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第二夜
絶望の朝
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「……ぁ、あ……」
飛び起きた俺はベッドの上でしばらく震えていた。汗が全身を伝う。心臓がうるさい。息が上手くできない。俺は必死に息を整えようとするがうまくいかない。
息が、苦しい。全て、昨日のことも全て悪夢だったらどんなに幸せだったか。しかし一台のパソコンと監視カメラが、昨日のことが悪夢ではないことを物語っていた。
そこでようやく気づいた。……あれ、どうして寝ている?寝た記憶がない。強制的に眠らされた.......?
「……あのあと、どうなった」
俺はいてもたっても居られず立ち上がった。体がふらつく。頭を押さえながらなんとかドアノブに手をかける。ドアは施錠されていなかった。
自室を飛び出すと右隣の部屋に駆け寄り、ドアノブを回す。……開かない。俺は無我夢中でドアを叩き、名前を呼んだ。
「球太!球太!!居るのか?いるなら返事してくれ、球太、ごめん、ごめん、」
俺は叩いた。叫んだ。でも返事はない。ドアも開かない。いやだ、信じたくない。また会おうって言ったじゃないか。
「球太。……ぃ、いるんだろ?なぁ、返事してくれよ。」
なにも返ってはこない。ただ頬に、水が伝うのを感じた。最悪のケースが脳裏を掠める。違う、死んではいない。絶対に死んではいない。 誘拐犯は何もかもあやふやな説明の中で、それだけは明確に言っていた。それは確かな事だ。球太は、生きてる。
でも、それが死ぬより残酷なことだったら?
「ごめん、ごめん、なさい……俺の、せいで……ぜんぶ、おれが、……」
「へぇ。あなたのせい、だったんですか。昨日ののも、お友達だったのでしょう?なのに、ひどい.......ですね」
驚いて振り返る。御廻刑治。昨日と寸分違わず警官服を着た彼は、昨日のオドオドした雰囲気はなりを薄め、審判者のような鋭い視線を向けている。この人は、俺を糾弾しようとしている。
「ち、違います。これは、部屋決めのことで、」
「あ、いえ、自分は盗み聞きしようだとか、そんなつもりは、でも、聞いてしまいましたので」
彼は目を細めた。軽蔑。幸薄そうな彼の顔に浮かんだ表情にはそんな気配を感じた。
「それに、昨日、彼は言っていたように、ええ、確かに聞きました。はじめ、と。朧気ながらも犯人の名前を。いえ、別にここであなたを責めるつもりでは無いのです、ただ、確証を得ましたので。警官としてお伝えしておこうと、ええ。」
「違う、違うちがう、御廻さん、信じてくれよ.......俺も、何が何だか....」
「.......ともかく、自分が今日すべきことは決まりましたので、はい。あなたを昼間の会議で告発します、すみませんが」
「.......ちが、くて…おれは、あいつに、責任、とらせたく、なくて…それで……」
俺は混乱した頭で必死に説明しようとした。しかし昨日の映像が目に焼き付いて、上手く自分の言葉が意味をなさない。伝えたいことは有り余るのに舌が、上手く回らないんだ。
その時、またあの童歌の爆音が鳴った。
飛び起きた俺はベッドの上でしばらく震えていた。汗が全身を伝う。心臓がうるさい。息が上手くできない。俺は必死に息を整えようとするがうまくいかない。
息が、苦しい。全て、昨日のことも全て悪夢だったらどんなに幸せだったか。しかし一台のパソコンと監視カメラが、昨日のことが悪夢ではないことを物語っていた。
そこでようやく気づいた。……あれ、どうして寝ている?寝た記憶がない。強制的に眠らされた.......?
「……あのあと、どうなった」
俺はいてもたっても居られず立ち上がった。体がふらつく。頭を押さえながらなんとかドアノブに手をかける。ドアは施錠されていなかった。
自室を飛び出すと右隣の部屋に駆け寄り、ドアノブを回す。……開かない。俺は無我夢中でドアを叩き、名前を呼んだ。
「球太!球太!!居るのか?いるなら返事してくれ、球太、ごめん、ごめん、」
俺は叩いた。叫んだ。でも返事はない。ドアも開かない。いやだ、信じたくない。また会おうって言ったじゃないか。
「球太。……ぃ、いるんだろ?なぁ、返事してくれよ。」
なにも返ってはこない。ただ頬に、水が伝うのを感じた。最悪のケースが脳裏を掠める。違う、死んではいない。絶対に死んではいない。 誘拐犯は何もかもあやふやな説明の中で、それだけは明確に言っていた。それは確かな事だ。球太は、生きてる。
でも、それが死ぬより残酷なことだったら?
「ごめん、ごめん、なさい……俺の、せいで……ぜんぶ、おれが、……」
「へぇ。あなたのせい、だったんですか。昨日ののも、お友達だったのでしょう?なのに、ひどい.......ですね」
驚いて振り返る。御廻刑治。昨日と寸分違わず警官服を着た彼は、昨日のオドオドした雰囲気はなりを薄め、審判者のような鋭い視線を向けている。この人は、俺を糾弾しようとしている。
「ち、違います。これは、部屋決めのことで、」
「あ、いえ、自分は盗み聞きしようだとか、そんなつもりは、でも、聞いてしまいましたので」
彼は目を細めた。軽蔑。幸薄そうな彼の顔に浮かんだ表情にはそんな気配を感じた。
「それに、昨日、彼は言っていたように、ええ、確かに聞きました。はじめ、と。朧気ながらも犯人の名前を。いえ、別にここであなたを責めるつもりでは無いのです、ただ、確証を得ましたので。警官としてお伝えしておこうと、ええ。」
「違う、違うちがう、御廻さん、信じてくれよ.......俺も、何が何だか....」
「.......ともかく、自分が今日すべきことは決まりましたので、はい。あなたを昼間の会議で告発します、すみませんが」
「.......ちが、くて…おれは、あいつに、責任、とらせたく、なくて…それで……」
俺は混乱した頭で必死に説明しようとした。しかし昨日の映像が目に焼き付いて、上手く自分の言葉が意味をなさない。伝えたいことは有り余るのに舌が、上手く回らないんだ。
その時、またあの童歌の爆音が鳴った。
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