42 / 259
第二章「正真」
10
しおりを挟む「え、全くわけわからないんだけど……てか、暑いからどっかに移動できないの?」
姉の言うことはもっともで、日陰のない校門にずっと立ちっぱなしでいるのは辛い。かといって、何処かでお祓いできそうな場所は思い当たらない。
やむを得ず僕は先生に怒られるのを覚悟で、姉を校舎の中に連れていくことにした。
「へー。私立の男子校って、立派なものね。高い学費出しているだけあるわ」
姉が感嘆の溜息を零しながら、僕と神近くんの後をついてくる。
呑気な姉を尻目に、別棟の一階の廊下を僕は今にも張り裂けそうな心臓を抱えながら進んでいた。
今の所は誰にも遭遇していない。大体は二階が主な活動スペースで、一階は重い物を上まで運ばなくても良いように倉庫代わりの部屋や視聴覚室などがあった。
「ねえちゃん静かにして。見つかったらマズイんだから……」
幽霊も怖いけど、先生に怒られるのも怖い。
「はいはい」
反省しているようには見えない姉の危機感のなさに、僕は呆れ返ってしまう。それに加えて、今も姉の後ろには何かが取り憑いているのだ。それなのにも関わらず、姉は呑気に辺りを見渡している。
1
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
冴えないおじさんが雌になっちゃうお話。
丸井まー(旧:まー)
BL
馴染みの居酒屋で冴えないおじさんが雌オチしちゃうお話。
イケメン青年×オッサン。
リクエストをくださった棗様に捧げます!
【リクエスト】冴えないおじさんリーマンの雌オチ。
楽しいリクエストをありがとうございました!
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる