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第七章「虚像」
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しおりを挟む「やっ、あぁっ……でちゃうっ」
グッと神近くんの頭を押しやろうとするも、逆に咥えこまれて呆気なく吐き出してしまった。びくんびくんと脈打ち、全身が震える。
「はぁ……はぁっ……早く口から出して」
僕が布団から出ると、神近くんは額に汗を浮かべ無言のまま僕の耳元に顔を寄せてくる。ゴクンという音がして、僕は愕然として神近くんを見つめた。
「えっ、ちょっと……まさか飲んだの?」
「そうですよ。これがどういう意味か分かりますか?」
「……わからない」
驚きのあまり、呆然として首を横に振る。経験がないから分からないけれど、飲み下そうだなんて考える人は絶対に少ないはずだ。
「先輩は嫉妬してるんですよね? 拗ねて布団にこもって泣くぐらいに、妬いてくれたんですよね」
僕は言葉につまり、神近くんから視線を背ける。バレていたのかと思うと、恥ずかしさでカッと全身が熱くなった。
「俺だって、こんな事するぐらいに先輩が好きですよ」
「えっ?」
神近くんの口から、好きという言葉が出た事に僕は驚く。神近くんは照れ臭そうに、僕の頬に触れてきた。
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