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第六章「帰省」
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しおりを挟む「先輩」
肩を揺すられ名前を呼ばれた事で、ハッとして神近くんに視線を向ける。
「そんな怯えた野良犬みたいな顔しないでください。一先ずは祓えれば、後は本体を何とかすればいいだけです」
神近くんも人の事言えた状態ではないのに、彼なりの励ましなのだろうと考えると僕は少しだけ嬉しかった。
「ありがとう。ここまで連れてきてくれて」
「別にいいです。いつまでもギャンギャン騒がれたんじゃあ、困りますからね」
憮然とした表情で視線を逸らした神近くんに対して、照れてるんだと僕が苦笑いしていると、そこにさっきよりも仰々しい格好をした神近くんのお父さんが現れた。
テレビで見た陰陽師の様な、烏帽子に薄紫色の袴。手には笏を持ち、引き締まった表情で僕たちと向い合う。
僕は立ち上がると「よろしくお願いします」と頭を下げる。こういう時の作法などあまり分からず、お父さんの指示を聞きつつも、緊張した面持ちで事を進めていく。
白い紙がいっぱいついたフサフサが頭の上を行き来する際は、あっ、テレビで見たことがあると不覚にも考えてしまう。
思いの外早く終わったと感じたのは、終始の緊張感と物珍しさからだったのかもしれない。最後にお父さんからお札とお守りを渡され、僕は礼を言って受け取った。
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