39 / 259
第二章「正真」
7
しおりを挟む「パズル好きなんだね」
僕はそう言って部屋の隅に寄せられていた椅子を持ってくると、神近くんの机の向かい側に腰を下ろす。
「好きじゃなきゃ、やらないですから」
「僕も手伝っていい?」
姉が来るまでにはまだ時間がかかるだろう。なんてったって、彼氏に会うのだからそれなりにお洒落してくるはずだ。少しぐらいだったら、構いやしないだろう。
「当たり前じゃないですか。部員なんですから」
その言葉に僕はハッとして、神近くんを見つめる。神近くんは相変わらず、憮然とした表情をしてピースを繋げていた。部員として見てくれている嬉しさの反面、断りに来たのだという心苦しさも込み上げきてしまう。
どうするべきか悩んでいると、再びスマホが震えだす。画面を見ると、先程と同じ『姉』という表示に、僕は慌てて立ち上がった。
窓の外を見ると、校門に立っている女性の姿が目にとまる。苛立たしげに腕を組んでいる姿からして、明らかに姉だろう。
こんなに早く来るとは思ってもなく、僕は神近くんに「やばい。ねえちゃん来たから行ってくる!」と言い残し、慌てて部屋を飛び出した。
階段を全速力で駆け下り下駄箱で靴を履き替えると、僕は駆け足のまま校門の前で待つ姉に駆け寄る。
1
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
冴えないおじさんが雌になっちゃうお話。
丸井まー(旧:まー)
BL
馴染みの居酒屋で冴えないおじさんが雌オチしちゃうお話。
イケメン青年×オッサン。
リクエストをくださった棗様に捧げます!
【リクエスト】冴えないおじさんリーマンの雌オチ。
楽しいリクエストをありがとうございました!
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる