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第十二章
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しおりを挟む「……祐介に脅されていたんだ」
春夜はぽつりぽつりと、本当のことを口にしていく。迷惑をかけた後ろめたさから、隠し続けることは出来そうになかった。
「馬鹿な子だねぇ」
話を聞き終えたキミヨが呆れたように、眉尻を下げた。
「なんであたしに言わなかったんだい。こんな大事になる前に、なんとかできたはずだよ」
そんなことは承知の上だった。この界隈で店舗を仕切っているキミヨは、人脈も相当なものだろう。裏との繋がりも、もしかしたらあるのかもしれない。風俗業界のバッグには裏社会がつきものなのだから。
頼れば面倒ごとは早いうちに摘み取っておこうと、動いてくれるかもしれない。そうと分かっていても、自分が犯した失態を何の見返りもできないのに頼むのは忍びなかった。
黙り込む春夜に、キミヨが呆れたように深く息を吐いた。
「さっきあの人が来たよ」
「えっ……」
松原が来たのだとわかり狼狽えた。
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