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第三夜
言いてェこと
しおりを挟む「言いてェことがある」
今日最初の発言は競羽さん、間違えなく今日の会議の行方を握るその人だった。皆察しているらしく、黙って耳を傾けている。
「俺が占い師だ」
競羽さんは編み込んだ右サイドの青い髪を耳にかけて七人を見回す。……そうだ。ここまでは彼が昨日役職持ちを匂わせた時点で予想通り。だが問題は、ここの後だ。
「……対抗は居ないということでよろしいかな」
十分な沈黙の後、薬師丸さんは低い声でそう言った。
「この後出てきても信用は出来ないぞ」
海画さんが釘を刺す。……だが誰も何も言わなかった。
……マズイ。これ、競羽さんが真確定ってことかよ。
御廻刑治が占い師の確率は処刑前に何もカミングアウトしなかったことからしてほぼゼロだ。今他に出てこないってことは、競羽さんはほぼ100%真占い師。
狩人が連続でガードできんなら良い展開だと言えたけど、この局面で真確定、対抗無しなのは非常にマズイ。
今日、犠牲者が出なかったこと。これは昨晩狼が役職持ちを匂わせた彼を襲って、狩人も役職持ちを匂わせた競羽さんをガードし成功した可能性が高い。なら今日占い師の真が確定してしまえば、今晩は確実に丸腰の彼は襲われてしまう。
正直、対抗が出てきてくれたほうが良い展開だった。狼、もしくは狂人はそこまで考えて出なかったのか?……敵はなかなか冷静かつ頭が切れる奴で、思ったよりずっと手強いみたいだ。
「結果は、どうだったのかな」
美坂さんが問う。そうだ。ここで黒が見つけられていれば、昨日の御廻刑治が黒なら今日2匹目を処刑できる。そうすれば競羽さんも襲われることなく今日最速ゲームクリアだ。
「……悪ぃな。狼は見つけられてねぇんだ」
そう言って彼は服に合わない綺麗な長髪をかいた。……まあ、そう簡単には行かないよなぁ。
楽観的な彼は昨日の時点で狼を見つける自信があったからカミングアウトしようとしたのかもしれない。
……分かっているのか?競羽さん、御廻が狼だと希望的観測をしたとしても、今日推理で狼を一本釣りできなきゃあんたには確実に悲惨な末路が待ち受けてるんだぞ。
……くそ、今更心の中で非難したってしょうがないってのに、止まんない。よりによってなんで楽観的な彼が一番慎重さを求められる占い師なんだよ……。
「一昨日の夜はカイガさん……?って人、昨晩は拳坂を占ったぜ。んで、残念ながらどっちも白だった」
……もう非難したって意味は無い。俺は切り替えて占い結果をポケットに折りたたんだ紙に書き込んだ。
……だがこうして見ると占い位置はなかなか良いな。海画さんは発言量自体が少なくて推理が難しい位置だったし、何より一番疑っていた拳坂君が確定で白になったってのは大きい。
「……俺からも言いたいことがある」
皆唯一出てきた確定情報に頭を巡らす中、海画さんが口を開いた。……なんだ?彼は確定が出たから大胆な疑いができる位置になった。……まさか俺とか言わないだろうな。
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