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第五章
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しおりを挟む「そう……好きだった。今ならもしかしたら、当時の自分を引っ叩いて、なんで逃げ出したりなんかするんだって、言ったかもしれない」
ゆっくり煙を吐き出し、斉木が項垂れた。
「……だからな、俺は後悔するような人生は送るべきじゃないと思うんだ。周りがどう言おうが、自分が傷つくかもしれないって分かっていたとしても……」
斉木が少し赤らんだ目元で、じっと松原を見上げた。
「松原さぁ、彼が他の男に抱かれるのを許せるのか? 嫌なんじゃないのか?」
斉木に問いかけられ、松原は眉を顰める。
「嫌だと思うなら、間違いなく恋だな。うん。間違いない」
そう言って斉木はいつもの快活な雰囲気に戻り、「まぁー俺の話は嘘だけどな」と言って、二本目の煙草に火を付けた。
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