街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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19 12歳 to go 獣人さん

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「じゃぁ僕たちが帰るまで子供たちの面倒はよろしくね」

「お任せくださいレジナルド様」


彼ら19人の所有権は既に僕へと移っている。所有と言ってもそれはつまり領民にしたというだけのことだが子供たちはまだよく違いが分かっていない。
その説明を護衛の為の騎士、リマールに丸投げして僕は残りの騎士3人を連れていざ闇奴隷商へ!


「さ、じゃぁ案内を頼むね」


もみ手の店主は石の壁に囲まれた迷路のような小道をくねくねと曲がって行く。
それだけでも真っすぐ抜けるのは至難の業だというのにこの迷路にはさらに、隠匿魔法が仕掛けられている…。

脱走者は絶対逃がさないって事か…。そして許可なく侵入も許さない、と。

言っておくが今回僕は事を荒立てるつもりはさらさらない。言っても他国だし。国際問題になったら大変だ。大人しくお金を払って彼らを自由にしようと思っている。ここで揉め事は起こせない。領民を抱えた以上、僕の背には常に彼らの命運がかかっているのだ。





その薄暗い建物に着くと、そこから僕を案内するのは支配人と呼ばれる髭だらけな男。いかにも闇営業してますって感じ。胡散臭い…。

その男の案内で歩くこと体感5分。到着したその部屋には獣人が過密に押し込められている…。表の奴隷商とはまるで違う不衛生な場所…これじゃぁまるで悪徳ブリーダーじゃないか!


「ねぇ…、なんでこんなにギチギチなの?空き部屋ならいくらでもあるじゃない…」
「こ奴らは隷属をかけても闘争心が消えませぬので。一矢報いようと苦痛を覚悟でこちらを狙ってくるのですよ。こうして詰め込んでおけば同士討ちで終わりますからのう」


それだけ彼らの自尊心を踏みにじってるって事じゃないか!お前らが勝手に連れてきたくせに!

湧き上がる僕の怒りが彼らに伝わったんだろうか。彼らの毛が逆立ってしまった…。ダメダメ…、こんなとこで爆発しちゃダメだ…。ここ歯を食いしばって平静にならなくては…。スーハー…


どれどれ?キツネにウサギにカラカル!?…あ~、トラに…ライオンまでいる!それから…ヒョウにチーター…ネコ科が多いな…。
それと…あ…、ひと際オーラのすごいのが居る…あれは…狼!白い髪をなびかす…白狼だ‼

白狼の獣人‼


「か、かっこいい…」


…僕のリンクもハスキーのかかった雑種で白っぽい毛並みの子だったんだよね。…ああリンク…、こんなところで会えるなんて…えっ⁉ちょっと待ってよ!


「し、しし、支配人!あの白狼血だらけなんだけど何したのさ!虐待は許さないよ!」

「売り物に乱暴などしませんよ。あれはあいつが勝手に」
「勝手にって…」

「隷属印に逆らうとああして身体に裂傷が入るんですよ。あの傷は奴隷の怒りと言われてましてね、隷属を受け入れるまで血が止まらないもんだから床が汚れて仕方ない…余計な仕事を増やしおって!」

「彼より床が大事なの?信じられない…。血が止まらなかったら死んじゃうじゃない!彼は売り物なんでしょ?」

「意識が朦朧とすりゃ隷属の力が勝ってきますんでね、結局受け入れることになるんですから最初から逆らわなきゃいいものを。馬鹿な奴だ。」

「グルルルル…」


リンクが怒ってる!あんなに血を流してまで…。それでもその強い意志の力が何度でも彼を奮い立たせる!孤高の戦士!それが白狼…!


「俺は何も恐れない!強者たる狼の誇りにかけて俺は決して屈しない!我ら獣人族はお前のおもちゃになるくらいなら死を選ぶ!」

「黙れヴォルフ!ああ坊ちゃん大丈夫でございますよ。奴らの印は皇帝お墨付きの上級魔導師による隷属印ですのでいずれ屈します。こいつが気に入りましたか?お目が高い…。ではすぐにでも手続きをしてしまいましょうか。そうすればもう坊ちゃんの言うがまま、成すがまま…」


皇帝お墨付きの魔導師が闇奴隷商で仕事をするって?それってつまり…国も黙認してるって事か…、最低の国だな!


「…気に入ったよ。とっても気に入った!全員だ!30人全員連れて帰る!さぁ支配人、手続きを!」
「坊ちゃん!そ、それはちょっと…。獣人はそう簡単に手に入らないんですよ?全て買い上げられては商品がなくなってしまいます…。せめて2~3頭では…」

「じゃぁこの話は無しで。オールオアナッシンだ。」
「では半数の15頭じゃ…」

「話しにならない!30人全員だと言ったろう?それから彼らは人だ!何頭などと言うんじゃない!」

「しかし…」

「早くしろ!代金なら言い値で払う。ロジェ!大金貨を!」
「はっ!」


顔に反射するほど高く摘まれた大金貨の山。強欲な支配人はついに抗い切れずひれ伏した。大金貨…それは最大にして最強の武器だ…。


「さあ行こうリンク、違った、ヴォルフ。良い名前だね。ヴォルフって言うの?ねぇその耳…触ってもいいかな…」
「やめろ触るな!ぐ、ぐぅ!」
「あっ…」


撥ね退けた手に飛び散る血…。これが隷属印…。決して契約主に逆らう事を許さない、忌まわしき呪の力…。


「レジー様、こちらに!」
「血をお拭きします!」

「良い、下がって!ヴォルフ…、お願いだから少しだけじっとして。」


ああ…初めて会ったときのリンクもこんなだった…捨てられて彷徨って、飢えて捕まって…保健所で明日の見え無い日々を送りながら怖い顔して唸ってたリンク。だけど…、根気よく触れ合ってたら、一週間後には手からご飯を食べたんだから!そこに愛があれば絶対通じる!

新たな裂傷に呻くヴォルフをそっと全身で抱きしめる。彼は警戒に身を固くするけど構うもんか!僕にはしなきゃいけない事がある。

何度も背中を撫でて…後ろ髪をすいて…、そうやって一か所づつヒールをかけ傷口を塞ぐ。そうしたら今度は両手であごを掴んで…ほら、頬の裂傷も治そうね。このままじゃ男前な顔が台無しだよ…

何をされてるのかに気付いたヴォルフはもう怒らない。耳の付け根から後ろまで、コショコショと触ってもただただされるがままになっている。

「良い子だねヴォルフ…。今度こそ耳を貸して」
「……」


「誇り高い君はこんな子供に買われるなんて許せないだろうね。けどもうしばらく我慢して。君も、君の仲間も、自由にするって約束するから…」
「お前何言って…」


僕は彼の耳にキスをするふりをしながら小さな声でそう囁いた…。






契約ため別室へと移動するその途中の3つほど過ぎた部屋では一人の少年が暗闇の中で一点を見つめ座っている…、オレンジの瞳…、あっ!彼は昨日見た少年じゃないか!





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