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しおりを挟む手首にきつく巻き付く快楽と、逃げ出せない恐怖に混じった高揚感。支配されている限り、離れることない愛情――
すぐ間近に鳴河が迫り、水瀬は息を呑む。
「大丈夫です。理玖さんが俺の傍にいる限り、このことが知られることはありませんから」
鳴河に両手首を掴まれ、赤いロープが当てられる。
逃げるなら今しかない。分かっていたが、抵抗したことで、久賀に知られるのも怖かった。
水瀬はぐっと奥歯を噛みしめ、大人しく手首に絡みつくロープを見た。
「よっぽどあの男に知られたくないみたいですね。それは幻滅されるのが嫌だからですか? それとも、俺にこうされることを望んでいるとか」
「……変わったね」
水瀬がぽつりと漏らした言葉に、鳴河が動きを止める。
「昔はこんなことするような人じゃなかった。無理矢理、人を脅すような――」
「うるさいっ」
突然、声を荒げた鳴河に水瀬は肩を跳ね上げる。視線を上げれば、鳴河は苛ただしげな表情で髪を掻きあげていた。
「随分と余裕があるみたいですね」
大きく息を吐き、鳴河が横目で水瀬を見る。
「手加減しようと思ってましたけど、その必要はなさそうですね」
鳴河の指が水瀬のネクタイを解いていく。
怯える水瀬の目元がネクタイで覆われ、視界が閉ざされる。
まさかこんなことになるとは、思いもしていなかった。
かつては自分を救ってくれた男が、今度は自分を追い詰める存在になるとは――
裏切られたというショックの一方で、水瀬の中で沸々と熱が燻っていた。
腕を取られ、ベッドヘッドに固定される。完全に抵抗できない状態で、今度はシャツのボタンが外されていく。前が開かれるのが、暗い視界の中でも水瀬には分かった。
「腰を上げてください」
水瀬のベルトが緩められ、下着ごとズボンを脱がされる。羞恥から、目元がしっとりと湿りけを帯びる。
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