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第四章「嫉妬」
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しおりを挟む緊張で持っているスマホに力がこもる。三コール目ぐらいに少し低音の声が聞こえ、僕は「さっきはごめん」と第一声に謝った。
『別にお前が悪いわけじゃない。それより、無事か?』
「うん。今のところは変わったことはないかな。親や姉ちゃんにも伝えたし。すぐにどうにかするってことは出来ないだろうけど」
『神近は? 今近くにいるのか?』
泰明の口から神近くんの名前が出たことに、僕の心臓が跳ね上がる。視線を部屋の入口に向けると、まだ上がってきてはいないようだった。
「近くにいないよ。今、シャワー浴びてる」
『あいつは、お前に少し執着しているようにも見える。くれぐれも自分が男だからって油断するなよ』
泰明の口からそんなセリフが出るなんて思ってもみず、僕は一瞬固まってしまう。
『……佐渡?』
「ごめん……ちょっとびっくりしちゃって」
『何かあったらいつでも連絡しろよ』
「うん。ありがとう。また連絡する」
そう言って僕は通話を切った。タイミングよく神近くんが部屋に戻ってくると「鐘島先輩ですか?」と僕の隣に腰かける。
同じシャンプーの香りが鼻孔をくすぐり、少しだけ緊張してしまう。
「う、うん」
「先輩は俺のですよね?」
「えっ?」
神近くんを見ると、苦虫をつぶしたような顔で僕を見つめていた。
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