君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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最終章「久遠」

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 部長は出るのは当たり前だけど、一部員の僕は関係ないはずだ。こういうのは口が上手くて、堂々としている神近くんの方が向いている。

「じゃあー、俺のことを先輩と呼びますか?先輩らしくない人を俺は先輩とは呼びませんよ」

 神近くんが淡々とした口調で告げてくる。そんなのズルすぎる。

「さすがにずるいよ!」

「なら大人しく出てください」

 そう言って神近くんは、黙々とピースを繋げていく。進路だけでなく、新たな悩みも増えた僕は深い深い溜息を吐き出した。



 翌日の昼食の時間。僕は不安と恐怖で憂鬱な気持ちを持て余していた。

 お昼ご飯である冷やしきしめんを箸で上げ下げしている僕に痺れを切らしたのか、泰明が「神近がまた何かしたのか?」と聞いてきた。

「神近くん部長のくせに、僕に予算折衝会出ろって」

 僕が拗ねたように不満を口にする。泰明なら「部長は強制参加だからな」と言ってくれるはずだ。

 泰明は少し眉を顰めると、カレーを口元まで運んでいたスプーンを止める。

「んっ?佐渡が部長だろ?」

「えっ、神近くんが部長でしょ?」

 お互いに何故か問いかけあってる変な状況に、僕は首をかしげる。

「部の上級生が基本は部長や副部長になるもんだ。それに、出席一覧表にはお前の名前しか書いてなかった」

「えっ、えっ?部長は出なきゃ行けないんじゃないの?」

「だから佐渡が部長なんじゃないのか」

 驚いて呆気にとられている僕に「やられたな」と泰明が苦笑いを零した。

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