大正ＢＬ三部作

愛交遊戯――あいこうゆうぎ――

14

「……天宮くん。僕はね、今決心したのだ。僕は死ぬまで君と一緒にいるのだと――」

　そう言って、天宮くんの唇を優しく重ね合わせる。今までにない、情愛を宿した口づけだ。あんな欲に駆られ、ただ快楽を貪るような遊戯などは間違っていたのだ。

　天宮くんは回していた腕を緩めると、手のひらが流れるようにして頬に降りていく。熱を持ったその手は、いつもの凍えているような体温の低さを感じさせない、彼の興奮を示しているかのような熱さだ。
　天宮くんの方から吸い付くような口づけを与えられ、僕は再び貪るように天宮くんの口腔を舌で弄まさぐっていく。

「ふっ……はぁっ、ん……」

　天宮くんの舌も積極的に絡みついて来て、とてつもない幸福感に僕は溺れてしまいそうだった。

「はぁっ……もう、達してしまいそうだよ」

　僕は体を起こすと、天宮くんが「……僕もです」と言って頬を緩め笑みを零す。

――ああ、僕は何故今まで気づかなかったのだろうか。

　天宮くんのこんなにも、儚げでいて妖艶な姿を僕は危うく失ってしまうところだったのだ。

――覆水盆に返らず

　そうはならずに済んだことに、僕が胸を下ろした事は、言うまでもないだろう。