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「そんなの当たり前じゃないですか。というより、俺が離す気ないですし」
「ああ、彼の意見に同意だ」

 昨晩までは、どこか敵対心を燃やしていた二人が、こればかりは意気投合していた。

「他にないんですか? あれ食べたいとか、もっとセックスしたいとか」
「欲しいものはないのか? 行きたい場所にも、いくらでも連れて行ってやる」

 二人して詰め寄ってくる姿に、水瀬は思わず苦笑する。
 水瀬からしたら、今のが最大級のわがままだった。
 自分が二人に与えられることは多くはない。それに気持ちは有り難いが、これ以上のわがままは思いつかなかった。

「これから考えるよ」

 精一杯の答えだったが、二人の顔が不満げなものに変わる。

「君は水瀬と付き合いが長いんだろう。なんで分からないんだ?」

 久賀が眉間に皺を寄せながら、鳴河に言う。

「そっちこそ、上司なんですよね。部下のことをちゃんと理解してないんですか?」

 何故か矛先が水瀬から外れ、二人での諍いが始まる。
 本来なら止めなければいけない。そう分かっていても、気付けば水瀬の顔には笑みが浮かんでいた。
 離すまいとしてそれぞれの手が、自分を捉えて放さないからだ。
 この手を掴む力強さに引きづられるように、水瀬をどこまでも溺れさせるのだった。
 
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感想 13

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みんなの感想(13件)

neko
2021.08.29 neko

最初から拝読させていただいたものですが今回でこのお話は最終回なのでしょうか

箕田 はる
2021.08.30 箕田 はる

読んで頂き、ありがとうございました!
一応、これで本編は完結となっています。
その後の三人の話は要望があれば、書くかもしれませんが……
今のところ、その予定はなさそうです。

解除
花雨
2021.08.10 花雨

全てお気に入り登録しときますね♪

解除
リリーブルー

久しぶりに読みました。しおりから最新話まで一気読みしました。過去の愛人君をうざいと感じてしまい、彼と主人公と二人のシーンを溜めてしまいました。でも最近またクガさん(好き)が出ているので、やったーと思いました!
クガさんやっぱりカッコいい。

過去の愛人君は料理などでしつこくストーカーのようにせまってくるところが粘着質で怖い…。
満谷から救ってくれたことはいいと思うけど。
それもあるから負い目になってるのかもですが。
何より、彼の縛ってもらって、などのプレイにハマっているらしい主人公。
そこがエロティックでよいです。
静かな物語なのに、主人公が縛ってくれと言ったり、クガさんがせまってきたり。
そういうところにゾクッ、ドキッとしてやっぱりよいです。

解除

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