愛に縛られ、愛に溺れる

65

　必死で水瀬は堪えるも、以前に得た快楽を思い出し、次第に身体が熱を帯びる。

｢相変わらず縛られるのが、好きなんですね」
｢ッ……ん｣

　否定する間もなく、暖かな感触と刺激が襲う。

｢あっ、駄目だ｣

　起立を這うように舌が絡む感覚に、水瀬は逃れようと身体を動かす。だが、鳴河の手はしっかりと水瀬の太ももを押さえつけていて、身動き一つ取れなかった。

｢ふっ……ッ｣

　荒波に押し流されないように、水瀬は唇を堅く閉ざす。だが、閉ざされた視界のせいで、嫌でも鳴河の熱い舌先を感じてしまう。

｢あっ……鳴河、離してっ｣

　鳴河の顔を離そうにも手は使えない。どうすることも出来ないまま、鳴河が与えてくる刺激は強くなっていた。
　耳に響くような卑猥な水音。思考回路が白に染まるほどの快楽。鳴河の熱に呑まれ、水瀬は身体を震わせる。

｢ッ――｣

　何度も下肢を震わせ、熱を解き放つ。

｢そんなに良かったんですか？　ちょっとしか、舐めてませんけど｣

　余裕を感じさせる声音が聞こえてくる。まだ足りないとばかりに、鳴河の指は敏感な昂ぶりを弄んでいた。

｢お願いだから……もう許して欲しい｣

　荒い息を吐き出しながら、水瀬は懇願するように言う。

｢根を上げるには、早すぎませんか？｣

　絡みついていた指が離れ、濡れた感触が後ろの狭間を辿る。

｢口でするから、そっちは――｣

　やめて欲しいと言いかけた所で、固く閉ざされた後孔に、鳴河の指が今にも潜り込んできそうになる。

｢水瀬さんの口での愛撫も好きですけど……でも駄目です。さっき言いましたよね。手加減はしないって｣

　言うやいなや、指が入り込んでくる。固く閉ざそうにも足を大きく広げられ、そのうえ持ち上げられたことで腰が浮き上がる。