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第一夜
頼りない警察官
しおりを挟む急に後ろから声が聞こえて驚く。振り向くと、警官の制服を着た人が立っていた。
「あ、いえ、自分は怪しいものでは……いや、この状況なら誰でも怪しいですかね……、あ、いえ、私は御廻刑治というしがない警察官でして……」
なんだかオドオドした感じの男のようだ。歳は20代後半くらいだろうか。髪は短めの黒髪で、少し猫背。一重の目の下には薄ら隈があった。少し頼りなさげな雰囲気を纏っている。
「あ、いえ、俺らもさっき起きたところで……。俺は山田はじめ、こっちは友人の砂浜球太です。こっちは……」
「あ、いえ、失礼ながら先程の話は少し聞いていて……あ、すみません。盗み聞きするような趣味は無いのですが自分は……」
球太はニカっと笑って手を差し出した。
「よろしくなァ、刑事サン!」
「あ、そのケイジは自分の名前の方でしょうか……?あ、紛らわしくてすみません……」
刑治さんは困惑しているようだった。まあ起きたら見知らぬ場所に見知らぬ人がいたなんて状況、誰だって混乱するとは思う。にしても言っちゃ悪いが警官としてはちょっと頼りない。
「……あ、いや、その、すみません、自分、警察手帳も持ってなくて、でも、本当にそうなんですよ、えぇと、その……どうしましょう」
「これはまあ、随分と頼りない刑事殿ですねぇ。警察を探してはいましたが、今度は頼れる警察を探さねばならないみたいです。」
横でやり取りを見ていた雪話さんが涼しい顔をして言う。風流な物言いのくせに辛辣だ。刑治さんは申し訳無さそうに俯いた。
「まあ、いいじゃありませんか。刑治さんは俺達の味方です。今はそれだけ分かっていれば十分でしょう」
「いいこと教えてやるよ龍之介サン。そういう時はマグネシウム取るといいらしいぜ。ソースは母ちゃん。ってことで、よろしくな、刑治サン」
球太が半笑いで言う。.......また人の神経を逆撫でするようなことを。
「.......えぇ。丁度気がたっていたもので、有益な情報ありがとう存じます。そこのお方も、」
雪話さんは笑顔を崩さないが、絶対怒ってる。
「……あ、はい、よろしくお願いします」
雪話さんと御廻さんはあんまり相性が良くないみたいだ。そんなことを考えていると、突然スピーカーから爆音が聞こえてきた。
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