君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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第七章「虚像」

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 ふと、向かいから男たちの威勢の良い声が聞こえ、僕は目を凝らす。前方からお神輿を担いだ男たちが、こちらに向かってくるのが見えた。

「凄いね。都内じゃあ、あんまり見慣れない光景だから」

「今から村の中を練り歩くんですよ」

 上下に揺れるお神輿が、朱色の光に反射してキラキラと光っていた。金塗りが光り輝く姿は、その神社の格式の高さを表しているようで、神々しさを感じさせられる。

 邪魔にならないように、道の端に避けると十人ほどの男たちが掛け声を上げながら通り過ぎていった。

「神近くんはやらなくていいの?」

「俺はやりませんよ。めんどくさい」

「神社の息子がそんな事言っていいの?」

 僕が驚いて目を見開くも、「やるもやらないも個人の自由です。やりたい人がやれば良いんです」と言って歩きだした。

 祭り囃子が徐々に聞こえ始め、神社の階段が見えてくる。お祭りに来たのはいつ振りだろう。懐かしさに僕の胸が弾む。小さい頃は小さな神社のお祭りに、友達や家族と行った覚えはあった。でもそれは何年も前の話だ。

 石階段を登ると、連なっているカラフルな提灯に明かりが灯っている。すでに人でごった返していて、出店も賑わいを見せていた。

 あっちこっちから何かが焼ける香ばしい匂いが漂っていて、自然と空腹感が増していく。

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