13歳 at 救護院
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早速ヴォルフを伴いエトゥーリアへ舞い戻ると、僕らは手分けをして調査を始めた。
優先すべきは彼の弟、パウルの生存確認だ。
人手に渡った元クーデンホーフ侯爵邸の内部、ステルス魔法で姿を隠した僕が聞きこむこと2日間。
ようやく小耳に挟んだ「クーデンホーフの生き残りは修道院にいる」との情報を頼りにパウルを追うのは獣化したヴォルフだ。
理由はないけど気が焦る。なんだか急がなきゃいけない気がするんだよね…。第六感とでも言おうか…。
第六感って言うのは無意識に感じ取る違和感を根拠にしてるんだって聞いたことがある。
違和感ね…、って言うか、違和感しかないし…。
とにかく後はヴォルフを信じて僕は屋敷の調査に着手した。
共和国のこの国では都の屋敷が本拠地である。田舎の領は大体家令に丸投げして利益だけを受け取る方式だ。クラレンス王国と反対だね。王政のあそこは領を本拠地にして、定期と有事に参内する方式だから。
そのクーデンホーフ家の王都邸はそれはもう立派な屋敷。古いけどドン!とした佇まいの大切に受け継がれた豪邸だ。お庭の広さも申し分なし、屋敷内の調度品も華美ではないが高そうな骨董品ばかりだ。
それに聞くところによればクーデンホーフ領はとても地質が良いんだとか。そこで生産される野菜や果物はとても発育がよく、国内においてかなりの供給量を占めるのだとか。つまり豊かな領…。
群がる鼠は多そうだな…。
さらに調べて分かったのは今この屋敷が軍部に関わるロートリンゲン侯爵家のモノになってるって事。そしてその侯爵と向かい合って酒を酌み交わすのが何か国をもまたぐ大商会頭取、ウォーデモンって事だ…。
「馬鹿な若造だ。少しばかり片目を瞑れば当主であった父亡き後、領地替えで済ませてやったものを」
「まったくだ。このわしに逆らうとは身の程知らずも度が過ぎる。これだから世を知らぬ小僧は…」
「庶民など所詮天上の事など分からぬのだ。奴が騒ぎ立てねば何一つ問題にもならぬというに。なにが不正だ!上位貴族にだけ許される高度な駆け引きではないか!わざわざ世間に知らしめてどうする!」
「そうとも。こう見えてわしは慈善家で通っておるのだぞ?このわしが一体どれほどの施しをしてやっておるか。」
「…だが万事うまくいった。なにしろクーデンホーフ家に煮え湯を飲まされていた者は少なくないのだ。告発されていた数々の不正、その全てをあの若造に擦り付けてやったわ!家は取り潰し、家人は離散、親類縁者すらクーデンホーフ家には関わるまいと縁を切りよった。ふん!わしらに逆らわねば手は出さぬ。これでよく分かったであろう。」
「他の馬鹿者どもに対してもいい見せしめになりましたな。ハッハッハッ」
パリン!
「きゃっ!グラスが割れるなんて…不吉ね…」
許すまじ…!
怒りの波動でグラスが割れちゃったよ…。
…この国にはしばらく後、局部的に大地震が起こっていくつかの屋敷や商会が壊滅的なダメージを負う事が決定した。どうせすぐ立て直すだろうけど…。ほら頭文字がGで始まる黒い悪魔ってしぶといから…。
でもそれくらいはしても罰は当たらないよね?
そして1週間ほどたったその夜、ついにヴォルフは朗報を持って現れた!
