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第七章「虚像」
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しおりを挟む「だから僕がいるわけないし、無駄に周囲を怖がらせちゃいけないって咎めたんだ。でも智代は本当にいるんだって言って聞かなくてね」
「えっ……」
拍子抜けしている僕に、お兄さんは失笑する。
「神社の人間だからって誰しもが見えるわけじゃないし、霊を信じてるわけじゃないんだよ。父さんは見えないけれど、仕事だから否定はしないだけなんだと思う。それに、うちの家系に霊感がある人間はいない。かと言って、本人に否定するのも何だか可哀想だろ?」
僕は呆気に取られて言葉を失う。まさか、家族の誰も神近くんの言葉を信じていなかったという事なのだろうか。
「だからね、こうして僕が智代の友達に本当の事を教えてあげているんだよ」
そう言ってお兄さんを僕をじっと見つめ、困ったように笑う。
「智代はただ構って欲しくて、そんなことを言っているんだってね」
「で、でも、僕といた時に何度も変な事だって起きましたし、お祓いだってーー」
「そんなの人に頼んだり、たまたま起きた自然現象をそうだって言えば、君みたいな純粋そうな子は信じるとでも思ったんじゃないかな。お祓いだって、自己流に適当にやればそれらしく見える。智代が神社の息子ってだけで、大抵の人は信じるでしょ」
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