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しおりを挟む正直言って、今すぐでもベッドに横になりたい。だが、久賀が今までにないぐらいに求めてくれるのだと思うと、ここでやめるのは勿体ないと思ってしまう。
「……だが、辛いんじゃないのか?」
問いかける声は身を案じてはいるが、身体は正直に水瀬の中で脈打っている。
「大丈夫ですから。久賀さんの好きにしてください」
首だけ後ろに向け、水瀬は久賀の唇を塞ぐ。
久賀がそれに答えるように、水瀬の身体を反転させてベッドに押し倒す。
上から覆い被さり再び唇を重ね合うと、久賀が身体を起こして水瀬の足を抱え込む。
「理玖さんは優しいですね。俺のもしてくれますか?」
鳴河が濡れた昂ぶりを水瀬の顔に近づける。
「……う、んっ」
水瀬は唇を開き、鳴河を迎え入れる。
一度出したとは思えない二人の熱に翻弄され、水瀬は夢見心地にそれを受け入れた。
新聞を捲る音が聞こえ、水瀬は目を覚ます。
いつもと違うベッドの広さ、天井の高さにここが昨夜のホテルの一室であることが分かった。
ベッドに腰掛けている背を見て、水瀬は久賀さんと声を掛ける。
新聞を片手に久賀が振り返ると「うるさかったか?」と問う。
「大丈夫です」
それから鳴河の姿が見当たらないことに気づき、水瀬は周囲を見渡す。
「ああ、シャワーを浴びに行ってる」
「そうですか……」
水瀬も布団から出ると、久賀の隣に腰掛ける。決まり悪さを感じながら、久賀の方に視線をやる。何かを察したのか、久賀が新聞を脇にどけて水瀬に向き直った。
「あの……久賀さん」
昨夜のことを本当はどう思っているのか。鳴河にけしかけられたからであって、本当は嫌だったんじゃないのか。そんな不安が、素面になった今になって燻っていた。
「撤回するつもりはない」
水瀬が問いかける前に、久賀が先に口を開いた。
「それとも、水瀬の方が嫌になったのか?」
眼鏡の奥の瞳が、真意を測るように水瀬を捉える。
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