「どうやら弟はとばっちりを嫌った親類縁者をたらいまわしにされようだな。揚げ句都のはずれにある修道院へ厄介払いとは…。早くしてやれ、そいつは虫の息だ。」
「えっ?…虫の息って…死にそうって事?」
「ああそうだ。」
「そう言えば虚弱だとかなんとか…」
「庶民に落ちた貴族など大半が身を壊す。でなければ借財にまみれ破滅するか。そこから立ち直るものなど一握りだ。脆弱なものだな人間とは。」
「そんなこと言わないでよ…。彼はまだ成人するかしないかの少年だよ?親類縁者からも冷たくされて…可哀そうに…」
「お前…、可哀そう、で人を拾うのもいい加減にしろ。」
「えっ…と、か、彼はシュバルツとの約束だから…。これで最後、最後にする!…タブン…」
「ふっ、好きにしろ。ほら行くぞ」
イーサン先生の擬態ポーション(改)試作品により髪と目の色を変えた僕はヴォルフの案内によって、都の端、丸く塀に囲まれた小さな修道院へとやって来た。
塀を乗り越え裏の窓から覗き見たその修道院内部は清貧…をはるかに超えた貧しさで…恐らく食事や薬にも事欠く環境の中、並べられたベッドには幾人もの病人や傷を負った帰還兵が横たわっている…。
だがそこにパウルの姿は無い。
「どういう事…?」
「さぁな。だがここに居るのは間違いない」
あ、しまった。
「オ!オオカミ!誰か、むぐ」
人が近づくのに気が付かないとは…狂魔力者と人狼にあるまじき失態…、ちょっと恥ずかしい…。
何にせよ、その男性には騒がれちゃ困るから静かにしていただいた。少し強引に。
「僕たちは怪しいものじゃないよ?人を探してるんだ。ヴォルフは僕の飼い…オオカミだから大丈夫。お願い、静かにしてくれる?」
いたいけな子供の上目遣いはここでも有効だ。彼はコクコクと頷きようやく身体の緊張を緩めてくれた。ヴォルフはペット扱いされたことに憮然としてたけどね…。へへ…
「そ、それであなたは誰をお探しなのですか?」
パッと見ガーデナーのような出で立ちなのにその口調からはどこはかとなく品が漂っている。没落した元貴族とかだろうか…?
「探してるのはクーデンホーフの残った息子。パウルだよ。ここにいるって聞いたんだけど…」
「パウル様に一体何の御用ですか!?」
聞くところによると彼はクーデンホーフ家の元執事。忠義の厚い彼は主家を裏切ることがどうしても出来ず、この修道院近くの屋敷で庭師をしながらパウルの世話をしていたのだとか…。
もともと虚弱なシュバルツの弟。だからって大病を抱えていたわけじゃない。兄の訃報、そして謂れなき汚名、お家取り潰しによる苦悩など、様々な要因がパウルから生きる力を奪っていった…。
そして目の前の元執事は、恐らくもう長くはもつまい、と、彼の看取りを最後の奉公と考えたのだ。
「パウル様は死にゆく者が入る日の当たらぬ部屋で一人眠っております。あと幾日持つか…御労しい…」
「…僕の知ってる彼のお兄さんは清廉潔白そうな人だったよ?不正だなんて…、親類縁者はそれを信じたの?一人残った年若い彼をこんなところに押し込んで?良心は傷まないの?」
「彼らを責めないでやって頂きたい。皆分かっているのです。シュトバルツ様がそのような事をなさるはずがないと。ですが同時に主人が有力者たちの恨みを買っていたこともよく知っているのです。時に諫めたりもなされておりましたから…。これは見せしめ、その効果は言うまでもありません」
「で、でも!誰も彼を庇わなかったの?真実を叫ぶ人は居なかったの?」
「彼らの不正を示す証拠は主人の訃報と共に闇へと葬られました。そして主人の潔白、それを証明するものもまた無いのです…。」
