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第九章
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しおりを挟む「うまそうだな」
松原が思わずそう言うと、斉木はどこか哀れむように「魚人間のお前でも、魚を食うんだな」と言って刺身を箸で持ち上げた。
「前にも言ったと思うが、魚にも種類があって――」
「わーかったから。もういい、食おう」
斉木はそう言って、マグロの切り身を口に運んでいく。むっとしつつも、松原も味噌煮に箸をつける。柔らかく煮てあって、箸もすんなりと通った。味噌の甘塩っぱさが、口の中に広がり自然と頬が緩んでしまう。
「気に入ったようで、安心したよ。松原は味にうるさそうだからな、心配だったんだ」
そう言って斉木は、満足そうに頷いている。
斉木の安堵した様子に、以前にも似たような反応をハルヤにされたことを思い出す。
「俺はそんなに、味にこだわりそうに見えるのか?」
「いや……深い意味はないんだ。ただ、和食が好きだって言ってたから、そんな風に感じただけ」
あんまりにも真剣な表情で聞いたせいか、斉木が決まり悪そうな顔をした。
「……そうか」
松原はそう言って、盆に添えられた小鉢の煮物に視線を落とす。小鉢には色鮮やかな人参、蓮根、蒟蒻、竹の子が一口大で盛られていた。
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