君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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第七章「虚像」

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 こんなところを家族に見られたら、神近くんはそれこそいずらくなってしまうだろう。僕だったら恥ずかしくて顔を合わせられない。

 遠慮のない動きに僕は思わず手を伸ばして、神近くんの太ももを押しやる。

「はぁ、ぁっ、かみちかくん。激しいから……声出ちゃう」

「良いですよ。いっそのこと、見せつけてやればいいんです」

 神近くんは悪戯っぽい笑みを浮かべるだけで、加減はしてくれない。

「い、いやだっ……」

 僕が首を振るも、襲いくる快楽には逃れられない。涙がボロボロと涙が溢れ出し、張り詰めた下腹部が痛いぐらいだった。

 神近くんの指が僕の昂ぶりに触れ、先端から溢れる雫を纏いながら扱き上げてくる。

「あぁっ、ンッ……」

 二重の責め苦に僕はすっかり抵抗する気も失せてしまう。足を神近くんの腰に絡めて、奥に誘った。奥まで挿し込まれ、ゾクゾクとした悦楽が背筋を駆け上がり、腰が浮き上がってしまう。

「……先輩。すごくエロいですよ」

 神近くんの言葉で無我夢中になっていた事に気づかされ、羞恥心で全身が震えだす。

「そんなこと……言わないでっ」

「褒めてるんですよ」

 褒められたって嬉しくない。まるで淫乱みたいじゃないかと言い返したくとも、言葉にはならなかった。

「ぁ、やっ、もうむりっ」

 限界に近かった僕はぎゅっとシーツを握りしめ、快楽の波に飲み込まれていく。

「ッ……ーー」

 ビクビクとした感触を中で感じ、神近くんが喉を鳴らす。

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