「ない事を証明するのは難しい…か。悪魔の証明ってやつだ…」
「皆わが身に飛び火せぬよう目を逸らしておられる。私にそれを責めることは出来ません。誰しもお家は大事ですから…。」
「そう…分かった。それじゃぁパウルは僕が連れていく。」
「連れていくとはどこへ…」
「天国だよ!」
「あ、あなたは…!もしや本物の天使さまでしたか‼」
しまった。言葉のチョイスを間違えた…。
優先すべきは彼の弟、パウルの生存確認だ。
人手に渡った元クーデンホーフ侯爵邸の内部、ステルス魔法で姿を隠した僕が聞きこむこと2日間。
ようやく小耳に挟んだ「クーデンホーフの生き残りは修道院にいる」との情報を頼りにパウルを追うのは獣化したヴォルフだ。
理由はないけど気が焦る。なんだか急がなきゃいけない気がするんだよね…。第六感とでも言おうか…。
第六感って言うのは無意識に感じ取る違和感を根拠にしてるんだって聞いたことがある。
違和感ね…、って言うか、違和感しかないし…。
とにかく後はヴォルフを信じて僕は屋敷の調査に着手した。
共和国のこの国では都の屋敷が本拠地である。田舎の領は大体家令に丸投げして利益だけを受け取る方式だ。クラレンス王国と反対だね。王政のあそこは領を本拠地にして、定期と有事に参内する方式だから。
そのクーデンホーフ家の王都邸はそれはもう立派な屋敷。古いけどドン!とした佇まいの大切に受け継がれた豪邸だ。お庭の広さも申し分なし、屋敷内の調度品も華美ではないが高そうな骨董品ばかりだ。
それに聞くところによればクーデンホーフ領はとても地質が良いんだとか。そこで生産される野菜や果物はとても発育がよく、国内においてかなりの供給量を占めるのだとか。つまり豊かな領…。
群がる鼠は多そうだな…。
さらに調べて分かったのは今この屋敷が軍部に関わるロートリンゲン侯爵家のモノになってるって事。そしてその侯爵と向かい合って酒を酌み交わすのが何か国をもまたぐ大商会頭取、ウォーデモンって事だ…。
「馬鹿な若造だ。少しばかり片目を瞑れば当主であった父亡き後、領地替えで済ませてやったものを」
「まったくだ。このわしに逆らうとは身の程知らずも度が過ぎる。これだから世を知らぬ小僧は…」
「庶民など所詮天上の事など分からぬのだ。奴が騒ぎ立てねば何一つ問題にもならぬというに。なにが不正だ!上位貴族にだけ許される高度な駆け引きではないか!わざわざ世間に知らしめてどうする!」
「そうとも。こう見えてわしは慈善家で通っておるのだぞ?このわしが一体どれほどの施しをしてやっておるか。」
「…だが万事うまくいった。なにしろクーデンホーフ家に煮え湯を飲まされていた者は少なくないのだ。告発されていた数々の不正、その全てをあの若造に擦り付けてやったわ!家は取り潰し、家人は離散、親類縁者すらクーデンホーフ家には関わるまいと縁を切りよった。ふん!わしらに逆らわねば手は出さぬ。これでよく分かったであろう。」
「他の馬鹿者どもに対してもいい見せしめになりましたな。ハッハッハッ」
パリン!
「きゃっ!グラスが割れるなんて…不吉ね…」
許すまじ…!
怒りの波動でグラスが割れちゃったよ…。
…この国にはしばらく後、局部的に大地震が起こっていくつかの屋敷や商会が壊滅的なダメージを負う事が決定した。どうせすぐ立て直すだろうけど…。ほら頭文字がGで始まる黒い悪魔ってしぶといから…。
でもそれくらいはしても罰は当たらないよね?
そして1週間ほどたったその夜、ついにヴォルフは朗報を持って現れた!
