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【一周目】
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「時間だよ!」
グリーンがそう叫ぶと、異世界の扉から一体の怪人が現れた。
「私の名は時間怪人タイムラー、時間を自由自在に操ることができる私に勝つことが出来るかな?」
タイムラーは不敵な笑みを浮かべた。
怪人の出現にはルールがあった。
怪人は毎週日曜日の朝九時半に、異世界の扉から必ず一体だけ出現する。一年間怪人と戦い続けてきたが、このルールが破られたことは一度も無かった。
その事に気付いた俺達は、毎週日曜日の朝に扉の前で怪人が現れるのを待ち構えることに決めた。
それが、一般市民への被害を最小限に抑える方法の一つだと考えたからだ。
「君達が私に攻撃を与えたとしても、時間を戻すことで私はまた無傷の状態へと戻ることができる。つまり、君達が私を倒すことは永遠に不可能ということだよ」
タイムラーの言うことが本当だとしたら、今までで一番厄介な敵であることは間違いない。
と同時に、その力はタイムラー自身にとっても厄介なものになるのではないかと思った。
「もし俺達の力が互角だとしたら、時間を戻すことで俺達も回復させることになるんじゃないか?そうなれば、いつまで経っても決着がつかないままだぞ」
俺はタイムラーにそう尋ねると、
「安心したまえ。私の力は時間を戻すだけでなく、その対象物を選定することもできるのだ。つまり、私の身体だけを無傷だった頃の私の身体に戻すことができるんだよ。ここまで言えば君達にも理解できただろう。つまり、私は永遠に不死身なのだよ」
タイムラーはハッハッハッと高笑いをしながら言った。
グリーンとイエローとピンクの三人は、不死身のタイムラーと戦う術を模索していた。
しかし、俺は全く別のことを考えていた。
「なぁタイムラー、俺と交渉しないか?」
「交渉だと?」
「俺達四人を一昨日の金曜の夜に戻してくれ。お前の力なら、それくらい簡単だろ?」
俺は思ったのだ、『奴の力を使えば、ブルーを生き返らせることが出来るんじゃないか』と。
「たしかに私の力があれば君達を過去に送ることは可能だ。しかし、そんな事をしても私には何のメリットも無いだろう?」
「もし俺達を一昨日の夜に戻してくれたら、一日だけ地球を自由に侵略させてやる。俺達はお前に一切手出しをしないと誓うよ」
グリーンとイエローとピンクの三人は俺がタイムラーに持ち掛けた交渉に困惑の表情を浮かべたが、三人とも俺が何を考えているのかはすぐに察しがついた様子だった。
「本気で言ってるの?」
ピンクが俺とタイムラーの間を割って入るように言った。
「ああ、本気だ。ブルーを救うためには、それしか方法が無いんだ」
たった一日で地球を侵略できるとは思えないが、それでも多くの被害が出ることは間違いないだろう。
しかし、ピンクもそれ以上は何も言ってこなかったし、グリーンもイエローも黙ったままだった。彼等もまた、ブルーを救うにはこの方法しかないと分かっていたのだ。
「分かった、君達を一昨日の夜に送ってやろう。その代わり、先程言ったことは必ず守ると約束するか?」
「ああ、俺達は一日だけお前が地球を侵略することに目を瞑るよ。約束する」
「交渉成立だ、君達を一昨日の夜に送ってやろう」
タイムラーが呪文を唱えると、俺達四人は眩い光に包まれた。
グリーンがそう叫ぶと、異世界の扉から一体の怪人が現れた。
「私の名は時間怪人タイムラー、時間を自由自在に操ることができる私に勝つことが出来るかな?」
タイムラーは不敵な笑みを浮かべた。
怪人の出現にはルールがあった。
怪人は毎週日曜日の朝九時半に、異世界の扉から必ず一体だけ出現する。一年間怪人と戦い続けてきたが、このルールが破られたことは一度も無かった。
その事に気付いた俺達は、毎週日曜日の朝に扉の前で怪人が現れるのを待ち構えることに決めた。
それが、一般市民への被害を最小限に抑える方法の一つだと考えたからだ。
「君達が私に攻撃を与えたとしても、時間を戻すことで私はまた無傷の状態へと戻ることができる。つまり、君達が私を倒すことは永遠に不可能ということだよ」
タイムラーの言うことが本当だとしたら、今までで一番厄介な敵であることは間違いない。
と同時に、その力はタイムラー自身にとっても厄介なものになるのではないかと思った。
「もし俺達の力が互角だとしたら、時間を戻すことで俺達も回復させることになるんじゃないか?そうなれば、いつまで経っても決着がつかないままだぞ」
俺はタイムラーにそう尋ねると、
「安心したまえ。私の力は時間を戻すだけでなく、その対象物を選定することもできるのだ。つまり、私の身体だけを無傷だった頃の私の身体に戻すことができるんだよ。ここまで言えば君達にも理解できただろう。つまり、私は永遠に不死身なのだよ」
タイムラーはハッハッハッと高笑いをしながら言った。
グリーンとイエローとピンクの三人は、不死身のタイムラーと戦う術を模索していた。
しかし、俺は全く別のことを考えていた。
「なぁタイムラー、俺と交渉しないか?」
「交渉だと?」
「俺達四人を一昨日の金曜の夜に戻してくれ。お前の力なら、それくらい簡単だろ?」
俺は思ったのだ、『奴の力を使えば、ブルーを生き返らせることが出来るんじゃないか』と。
「たしかに私の力があれば君達を過去に送ることは可能だ。しかし、そんな事をしても私には何のメリットも無いだろう?」
「もし俺達を一昨日の夜に戻してくれたら、一日だけ地球を自由に侵略させてやる。俺達はお前に一切手出しをしないと誓うよ」
グリーンとイエローとピンクの三人は俺がタイムラーに持ち掛けた交渉に困惑の表情を浮かべたが、三人とも俺が何を考えているのかはすぐに察しがついた様子だった。
「本気で言ってるの?」
ピンクが俺とタイムラーの間を割って入るように言った。
「ああ、本気だ。ブルーを救うためには、それしか方法が無いんだ」
たった一日で地球を侵略できるとは思えないが、それでも多くの被害が出ることは間違いないだろう。
しかし、ピンクもそれ以上は何も言ってこなかったし、グリーンもイエローも黙ったままだった。彼等もまた、ブルーを救うにはこの方法しかないと分かっていたのだ。
「分かった、君達を一昨日の夜に送ってやろう。その代わり、先程言ったことは必ず守ると約束するか?」
「ああ、俺達は一日だけお前が地球を侵略することに目を瞑るよ。約束する」
「交渉成立だ、君達を一昨日の夜に送ってやろう」
タイムラーが呪文を唱えると、俺達四人は眩い光に包まれた。
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