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第七章「虚像」
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しおりを挟むもし、神近くんがよりを戻すのだとしたら、僕は笑顔で送り出さなきゃいけない。神近くんにも、家族にとっても、それが一番良いのだから。それなのに僕がメソメソ泣いてたら、神近くんはきっと躊躇ってしまうかもしれなかった。
「……何を怒ってるんですか?」
「怒ってない」
僕は震えそうになる声を抑えるように呟く。
「じゃあ、なんで隠れるんですか?」
「……眠いから」
「そうですか」
神近くんが動く気配がして、このまま行ってしまうのだと思うと胸が苦しくなった。引き止めたい気持ちもある。あの子とよりを戻すのか、僕はどうしたら良いのか、本当は凄く聞きたかった。
不意に足元の方から入り込んで来る気配がして、ビクッと体が震える。
「え、えっ、なに……?」
僕が布団から顔を出すと、足元の布団が膨らんでいて神近くんが潜り込んでいるようだった。
「うわっ!」
布団から出ようとした瞬間、足を引っ張られずっしりとした重さを感じた。一体何をする気なのかと、布団を覗き込む。神近くんは僕のズボンと下着を下ろすなり、太ももに唇を寄せていた。
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