君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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第二章「正真」

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「ち、違うよ! 今のは姉だから……僕、彼女いないし」

 僕は慌てて訂正し、神近くんに近づいていく。机上に並べられたパズルは青色が多く、繋がったピースからは何が出来るのか推測出来ない。

「でしょうね」

 神近くんはそう言って、正面に立っている僕を上目遣いに見上げてくる。

 間近で見るとその整った顔立ちがよく分かり、僕は羨ましく思ってしまう。天は二物を与えずとは、本当は嘘だろう。一部の人間に渡し忘れて、慌てて作った教訓なのかもしれない。

「神近くんはイケメンだよね。どこ行ってもモテるんじゃない?」

「……先輩よりかはモテますよ」

 神近くんはそう言って僕から視線を逸らすと、憮然とした表情でパズルに視線を落とす。

「これ何の絵なの?」

 散らばるピースは青と白が多いようだが、それだけで推測するのは無理そうだった。見本となる箱が見当たらないので、何の絵だかさっぱり分からない。

 僕はパズルのピースを一つ掴むと、まじまじと見つめる。濃い青色一色のピースは、左右に丸い穴が開いていた。

「出来てからのお楽しみです」

 少しだけ神近くんの声音が柔らかくなる。やっぱり好きで、この同好会を立ち上げたのだと納得がいった。

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