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第六章「帰省」
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しおりを挟む神近くんの家に着くと、お母さんが「智代の部屋は狭いから客室にお布団用意しておくわね」と言って一階の和室を案内された。
神近くんと一緒が良いと思っていたけれど、高校生にもなってそれを口にするのは少し恥ずかしい。チラリと横目で神近くんを見ると、少し面白そうな表情で僕を見つめていた。
夕食はお兄さんを除いた、四人で食事を取った。祖父母は他界しているらしく、広い家なだけあって少し寂しく感じられる。
「明日で帰るなんて、いくらなんでも早くないか?」
お父さんが不満げに言葉を漏らすも「暇じゃないから」と言うだけで、神近くんは黙々と食事を進めていく。
場の空気を察した僕は、持ち前の人見知りをしない性格を生かし、何とか会話を繋げるという気遣いを遺憾なく発揮したのだった。
食事を終えて片付けをする為に僕は炊事場へと行き、神近くんはお風呂に入りに行ってしまう。本当はお客さんである僕を先にとお母さんが言ってくれたけれど、片付けを手伝うと言って辞退した。
何から何までお世話になるのは嫌で、母からもそのように教わってますと言えば、それ以上は言えないようだった。
「本当に良い子よね。佐渡くん。どうしたらこんな良い子に育つのかしら」
隣で食器を流していくお母さんから皿を受け取っては、僕は布巾で拭いていく。
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