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第四章「嫉妬」
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しおりを挟む「ううん。これぐらい大丈夫だから……」
嫉妬されていたのだと思うと、怒るに怒れない。
周囲と打ち解けようとしない神近くんが、僕に対してはきちんと感情を向けてくれているのだと考えれば、嬉しくないはずがなかった。
校門の前には女の姿はなく、注意深く辺りを観察しつつ二人で進んでいく。
「先に僕の家に寄っても良いかな? 泊まるなら着替えとか持っていかないと」
「先輩の家の近くで待ち伏せをしている可能性もあるので、それは止めておいた方が良いと思います。着替えなら俺のを使ってください」
確かに待ち伏せるなら僕の生活圏内である可能性は高い。僕は素直に頷く。
「あ、それから万が一のことがあると怖いので、お姉さんや家族には連絡して伝えた方がいいですよ」
神近くんに言われて事の重大さに気づいた僕は、慌ててスマホを取り出すと、まずは姉に連絡をする。姉は今度見つけたら警察に突き出すと言って電話を切った。母親の方も、確証がない以上は迂闊には警察に言えないということで姉と同意見のようだ。
通話を終えるころには駅に着き、僕たちは電車に乗って神近くんの家に向かう。
最寄り駅の途中で替えの下着や食材を買い、アパートに着くころには日差しも心なしか弱まっていた。
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