君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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第五章「計画」

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 テレビでは今日の天気予報が流れていて、記録的猛暑のため熱中症に気をつけましょうと注意を促している。

 窓の外に視線を向けると、確かに外に出るのが躊躇ってしまうような強い白い光が差し込んでいた。

「今日も泊まっていきますか?」

 神近くんの唐突な言葉に僕は驚いて、トーストを危うく落としそうになった。

「でも……」

「嫌ですか?」

「嫌とかじゃなくて、迷惑じゃないかなぁって思って」

 そんな何度も神近くんにご飯の世話になったり、着替えを借りたりするのはさすがに気が引けてしまう。

「俺は構いません。それよりも先輩。生霊にしろ生身の人間にしろ、先輩の後をつけてくるかもしれませんよ」

 僕は今度こそトーストが手から滑り落ちてしまう。危うく床に落としそうになるも、皿の上に着地したのは不幸中の幸いだった。

「先輩! 床を汚さないでください!」

 パラパラとカスが床に零れ落ち、神近くんが抗議の声を上げる。

「だって、神近くんが怖い事言うからじゃん」

「とにかく、祓い終わるまではここにいてもらって構いませんから……父にも今日中に連絡を入れて、早いうちに先輩を連れていきます」

 不安と恐怖に複雑な表情の僕に対し、神近くんはこれで話は終わりとばかりに憮然とした表情で食事を進めていく。

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