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第五章「計画」
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しおりを挟むアパートにつくと、僕はもう疲労困憊で足が震えていた。神近くんは僕の荷物を持ってくれていたのに、バテた様子もなく部屋に上がりこんでいく。
「大丈夫ですか? 日頃の運動不足が祟ったんじゃないんですか」
玄関でぐったり座り込む僕に、呆れたように神近くんが呟いた。
「荷物、持ってくれてありがとう」
僕は荒い息を整えると、重い腰を上げて部屋に入る。神近くんはコップにお茶を入れてくれて、その気遣いと疲れ知らずな涼し気な表情に僕は感嘆の溜息を漏らす。
「神近くんは若いね」
「若いって……一歳しか変わらないじゃないですか」
神近くんが注いでくれたお茶を、僕は勢いよく飲み干していく。
「そうなんだけどさ。僕なんかもうバテちゃって」
「もっと運動とかしたほうが、良いんじゃないんですか」
正論で返してくる神近くんに僕は苦笑いする。確かに僕は運動とか自分からするほうじゃないし、学校の体育ぐらいしか体を動かすことがない。それでも運動神経は平均的な方だとは思っていた。
「神近くんは何か運動とかしてるの?」
「俺は何もしてないですよ」
神近くんがしれっとした顔で、コップに手をのばす。
「えっ? 何もしてないのに、そんなに体力あるんだね」
「先輩と違って、筋肉量が元から違うんじゃないんですか?」
「それを言われたらどうすることも出来ないじゃん」
元も子もない事を言われた僕は、二杯目のお茶と一緒に憤りも飲み下したのだった。
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