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第二章「正真」
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しおりを挟む僕の予想通り、彼氏に会うためにいつものラフな服装ではなく、お洒落な大人の女性と言った雰囲気だ。
花柄のワンピースに白のカーディガンを羽織り、肩まで掛かっている髪を緩く巻いている。こんな事をしたって清楚な女性には程遠いのに……と、僕は心の中で彼氏に同情した。
「ごめん……ありがとう……」
僕は少し荒い呼吸を吐き出しつつ、膝に手をつき姉に謝罪する。
「遅いのよ! あんたの為に持って来るんだから、ここで待ってないなんておかしいじゃない」
最もな言い分に僕はぐうの音も出ず、とにかく平謝りし続ける。やっぱり姉は馬子に衣装だ。
姉から突きつけられるように鍵を渡されると、ようやく僕は「ありがとう」と言って安堵の溜息を零す。
「ちょっとだけ良いですか?」
ふと近くから声がして振り返ると、神近くんが神妙な顔で立っていた。
「うわっ!! 神近くん! どうしたの?」
僕は驚いて、声を上げる。神近くんは急いで来たのか、微かに息を上げて額から汗を流していた。
「先輩のお姉さんですよね?」
神近くんは驚く僕を無視して、姉に問いかける。
「そうだけど……」
「ちょっと手を出してもらっても良いですか?」
神近くんの言葉に、姉も僕も驚いて目を合わせた。初めて姉と思った事が、被った気がしてならない。
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