「どうやら弟はとばっちりを嫌った親類縁者をたらいまわしにされようだな。揚げ句都のはずれにある修道院へ厄介払いとは…。早くしてやれ、そいつは虫の息だ。」
「えっ?…虫の息って…死にそうって事?」
「ああそうだ。」
「そう言えば虚弱だとかなんとか…」
「庶民に落ちた貴族など大半が身を壊す。でなければ借財にまみれ破滅するか。そこから立ち直るものなど一握りだ。脆弱なものだな人間とは。」
「そんなこと言わないでよ…。彼はまだ成人するかしないかの少年だよ?親類縁者からも冷たくされて…可哀そうに…」
「お前…、可哀そう、で人を拾うのもいい加減にしろ。」
「えっ…と、か、彼はシュバルツとの約束だから…。これで最後、最後にする!…タブン…」
「ふっ、好きにしろ。ほら行くぞ」
イーサン先生の擬態ポーション(改)試作品により髪と目の色を変えた僕はヴォルフの案内によって、都の端、丸く塀に囲まれた小さな修道院へとやって来た。
塀を乗り越え裏の窓から覗き見たその修道院内部は清貧…をはるかに超えた貧しさで…恐らく食事や薬にも事欠く環境の中、並べられたベッドには幾人もの病人や傷を負った帰還兵が横たわっている…。
だがそこにパウルの姿は無い。
「どういう事…?」
「さぁな。だがここに居るのは間違いない」
あ、しまった。
「オ!オオカミ!誰か、むぐ」
人が近づくのに気が付かないとは…狂魔力者と人狼にあるまじき失態…、ちょっと恥ずかしい…。
何にせよ、その男性には騒がれちゃ困るから静かにしていただいた。少し強引に。
「僕たちは怪しいものじゃないよ?人を探してるんだ。ヴォルフは僕の飼い…オオカミだから大丈夫。お願い、静かにしてくれる?」
いたいけな子供の上目遣いはここでも有効だ。彼はコクコクと頷きようやく身体の緊張を緩めてくれた。ヴォルフはペット扱いされたことに憮然としてたけどね…。へへ…
「そ、それであなたは誰をお探しなのですか?」
パッと見ガーデナーのような出で立ちなのにその口調からはどこはかとなく品が漂っている。没落した元貴族とかだろうか…?
「探してるのはクーデンホーフの残った息子。パウルだよ。ここにいるって聞いたんだけど…」
「パウル様に一体何の御用ですか!?」
聞くところによると彼はクーデンホーフ家の元執事。忠義の厚い彼は主家を裏切ることがどうしても出来ず、この修道院近くの屋敷で庭師をしながらパウルの世話をしていたのだとか…。
もともと虚弱なシュバルツの弟。だからって大病を抱えていたわけじゃない。兄の訃報、そして謂れなき汚名、お家取り潰しによる苦悩など、様々な要因がパウルから生きる力を奪っていった…。
そして目の前の元執事は、恐らくもう長くはもつまい、と、彼の看取りを最後の奉公と考えたのだ。
「パウル様は死にゆく者が入る日の当たらぬ部屋で一人眠っております。あと幾日持つか…御労しい…」
「…僕の知ってる彼のお兄さんは清廉潔白そうな人だったよ?不正だなんて…、親類縁者はそれを信じたの?一人残った年若い彼をこんなところに押し込んで?良心は傷まないの?」
「彼らを責めないでやって頂きたい。皆分かっているのです。シュトバルツ様がそのような事をなさるはずがないと。ですが同時に主人が有力者たちの恨みを買っていたこともよく知っているのです。時に諫めたりもなされておりましたから…。これは見せしめ、その効果は言うまでもありません」
「で、でも!誰も彼を庇わなかったの?真実を叫ぶ人は居なかったの?」
「彼らの不正を示す証拠は主人の訃報と共に闇へと葬られました。そして主人の潔白、それを証明するものもまた無いのです…。」
「ない事を証明するのは難しい…か。悪魔の証明ってやつだ…」
「皆わが身に飛び火せぬよう目を逸らしておられる。私にそれを責めることは出来ません。誰しもお家は大事ですから…。」
「そう…分かった。それじゃぁパウルは僕が連れていく。」
「連れていくとはどこへ…」
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